リーマン・ショック後も一人勝ちの状態であった米国大手金融会社ゴールドマン・サックス(GS)が、4月16日、証券取引法違反で米証券取引委員会(SEC)に告発された。サブプライムモーゲージ関連で、情報公開をしないままに金融商品を売りつけ、投資家に巨額の損をさせたとの内容。
これは、オバマ政権の大手金融企業に対する明らかな警告とも取れる。
大企業GSは、米国歴代政権の財務長官に経営者を送り込んでいる。先代のポールソン財務長官もその一人で、リーマン・ショック後の金融政策で陣頭指揮を執った。
この告発がウオール外に伝わると、ダウ平均は急落し、一時175ドルも減価、最終的にこの日はー125.91ドルで引けた。
さて、これと類似の問題がGS以外の大手金融企業にも波及するかどうか。ウォールストリートジャーナルによると、
米SEC、サブプライム関連でゴールドマン・サックスを告発ー詐欺行為を追及
2010年 4月 17日 15:36 JST
米証券取引委員会(SEC)は16日、米金融大手ゴールドマン・サックスを証券詐欺罪で告発した。SECは、ゴールドマンが、大手ヘッジファンド、ポールソン・アンド・カンパニーによる反対取引を開示せず、サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)関連の金融商品を販売し、投資家を欺いたとしている。
今回の民事訴訟では、ゴールドマンと同社のファブリス・トゥール氏(当時バイス・プレジデント)がサブプライムローンを裏付けとした債務担保証券(CDO)を組成して販売したとされる。SECは、ゴールドマンは積極的にCDOの販売促進を展開した一方で、同社の顧客である大手ヘッジファンドがCDOに組み込まれる証券の選定に関与していたことや同ファンドが反対取引を行っていたことを開示しなかったと主張している。
これに対しゴールドマンは声明文で、SECの訴えは「法的に見ても事実に照らしてもまったくの事実無根」と反論。同社は巨額の罰金を科せられる可能性があるほか、約10億ドル(約920億円)の投資家損失の補填を求められる可能性もある。ゴールドマンは金融危機下で同社がとった行動をめぐって批判を浴びており、同社にとってはさらなる痛手となった。
SECの訴えでは、ポールソン・アンド・カンパニーは、米住宅市場と同市場関連証券が変調をきたし始めた2007年初めにゴールドマンに対し、CDO組成関連で1500万ドルを支払っている。
またSECによると、ゴールドマンはポールソン・アンド・カンパニーがCDO組成時に深く関与していたが、一方では住宅市場の崩壊に賭けクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)取引をゴールドマンと行っていたことを開示しなかった。この取引でポールソン・アンド・カンパニーは10億ドルの利益を上げたとSECは主張している。
SECのロバート・クザミ法務執行局長は、「ゴールドマンは、不当に一顧客が投資ポートフォリオに含まれる不動産ローン担保証券の選定に影響力を行使し、住宅ローン市場の崩壊に賭けることを容認していた。一方、他の投資家にはCDOへの組み込み銘柄は独立した客観的な立場から第三者が行ったと説明をしていた」と批判している。
SECの訴えの中心は投資家に対する不適切な情報開示。クザミ局長は、今回の訴状ではポールソン・アンド・カンパニーは投資家に対して情報開示をする立場にあったわけではないことから告発の対象とはなっていないと説明した。同社はコメントの求めに応じていない。
さらにSECは訴えのなかで、現在ロンドンでゴールドマン・サックス・インターナショナルの執行役員として勤務しているトゥール氏がCDO組成で「中心的役割を果たした」としている。
同氏は友人に宛てた電子メールでCDO市場の崩壊について「いつ市場全体が崩壊してもおかしくない」と認識していたことが明らかにされている。
SECは、ゴールドマンとトゥール氏は、ヘッジファンドのポールソンがCDOに組み込まれている証券に対する反対取引をしていることがわかれば、CDOを販売するのは困難になるということを知っていた主張。そこでゴールドマンは、担保証券などのリスク分析を行うACAマネジメント(ニューヨーク)に接触し、同社に「ポートフォリオ選定エージェント」としてCDOビジネスに参加するよう求めたという。
SECの訴状では、ゴールドマンとヘッジファンドのポールソンとの会議の後、ACAがポールソンの目的に困惑させられたと指摘されている。ACAのある人物はゴールドマン代表者に対し電子メールで、CDOビジネスでポールソンが具体的にどのような立場にあるのか、同社が理解できていないとして不満を述べていたという。
http://jp.wsj.com/Finance-Markets/Finance/node_52116
これは、オバマ政権の大手金融企業に対する明らかな警告とも取れる。
大企業GSは、米国歴代政権の財務長官に経営者を送り込んでいる。先代のポールソン財務長官もその一人で、リーマン・ショック後の金融政策で陣頭指揮を執った。
この告発がウオール外に伝わると、ダウ平均は急落し、一時175ドルも減価、最終的にこの日はー125.91ドルで引けた。
さて、これと類似の問題がGS以外の大手金融企業にも波及するかどうか。ウォールストリートジャーナルによると、
米SEC、サブプライム関連でゴールドマン・サックスを告発ー詐欺行為を追及
2010年 4月 17日 15:36 JST
米証券取引委員会(SEC)は16日、米金融大手ゴールドマン・サックスを証券詐欺罪で告発した。SECは、ゴールドマンが、大手ヘッジファンド、ポールソン・アンド・カンパニーによる反対取引を開示せず、サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)関連の金融商品を販売し、投資家を欺いたとしている。
今回の民事訴訟では、ゴールドマンと同社のファブリス・トゥール氏(当時バイス・プレジデント)がサブプライムローンを裏付けとした債務担保証券(CDO)を組成して販売したとされる。SECは、ゴールドマンは積極的にCDOの販売促進を展開した一方で、同社の顧客である大手ヘッジファンドがCDOに組み込まれる証券の選定に関与していたことや同ファンドが反対取引を行っていたことを開示しなかったと主張している。
これに対しゴールドマンは声明文で、SECの訴えは「法的に見ても事実に照らしてもまったくの事実無根」と反論。同社は巨額の罰金を科せられる可能性があるほか、約10億ドル(約920億円)の投資家損失の補填を求められる可能性もある。ゴールドマンは金融危機下で同社がとった行動をめぐって批判を浴びており、同社にとってはさらなる痛手となった。
SECの訴えでは、ポールソン・アンド・カンパニーは、米住宅市場と同市場関連証券が変調をきたし始めた2007年初めにゴールドマンに対し、CDO組成関連で1500万ドルを支払っている。
またSECによると、ゴールドマンはポールソン・アンド・カンパニーがCDO組成時に深く関与していたが、一方では住宅市場の崩壊に賭けクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)取引をゴールドマンと行っていたことを開示しなかった。この取引でポールソン・アンド・カンパニーは10億ドルの利益を上げたとSECは主張している。
SECのロバート・クザミ法務執行局長は、「ゴールドマンは、不当に一顧客が投資ポートフォリオに含まれる不動産ローン担保証券の選定に影響力を行使し、住宅ローン市場の崩壊に賭けることを容認していた。一方、他の投資家にはCDOへの組み込み銘柄は独立した客観的な立場から第三者が行ったと説明をしていた」と批判している。
SECの訴えの中心は投資家に対する不適切な情報開示。クザミ局長は、今回の訴状ではポールソン・アンド・カンパニーは投資家に対して情報開示をする立場にあったわけではないことから告発の対象とはなっていないと説明した。同社はコメントの求めに応じていない。
さらにSECは訴えのなかで、現在ロンドンでゴールドマン・サックス・インターナショナルの執行役員として勤務しているトゥール氏がCDO組成で「中心的役割を果たした」としている。
同氏は友人に宛てた電子メールでCDO市場の崩壊について「いつ市場全体が崩壊してもおかしくない」と認識していたことが明らかにされている。
SECは、ゴールドマンとトゥール氏は、ヘッジファンドのポールソンがCDOに組み込まれている証券に対する反対取引をしていることがわかれば、CDOを販売するのは困難になるということを知っていた主張。そこでゴールドマンは、担保証券などのリスク分析を行うACAマネジメント(ニューヨーク)に接触し、同社に「ポートフォリオ選定エージェント」としてCDOビジネスに参加するよう求めたという。
SECの訴状では、ゴールドマンとヘッジファンドのポールソンとの会議の後、ACAがポールソンの目的に困惑させられたと指摘されている。ACAのある人物はゴールドマン代表者に対し電子メールで、CDOビジネスでポールソンが具体的にどのような立場にあるのか、同社が理解できていないとして不満を述べていたという。
http://jp.wsj.com/Finance-Markets/Finance/node_52116
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます