まくとぅーぷ

作ったお菓子のこと、読んだ本のこと、寄り道したカフェのこと。

絶対音感のゼッタイってなんだろう。

2019-09-25 19:08:08 | 日記



ゴーインに取らされた年休のその日が
偶然あたったのもきっとご縁なので
我らが師匠のお手伝いする
「絶対音感開発協会」の
キックオフイベントに参加してきました。

主催のまきりかさんは師匠と
富山でホタルイカを漁った仲なんだって。

絶対音感、と聞いて一番に思い出すのは
合唱団の現役時代、ピアニストのあっちゃんが
合宿のレッスン中鳴り響いてきた
施設のチャイムの音を
そのままピアノでさらっとコピーしたので
びっくりしたことと
歌の先生が団員の誰彼を指して
「〇〇ちゃんは絶対音感があるね。」って言うと
おぉ〜すげぃ、ってみんなから
一目置かれちゃってなんか羨ましかったこと。

まきさんによると、絶対音感を持ってる人は
世界では20万人に一人
日本では1万人に一人なのだそう。
なぜ日本における割合がこんなに多いかといえば
音楽の早期教育に熱心な国だからなんだって。

「絶対音感とはつまり周波数を記憶すること。
原始的な能力を思い出して忘れないようにする、
そんなイメージ。」とまきさん。

狩猟時代に遠くの生き物の
鳴き声や足音を聞いて
「あ、インパラだ、大丈夫。」とか
「やばいライオンだ、逃げなきゃ。」とか
そういうことなのかも。
今の時代は別にそんなのわからなくても
生きていける。だから退化する。

トレーニング適齢は5歳まで。
そうなの、だから、中学生のわたしが
いっくら音叉で覚えようとしたってダメだったの。

ただ、まきさんがやりたいことは
別に日本中の幼児に
絶対音感を授けるぞ、ってことじゃなく
創造力(生きる力)のある人を
育てたい、ということで

わざわざ協会の名前をちょっと強そうにしたのは
インパクト狙いね。
なにしろご本人は、威圧感というのとは
およそ対極にある雰囲気のお方なのです。
トークの時に選ぶ言葉もとても柔らかい。

まきさんのメソッドには
おうちでお母さんとお子さんが
楽しく音に親しむためのものと、
お教室の先生として生徒さんを
指導するためのものがあるとのこと。
どちらも面白そう。
あ、すでにお子さんは育ちあがってしまったので
マゴベイビーかな。ふふふ。

それにしてもつくづく、ムスメの保育園の先生
無事に育ててもらっておいてなんですけれど
「音痴」って致命的じゃないでしょうか・・・
おかげでムスメったらゴニョゴニョゴニョ

おまけに楽譜も読めない。読む必要がなかったという。
合唱団にいたにも関わらず、だ。
そして大学の歌のテスト(音大ではないが面白い学部にいたので)
があると、わたしに楽譜を見せて「歌って。」という。
それを耳コピするんだけどスマホに録音するから恥ずかしい。

ってそれはおいといて

まきさんは「絵本を弾いてごらん」と
生徒さんに促すのですって。
生徒さんは好きな本の好きな絵を見ながら
鍵盤を指で、肘で、グーでたたく。
ちっちゃな色とりどりの丸がコロコロしてる絵には
ポツンポツンと短音を合わせたり
紙面いっぱいにパワフルに広がる樹木の絵には
バーンといくつもの音を鳴らしたり
そんなことがいつの間にか
できるようになるそうです。

それは、いわゆるクラシックの楽曲を
譜面通りに強弱つけてテンポあわせて
きちんと覚えて弾くこととは真逆のベクトル。
自分の中から、自分だけの音を放出するもの。

音に限らず、自分の中にあるものを
見つけたり取り出して表したりすることは
苦手な人が多いよね。
誰かのせいにしても仕方ないけど
学校教育がもう、そうなっちゃってる。
言われたことを言われた通りに。
してはダメ、と言われたらしない。

「うちの生徒さんも、
『このゴミどうしたらいいですか』
などと質問するので
『どうしたらいいと思う?』というと
捨てる、という。
わかってるくせに聞くんです。」
と松本先生。
(あ、このイベントはトークライブでした。)

そうそう、そういう場面はしょっちゅう見る。
「考えて。自分の頭で考えることが大事。」
とそのあとに続くのが常です。

そうやって鍛えられてるから
中高生になると学校なんかで
例えば文化祭やるぞ、という時に
率先してガンガン動けるんですって。
そういう人が育ってたくさん社会に出れば
AIの脅威とか関係なく
良い世界ができるんだと思うし
そういう人を育てることが
今の全大人の務めだよね、と思う。

だけど、自分の頭で考えて行動するのって
実はとても勇気がいる。
大人から言われた通りにしてりゃ
少なくとも、失敗はしないし
怒られたりもしないからね。

その勇気はどこから来るかといえば
「成功体験」なわけです。
いや、そんなおおごとじゃなくて、
例えばポツンポツンと、あるいはバーンと
弾いた音を聞いた先生から
「素敵ね。」って言われること。
一生懸命作ったお菓子を持って帰って、家族から
「美味しいね。」って言われること。

「絶対」って、言い換えれば
「誰かと比べるんじゃない、圧倒的な唯一無二の個」です。
孤独の孤じゃなくてね。
何かひとつ、自信持てることがあれば
他のいろんなことをも、乗り越えて行ける。

自分のお仕事についてもいろいろ
考える機会となりました。

まきりかさん、
ご一緒した皆さん、
(こちらも本当に素敵な方々で詳しく書けないのが残念)
楽しい時間をありがとうございました。