LE REGARD D'ALAIN DELON

アラン・ドロンさんの魅力を探ります。

FRANK RIVA アラン・ドロンの刑事フランク・リーヴァ (3)-4

2007-12-01 | THE 00'S CINEMA
先日放映された第3話については以前に以下の記事を書いてきましたが、

FRANK RIVA アラン・ドロンの刑事フランク・リーヴァ (3)-1
FRANK RIVA アラン・ドロンの刑事フランク・リーヴァ (3)-2
FRANK RIVA アラン・ドロンの刑事フランク・リーヴァ (3)-3

今回日本語訳を初めて観て理解できた後の今の感想を書き連ねていきます。

まずは3話通して一番感じるのは『復讐のビッグ・ガン』との関連性でした。
そこで改めて85年のこの作品を見返してみると
初見当時は感じなかった『復讐~』のシナリオの粗雑さが浮き彫りになってきます。
確かにいくつかのシーンはよくできていますし、
ラストのドロンさんとジャック・ペランとのやりとりは
大変いいムードがかもし出されてはいます。
しかし全体的には暴力的でやや下品な空気が流れており、
今回の『フランク・リーヴァ』の上質さとは比べ物になりません。

恐らく両作品の執筆者であるフィリップ・セボンPhilippe Setbonは『復讐~』のシナリオの弱点を強く認識しており、
今回新たな物語においてそのエッセンスを再構築しようとしたのではないかと個人的には感じました。
ご本人のインタビューの中では具体的に言及されてはいませんが、
例え無意識でもそのような心理が働いたとしても不思議ではありません。
約20年経って人生経験も重ねた脚本家が同じ主演スターをイメージして
よりドラマ性に膨らみを持たせたシナリオを執筆する作業と言うのは
恐らく非常に充実した仕事になったのではないかと推察します。

公式サイトの彼のインタビューに印象深い言葉があります。
Frank Riva - Le site de la serie : photos, videos, personnages, acteurs et episodes France 2
“アラン・ドロンというスターを主演にしたシナリオを書くとき
彼の過去を無視するようなことをしてはいけない。
そんなことをしてしまうと、ドロンの過去の映画を観て抱いている
観客のイメージや感情を奪い取ってしまうことになってしまうからだ。”
『フランク・リーヴァ』は正に彼のこの信念に基づいて執筆された
(『シネマ』に匹敵するような)オリジナル長編物語の力作であると言えます。


第1シリーズのキー・パーソンであるグザヴィエ警視の妻役の
ニコール・カルファンの公式サイトでのインタビューを最後にお届けします。

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“アラン・ドロンは私にとって映画界でのゴッド・ファーザーと言ってもいい人です。
1969年、私は『ボルサリーノ』のカメラ・テストに合格しました。
私の目の前にいたのはジャック・ドレー監督、ジャン・ポール・ベルモンド、
そしてアラン・ドロンでした。
皆様そのときの私の気持ちがどんなだったか想像できますか?
彼らは私にチャンスを与えてくれたのです。
次の年、私はジャン・ポールと一緒にヴェルヌイユ監督の『華麗なる大泥棒』LE CASSEに出演しました。
そして1977年に今度はジャック・ドレー監督とドロンとともに『友よ静かに死ね』に出演しました。
これは素晴らしい作品でした。

その後アランと私は一緒に仕事する機会はなかったのですが
私が舞台に出演したとき彼はよく観に来てくださいました。
彼は私にとってとても信頼できる友人です。

『フランク・リーヴァ』出演については、彼が私にこう言ってくれたのです。
“もっと主要な役柄を君にオファーできたらよかったんだけれども、
それでも君がこの役を演じてくれたら僕は嬉しいんだ。”
私は全く躊躇しませんでした。
監督のPatrick Jamainとは以前にテレビ・シリーズの
"Navarro" (1989) で一緒に仕事をしていますし、
共演のジャック・ペランも私の尊敬する俳優でしたから。

アランと一緒にお芝居をするといつも感銘を受けます。
なぜなら彼は役の上での人間関係がどんなものであろうと
深みを持たせてくれますし、さらに感動を与えてくれるのです。
なぜなら役を離れた私たち自身が深く信頼しあっていますので
心からの言葉を発することができるからなのです。

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なおこの作品のサントラについてはこちらをご覧下さい。
『FRANK RIVA』
Comments (2)
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