新宿 花園神社の酉の市には
「見世物小屋」が出るらしい。
それを聞いて「行きたい」というムスメ。
な、なぜそのようなものに興味があるのだ。
「いいじゃん一生に一度は行っとくべきじゃない?」
そうかなあ。どうかなあ。
参拝客でごった返す境内の隅に
おどろおどろしい飾り付けのされた小屋が。
「蛇女」「変異体質の女」などに混じって
「狂気のOL」なんて看板もある。
どうしても入る勇気が出なくて困ってると
「いいよ、今度友達と来るから」というムスメ。
よしよし、それならお参りも済んだし
あとは屋台でなんか買おう。
「リンゴ飴食べる」とムスメ。
あんなの大きくて重たくて結局半分残すじゃん、と
思ったけどさっき見世物小屋をお断りした手前
しょうがない、買うよ。
お、普通のサイズのリンゴ飴の隣に
「姫リンゴ飴」というのがある。
こっちにしなよ。はい200円。
人混みを出て雑踏を歩きながら
どうにかして齧りつくムスメ。
「そういえば小学生の時、朝礼で」
飴を歯にくっつけながら喋る。
「校長先生が、『この中で、校庭に生えてる姫リンゴの木に
登って取って食べた子がいます』っていうから
それ、わたしだ・・・って」
なんでも、姫リンゴの木はそこそこ高く
友達の姉がそれによじ登り、下に居る妹らに落としてたんだとか。
「てっきり怒られるかと思ったら『元気でいいですね』だって」
それにしても何でバレてたんだろう、なんて言いながら
半分がた齧った飴を、はい、って分けてくれる。
校庭には実のなる木が何種類かあって
ムスメはほとんどを食べてみたんだそうだ。
「校庭産で一番まずかったのはカリン」
それも周囲にやめとけって言われてるのを
好奇心に勝てずに齧って、その渋さに後悔したと。
筋金入りの食いしん坊だな、と思いながら
幼稚園に通っていた時に
園庭に生えていた桑の木の実を
夢中になって取って食べてた自分を思い出す。
そっかあ遺伝かあ。なら仕方ない。
紫色のアケビの色がきれいで
実が甘くて美味しいんだけど
とにかく種ばっかりで閉口したことや
橙色のカラスウリが
絶対美味しそうなんだけど
なぜ食べられないんだろうと悔しかったことや
桜並木のサクランボを
佐藤錦かなんかのつもりで口にして
すぐさまペッペッてしたことや
あなたが生まれた記念に植えたんだよと
言われたおばあちゃんちの庭の
クコの実が真っ赤になればなるほど甘くなることや
食い意地の記憶と遺伝子は多分
ムスメのその先にも伝わっちゃうんだろうな。
固まった飴としんなりしてるリンゴが
同居してる口の中はえも言われぬ感覚で
それでも「あ。なんか美味しい」って
思えてしまうのが何とも残念。
残念てこともないか。
「見世物小屋」が出るらしい。
それを聞いて「行きたい」というムスメ。
な、なぜそのようなものに興味があるのだ。
「いいじゃん一生に一度は行っとくべきじゃない?」
そうかなあ。どうかなあ。
参拝客でごった返す境内の隅に
おどろおどろしい飾り付けのされた小屋が。
「蛇女」「変異体質の女」などに混じって
「狂気のOL」なんて看板もある。
どうしても入る勇気が出なくて困ってると
「いいよ、今度友達と来るから」というムスメ。
よしよし、それならお参りも済んだし
あとは屋台でなんか買おう。
「リンゴ飴食べる」とムスメ。
あんなの大きくて重たくて結局半分残すじゃん、と
思ったけどさっき見世物小屋をお断りした手前
しょうがない、買うよ。
お、普通のサイズのリンゴ飴の隣に
「姫リンゴ飴」というのがある。
こっちにしなよ。はい200円。
人混みを出て雑踏を歩きながら
どうにかして齧りつくムスメ。
「そういえば小学生の時、朝礼で」
飴を歯にくっつけながら喋る。
「校長先生が、『この中で、校庭に生えてる姫リンゴの木に
登って取って食べた子がいます』っていうから
それ、わたしだ・・・って」
なんでも、姫リンゴの木はそこそこ高く
友達の姉がそれによじ登り、下に居る妹らに落としてたんだとか。
「てっきり怒られるかと思ったら『元気でいいですね』だって」
それにしても何でバレてたんだろう、なんて言いながら
半分がた齧った飴を、はい、って分けてくれる。
校庭には実のなる木が何種類かあって
ムスメはほとんどを食べてみたんだそうだ。
「校庭産で一番まずかったのはカリン」
それも周囲にやめとけって言われてるのを
好奇心に勝てずに齧って、その渋さに後悔したと。
筋金入りの食いしん坊だな、と思いながら
幼稚園に通っていた時に
園庭に生えていた桑の木の実を
夢中になって取って食べてた自分を思い出す。
そっかあ遺伝かあ。なら仕方ない。
紫色のアケビの色がきれいで
実が甘くて美味しいんだけど
とにかく種ばっかりで閉口したことや
橙色のカラスウリが
絶対美味しそうなんだけど
なぜ食べられないんだろうと悔しかったことや
桜並木のサクランボを
佐藤錦かなんかのつもりで口にして
すぐさまペッペッてしたことや
あなたが生まれた記念に植えたんだよと
言われたおばあちゃんちの庭の
クコの実が真っ赤になればなるほど甘くなることや
食い意地の記憶と遺伝子は多分
ムスメのその先にも伝わっちゃうんだろうな。
固まった飴としんなりしてるリンゴが
同居してる口の中はえも言われぬ感覚で
それでも「あ。なんか美味しい」って
思えてしまうのが何とも残念。
残念てこともないか。