LE REGARD D'ALAIN DELON

アラン・ドロンさんの魅力を探ります。

FRANK RIVA アラン・ドロンの刑事フランク・リーヴァ (6)

2007-12-21 | THE 00'S CINEMA
計6回に亘って放映されたこのドラマもとうとう最終回となりました。
この第6話はドロンさんの過去の出演映画を想起させるシーンが満載で、
シリーズ最終作にふさわしい正にドロンさんのためのエピソードとなりました。

宿敵マキシムがパリを去ったことでリーヴァ警視はバハマに帰る決意をし、
恋人のリディ署長に「一緒に島に帰ろう。」と誘いますが、
この辺は『復讐のビッグ・ガン』で主人公と恋人の女性刑事が
唐突に島に帰っているシーンが出てくるのに比べると丁寧な描写になっています。

部下の刑事たちに連れられて無実の罪を着せられて警察に出頭するシーンでは、
出迎えたリディに対して一瞬目線を合わせた後すぐにうつむいて目の前を去りますが、
これなどは『暗黒街のふたり』の中で、殺人を犯した主人公ジーノが、
保護司のジャン・ギャバンに警察内部で面会するシーンを思い起こさせます。

その後警察署内で長官や監察官たちから尋問を受けるシーンも
同じく『暗黒街のふたり』や『ブーメランのように』での
主人公が警察内で執拗に尋問を受けるシーンを思い起こさせます。

そして監察官らに連行される途中で銃を手渡されて脱走を試みる場面で
足でドアを閉めながら車に乗り込み、銃で刑事たちを威嚇するドロンさんの演技は、
『ル・ジタン』の主人公が復活したかのようでした。

脱出に成功したリーヴァは『サムライ』の主人公よろしく地下鉄でもって逃亡を開始します。

行き着いた先はいつものレストランのベルモンドに似た主人。
彼は全く躊躇せずリーヴァに隠れ家といくらかのお金、そして携帯電話を提供します。
これは『仁義』でドロンさんが逃亡犯のジャン・マリア・ボロンテを助け隠れ家を提供するという、
他人の痛みが分かる犯罪者同士の心のふれあいを再現しているように感じます。

その後真犯人を探すためにリーヴァ刑事が協力を依頼しに出向いた先は、
かつて自分が密告したために逮捕された経歴を持つ男が経営するビリヤード場。
このビリヤード場という場面設定も『仁義』の印象深いシーンを思い出させますし、
何よりもリーヴァを出迎えるこの主人がどこかチャールズ・ブロンスンに似ていて、
自分の拳銃をリーヴァに提供する場面などは『さらば友よ』を連想させます。

そしてラスト・シーンでの真犯人との正面からの一対一の対決場面は
『ジェフ』、『リスボン特急』、そして『チェイサー』などで目にしてきました。

思いつくままに私が過去のドロンさんの作品とダブっているように感じた場面を書きましたが、
どこまで製作者たちがこれらを意識していたかは定かではありません。
ですのであくまで私の主観的なものに過ぎないのですが、
こんな形でこの作品を楽しむことができたのは、
やはりドロンさんのこれまでのキャリアがあってのことであり、
他の俳優では成立し得ないものなのだと改めて感じ入った作品でした。
Comments (4)
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