陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

料理を粗末にしない<船場吉兆>(追記有り)

2008-05-05 17:35:07 | 食べ物
 連休中は晴れた日が続いたが、福島方面へ小ドライブをしたのみ、後は庭木手入れなどでのんびりと過ごした。庭では、椿、連翹(れんぎょう)や山躑躅(つつじ)が開花し、如何にも晩春らしい。桜が散った沿道では、「はなみずき」が見事な白い花を咲かせて、行く人の目を楽しませている。

 昨年から話題を振り撒いた<船場吉兆>、またもや新聞タネを提供してくれた。今度は、客の食べ残しを別の客に出していたと言う料理長の懺悔である。

「恥ずかしくて言えなかった」料理長謝罪 醜態どこまで船場吉兆
2008.5.2 23:38

 「恥ずかしくて言えなかった…」

 一連の偽装表示事件で民事再生手続き中の船場吉兆(大阪市中央区)で、客の食べ残しを別の客に使い回していた問題が発覚した2日夜、同社本店の山中啓司料理長が沈痛な表情で深く頭を下げた。

 「一から再出発したい」と今年1月に本店の営業を再開したが、使い回しの事実は公表していなかった。不正との決別を誓ったはずの女将の湯木佐知子社長(71)は「不在」として姿を見せず。

 モラルを無視した老舗料亭の度重なる背信行為に、顧客らは「誇りはないのか」とあきれた。

 「できるだけ自分たちで食べたり、廃棄するようにしていたが、いつも(湯木正徳)前社長が調理場にいたため、指示に従うしかなった」

 本店前で取材に応じた山中料理長は「今後一切いたしません」と釈明したが、報道陣からは農水省に提出した改善報告書や記者会見などでも公表してこなかったことに批判が集中した。

 これまでも不正が明らかになるたび、取引業者や現場に責任を転嫁し、隠蔽を繰り返してきた船場吉兆。

 この日佐知子社長は「外出中」で、山中料理長は「私のかい性もなかったのかもしれない。お客さまに申し訳なく、恥ずかしくて言えなかった」とうなだれた。

 午後5時から通常通り開店したが、予約客は1組のみ。

 食事を終えた女性は報道陣の問いかけにも足早に車で立ち去った。

 使い回しの事実に、関西財界や顧客らからは厳しい意見が相次いだ。

 大阪商工会議所の小池俊二副会頭(サンリット産業社長)は「真実だとしたら許し難い」と語気を強め、「(一連の不祥事で)お客さまに対して、果たして本当の意味での社会的責任を認識していたか疑問。(再建に向け)経済界でも応援しようという声もあったのに残念」と話した。

 店の前を通りかかった兵庫県西宮市の会社社長(51)は「昔食べた料理も使い回しだったのか。論外でしょう」と怒りをあらわに。

 地元の商店主(64)は驚きのあまり絶句した後、「落ちるところまで落ちていたということか。もう、立ち直れないかもしれないな」と寂しそうにつぶやいた。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080502/crm0805022345046-n1.htm


 それで、この料理長と新聞記者とのやり取りは

「今はいっさいない」使い回し疑惑で船場吉兆料理長 一問一答
2008.5.2 23:46

 「船場吉兆」の山中啓司料理長(47)と報道陣の一問一答は次のとおり。

--なぜ使い回したのか

 湯木正徳前社長が「見た目がきれいなまま捨てるのはもったいない。使えそうなものは食べるなり、再度利用できる」と指示した

--具体的には

 アユなどが1本か2本足りないときに、下がってきた料理の状態を見て、きれいなものを再度焼いたり揚げたりして温めた。5~7年前に始まり、週に1度とか、2、3週間に1度くらいのペースで続いた

--知っていたのは

 前社長と私。調理場の従業員は全員。佐知子社長についてはわからない

--反対しなかったのか

 モラルに反すると思ったが、社員の立場では社長の指示に従うしかなかった。情けない話だが私のかい性がなかった

--隠していたのか

 やっちゃいけないことをやっているという意識があった。お客さまに申し訳ないし、料理人として恥ずかしかった。昨年来の問題があり、今後は一切ないということで営業を再開したので出せなかった

--今はしていないのか

 一切ない。営業再開後は食材の仕入れ状況などをすべてノートで記録している。当時も翌日に持ち越して使い回したりしたことはなかった
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080502/crm0805022347047-n1.htm

 多分、これは心ある従業員の内部告発によるものだろう。知人の居酒屋の親父も、「食い物屋のやることじゃあねぇですな」とただ呆れていた。天網恢恢、疎にして漏らさず。<船場吉兆>は、店を畳んで料理業界から潔く身を引いた方が良いと思う。

(追記:5月8日)

 使い回しの具体的内容が更に詳しく分かった。<吉兆>の開祖で文化功労者、故湯木貞一氏は、草葉の陰で何と思うであろうか。<船場吉兆>の最高責任者湯木佐知子氏は、貞一氏の実の三女である。

せこい!船場吉兆 食べ残しの天ぷら、アユ塩焼きを別の客に
2008.5.2 21:21

 牛肉の産地を偽装表示していた高級料亭「船場吉兆」(大阪市中央区)が、本店の料亭部門で客が残した天ぷらやアユの塩焼きなどの料理をいったん回収し、別の客に提供していたことが2日、分かった。料亭経営を取り仕切っていた当時の湯木正徳前社長(74)の指示で昨年11月の営業休止前まで常態化していたという。大阪市保健所も同日、「モラル上あってはならないこと」として食品衛生法に基づき、本店の立ち入り調査を行った。事実関係を確認したうえで行政指導する方針という。

 一方、九州産牛肉を但馬牛などと偽って販売した偽装事件について、府警は、表示変更のコストを節約するために偽装を継続したとみて、不正競争防止法違反(虚偽表示)容疑で湯木前社長と長男の喜久郎前取締役(45)らの書類送検に向け、詰めの捜査を急いでいる。

 関係者の証言によると、使い回しは、本店の調理場で、仲居が客席から下げてきた器を回収。客がはしを付けた料理は調理人が廃棄するが、はしを付けずに残った料理の一部はいったんトレーなどに移し替え、器に盛り付け直して別の客に提供していたという。

 使い回されていたのは、アユの塩焼き、ゴボウをうなぎで包んだ「八幡巻き」、エビに魚のすり身を塗って蒸した「えびきす」など。天ぷらは揚げ直して出すこともあった。さらに手付かずの刺し身のつまも出し直していた。

 接待の宴席などでは、比較的食事に手をつけない接待側の客に使い回しの料理を出していたといい、元従業員は「先輩の調理人から『使えるものはすべて使う』と指示され、残った料理をえり分けていた。1人数万円の料金を取っていた高級料亭として恥ずかしい」と話している。

 これらの使い回しについては、府警も一連の捜査の過程で事情を把握しているという。

 船場吉兆の代理人弁護士は、使い回しを認めたうえで「お客さまに大変申し訳ない」と謝罪。「(1月の)営業再開後は一切やっていない」と説明している。

 食品衛生法は、腐敗などで健康を損なう恐れがある食品を販売することを禁じているが、使い回しに関する規定はないという。市保健所は「健康被害がなければ法的な責任は問えないが、食に携わる事業者としてあってはならない」と話しており、同社の関係者から詳しく事情を聴いている
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080502/crm0805021423026-n1.htm

(参考)

 <船場吉兆>の不祥事

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