まくとぅーぷ

作ったお菓子のこと、読んだ本のこと、寄り道したカフェのこと。

すいかにかえる

2016-08-28 00:59:33 | カフェ


言い忘れたけど今月のちゃぶ台カフェの裏テーマは
(裏なんてあるのかわかんないけど)
「クリエイターズナイト」だったの

そんなところに超普通な人であるわたしが
いてもいいのか不安だったけど
今夜もおかげでとってもおもしろいものを見て
興味深い話を聞けた

プロダクトデザイナーのK氏による
中国茶の振る舞い
いったいどんだけ引き出しあんねん、の
代表であるK氏の
またすごいお宝を拝ませていただいた

一杯の容量はせいぜい10cc
大さじよりも少ないそれを
驚くほどゆっくり時間をかけて
何杯も飲み干す
お湯の温度だの浸水時間だのは
茶葉の状態を見ながら
飲みたいイメージの味になるよう
調整するのだそう

葉によっては「洗茶」をする
一旦注いだ湯は飲まないので
流すんだけど
その時に湯をかけて遊ぶのが
この子なんだって

すいかに乗っているかえるのモチーフ
うんと頭を持ち上げてお湯を待ってる姿が
なんとも愛らしい
すいかにかえるというのは
日本で言えばヒマワリに麦わら帽子という
夏のど定番なんだそう

茶玩具には自然物をあらわしたものが
たくさんあって
例えば「にんにく」なんていうのは
元の白い色が茶湯によってだんだん
色がつきツヤが出てくる変化を
楽しむものだとか

見れば見るほどチャーミング
ふとムスメが、これ和菓子にならないかな、という
練り切りに羊羹かな、いっそアイシングもいいな

日常で食べるものを買うとき
かの国で作られたものには手を出さない私
以前一緒に仕事したチャイニーズも
ベースの感情は反発、怒り、疑いなんだなと
思って見てたけど

一度懐に入れば情に篤い、というK氏の言葉を聞き
この、ただお湯をかけるためにだけ作られた
可愛らしい玩具を見て
表面的なものだけで判断してはいけないのだなと
反省した

貴重な葉をわけていただき
大喜びのムスメ
しばらくしまいこんでいた茶道具を
引っ張り出してこよう


スプーン2本でつみれ鍋 8月のちゃぶ台カフェ

2016-08-28 00:21:53 | カフェ

暑い夏には熱い鍋、って
ものすごい闘争心
鶏に渡り蟹、あらゆるアラで
取ったお出汁にゴーヤとパクチー
いったいどこまでやる気やねん
今夜の大将は

どーん、とちゃぶ台に置かれた
丼いっぱいのすり身は
刺身でも行けちゃう新鮮なサンマを
たっぷり4匹たたいたやつ
そこにスプーンが2本刺さってる

今月から客人も参加型のちゃぶ台カフェ
スプーンを操り鍋にすり身を
ポンポン放り込むお嬢さんを見てたら
はるか昔、ジャカルタの日本料理店で
見た光景を思いだす

社会人2年目のひよこ女子SEを
変な食いもんで体調崩させたり
するわけにいかない受け入れ先の社長
ランチによく行ったのは
なぜかテナガ猿を眺めながらの食事が人気の
イタリアンか
ゴルフ場併設のレストラン
そしてあの日本料理店

若い現地の女の子が
つんつるてんでぺらぺらの浴衣を着て
サーブしてくれる
定番のメニューは鶏たたき鍋
鶏肉のすり身を目の前で
煮えたぎる鍋の中にスプーンで落とす

右手のスプーンですくい
左手のスプーンでそれをすくい直すと
なんとなく楕円になるすり身
女の子は執念でそれを何度も何度も繰り返し
キレイな楕円になったところでやっと投入
食べられるようになるまで
気が遠くなるほどの時間がかかった
タイトなスケジュールに追われてた私は
別に袋パンでいいのにとイラついてた
最初に渡されるおしぼりに
ありえない量の香料がまぶしてあるのも
気に入らなかった
なんとまあ鼻持ちならないガキだったんだろう

新鮮サンマのつみれは
ふわふわで旨みたっぷり
おなかの底からエネルギーが
湧き上がってくる感じ

去年のツールド東北で
女川エイドステーションで
振る舞われた女川汁もサンマのつみれだった
野性味溢れる深い味わいで
ヘロヘロだった私を
またチャリに乗る気にさせてくれた

たたいて混ぜて丸めて煮て
手間をかけるということは
思いを込めるということ

きちんと受け取れる自分に
少しは、なれたんだろうか


大将、奥さま、
今夜もごちそうさまでした




夏の終わりの天体観測♪珈琲文明ライブ

2016-08-27 01:04:22 | 日記


ここ数年、赤澤マスターのお気に入り
8月のロマンチックライブ

シャッターあらかた閉めて
テーブルにキャンドル灯して
天井を星空バージョンに固定して

今夜も大入りのお客さま
見回すと大体どの人も
ライブでよく一緒になるなあと
思ったらなんだか自分が
常連になった気がした
いつも私たちの前のテーブルに
座るカップルがやってきた
ごめんね今日はうちら大所帯なの、と
しぶしぶ二階に上がる彼らに
心の中で詫びてみる

お忙しいところを半ば強引に誘った
M氏から急ぎ向かっているとメッセが入る
大丈夫、大抵時間ぴったりには始まらないからと
お返事する

全てのオーダーこなし
チューニングしたところで
開始を30分超過のマスター

多分みなさんがよく知らない曲で始めます、
自分ならその方がワクワクするから
と、のっけから赤澤ワールド炸裂
確かに知らない曲だなあ
ワクワクするっちゃするな
でもやっぱり2曲目の
ゼットンが始まった時の
ワクワク感とは比べ物にならない
コブシャウの中で好きな曲トップ3に入るよ、と
ムスメもテンション上がってる
「棘のあるヒマワリ」という
あきらかに唐突な歌詞の入ってる理由が
今夜初めて解ってやっと腑に落ちる

ピックアップアーティストは
バンプオブチキン
小さい頃、叱られることがあると
ママがギャーギャー言ってる間は
心が石みたいに硬くなるけど
しばらくしてからやけに
静かに優しく諭されるように
声をかけられると絶対涙が出て悔しかった
そんなことを思い出す曲
赤澤マスターはこの曲がいたくお気に召しているらしく
歌ってるのをもう4回は聴いたけど
何度聴いてもいい
(でもアベノハルカスはこれで3度目だけどもういいや)

天体観測、そういえば何度も耳にしたことある
マスターのライブの後、車の中で動画検索してみた
歌の始まりの音はとても低く言葉もよく聞き取れず
サビはそっから1オクターブ以上高く
音符もポンポン飛んでいる
カラオケでよく歌うんだ、というM氏は
相当うまいに違いない

マスターが絶賛するように
歌詞も独創的だしメロディもキラキラしてる
しかしこのボーカルの声の乾燥加減
ウケてるのが不思議

ライブではマスターの新曲が
全世界で初めて発表された
家族愛というテーマが似合いすぎるのは
やっぱり二児の父になったからなのか

これでやっと
もし今しんじゃっても
遺作がアベノハルカスに
ならずに済んだというマスター
相変わらず面白すぎる

夏が終わる、っていうコトバの響きは
とても物哀しい

でもたっぷり1時間
赤澤マスターのMC時々歌を聴いて
爆笑したり感涙したり
ライブ初体験のM氏の
放心状態を観察したりして

この夏も楽しかったなあ
と気分良く締めくくるような
気持ちになれた

赤澤マスター、
ご参加くださったM氏
ありがとうございました




氷 埜庵の12ヶ月 

2016-08-14 11:02:08 | 読書


一昨年の夏、唐突に降りてきた
「かき氷熱」
手近の果物と砂糖で
あらゆるシロップを作っては
古めかしい手動のかき氷器で
ガリガリ削った氷にかけて
食べはじめた

写真に撮ってSNSに上げると
なんだかとてもたくさんの人の
反響を得られて驚くとともに
とても嬉しく
近所の珈琲屋さんの営業後に
出張していったり
今年はとうとう会社にも
持ち込んだりして
こんな単純なものに
みんなが想像以上に
喜んでくれるのが
楽しかった

そして先月のイベントの端っこで
好きにしていいよ!と言われて
与えられた大きなかき氷機と
氷屋さんの切り出し氷100人分
1ヶ月前から梅や紫蘇の
シロップを仕込み
冷凍苺1キロ、桃10個を仕入れ
グレフルも漬け込み
有名店のレシピ本を見ながら
基本のシロップを2L作って挑み
当日は60人弱のお客様に振舞って
ほぼ完売した

嬉しかったのは
小さな女の子に
「本物の苺だ!」と喜んでもらえたこと
大人のお兄さんが
「今まで食べたかき氷の中で一番うまい」
って言ってくれたこと
特にコメントはないんだけど
一人で桃を6杯お代わりした男の子の存在
(おなか大丈夫だったのかな、何度か確認したんだけど)

「シロップは埜庵さんのレシピなんですよ」
と言うと「あ、湘南ですよね」と答えてくれる方もいて
さすが人気店だなと感心した

で、その店主の手記がこの本
サラリーマンを辞めて
かき氷屋になって10年の思いを
綴っている

観光客で賑わう鎌倉に出した
最初のお店の最初の営業日に
お客がたった1組だったという
不安だらけのスタートから
夏には550人のお客が押し寄せる
現在に至るまでのあれこれ
氷のみならず、苺や抹茶などの
シロップの素材にも拘り
産地に赴いては工程にも要望を出す
かき氷オタクな石附氏
天気予測がいかに店にとって重要かを
切々と語り、「予報士は死ぬ気で当ててほしい」と
いうセリフは大真面目なんだろうけどちょっと笑えるし
氷を削る刃のメンテを依頼したキャリア50年の
職人さんとのやりとりも感動的

だけど私が一番心にしみたページは
奥様の心情を吐露したもの

勤め人の妻になったはずなのに
気づいたら根無し草のような暮らしで
こんなに繁盛店になった今でも
朝起きると一番に感じるのは「不安」
ある期間、乳幼児を持つ無神経な母親たちに
店を荒らされていて
毎日営業後に辛い思いで掃除をしていた話や
夫が会社を辞めたことをしばらく親兄弟にも
言えなかった話など
小さな子供を二人抱えて不安に苛まれて
過ごした毎日がいかばかりだったかと思うと
なんだか切なく
「でも、最初の頃と違うのは、1日の終わりに
よかったと思えること」との記述に救われる

そして2人の「妻」のことを思い出した

1人は四半世紀以上前、インドネシアのジャカルタに暮らす
日本の現地法人の銀行員の妻
治安がお世辞にも良いとは言えない土地で
同じ現法に勤める家庭と協力して
子供を小学校まで送り迎えするのも交代で行う
買い物に行くにも緊張を伴う暮らしで
ある日「日本に帰りたいなあ」と呟いたら
夫に「じゃお前だけ帰れば」と言われてしまった
「ベランダで泣いてたんですよね」と
後悔とともに教えてくれたのはその夫本人だった

もう1人は5年位前、小田原で鰯釣りさせてくれた
漁師の妻
釣り好きが高じて会社勤めを辞め
船を買って小田原に転居した夫と
育ち盛りの3人の子供、という家族構成
釣りの後、大量の鰯と20人ほどの客が
自宅に押し寄せ、一般家庭のキッチンに
5人くらいがひしめいて調理するのの
采配をふってくれた
カッティングの美しい大皿を出して
「これね、丸の内でOLしてた頃に買ったの!」
と、楽しそうに大きな瞳で話してくれた姿に
その頃はまさか将来こんな風に暮らすだなんて
みじんも思わなかったんだろうなあ
やっぱり妻となり母となれば
夫の生きかたの選択で人生を振られる
ものなのだろうなあ
などということを考えた

そんなことを思い出し
ふと気づいた
この本は石附氏の
奥様への贖罪と感謝を
形にしたものなのだった

この夏が終わって
一息ついた頃
お店を訪ねてみたい












千円札が一枚と、500円玉が一枚

2016-08-12 22:10:05 | 日記


お友だちと楽しくランチして
ゴジラ熱をさらにあっためちゃって
そのままやってきた玩具屋の
ソフビの人形コーナー

小さな息子が欲しいといった
怪獣の値段が高すぎると
父親が説得を試みるも
いまいち納得できない様子

だって、これはさ、
千円札が一枚と
500円玉が一枚
いるんだよ?
と、父

それだけ?
と、息子

そんなに、だよ!
と、父

ラックにずらりと並ぶ
色も形も様々な人形
標準価格が600円弱だということを
ムスメひとりしか持ってないわたしは
初めて知った

そんななか、ひときわ
でかくて目立つゴジラ
こっちは千円札が5枚要る
説得の手間すら不要

恐ろしい兵器を作った人類への
警鐘として生まれた怪獣
のはずなのに
なぜこんなにたくさんのひとの
愛着を集めるのだろう

近々、ゴジラ愛並々ならぬ
奴等が集まって
大鑑賞会を繰り広げる予定

その日おなじ回で
ご覧になる皆様

先に謝っときます

うるさくてごめんね…