愛知の女性拉致・殺害事件に募る寂しさ；追記有り

　９月を迎えて、当地の朝夕は随分と涼しくなった。初秋と言えば、何はともあれ秋刀魚である。小名浜に住む友人が、生きの良い秋刀魚を沢山送って来てくれた。小骨を抜いた刺身も美味しいが、何と言っても焼き物に大根おろし添えが最高である。つい冷酒の量が増えてしまう。知人達にもお裾分けして、皆から悦ばれた。

　秋は、食べ物が美味しい季節だ。果物、野菜も良いが、魚も脂がのって良くなる。高級な料理でなくても、工夫して様々な味わいが楽しめる。一般には、男性よりも女性の方がＣ／Ｐに富んだ料理に詳しいようだ。そうした食べ物を楽しむ女性の一人が、理不尽にも通り魔に拉致されて殺害された。毎日新聞によると、


愛知女性殺害　被害者、事件翌日に交際男性と食事の約束
8月28日17時6分配信 毎日新聞

　名古屋市千種区春里町２、派遣社員、磯谷利恵さん（３１）の拉致・殺人事件で、磯谷さんは事件に遭った翌日の２５日、今春から交際していた男性と食事の約束をしていた。男性とは趣味の囲碁を通じて知り合ったといい、今年中には囲碁の初段を目指していたが、凶行に夢を断たれた。２人が通っていた囲碁の出来るカフェの経営者の男性は「（容疑者に）心はあるのか」と、やるせない表情を見せる。

　子どものころの磯谷さんを知る関係者は「大人しい性格」と口をそろえる。小中学校時代の同級生の名古屋市緑区のパート女性（３０）によると、磯谷さんは中学校時代、文芸部と読書クラブに所属。丁寧な字でノートを取る姿が印象的だったという。近所の人も「犬の散歩中に会った時、ずっと犬をなでてくれた」と振り返り、誰からも穏やかな印象を持たれていた。

　一方、磯谷さんが普段は見せない負けず嫌いな一面をのぞかせたのは、名古屋市中区新栄のカフェだった。このカフェは毎週１回、客や経営者が対局する「囲碁会」を開いており、磯谷さんは囲碁会に欠かさず参加していた。経営者の男性（４９）によると、磯谷さんが囲碁を始めたのは２５～２６歳のころといい、友人から「おしゃれなカフェで囲碁が打てる」と誘われ、今年４月から、このカフェに通い始めた。

　磯谷さんは手作りのケーキを持参したり、好物のワインを飲んでおしゃべりも楽しんでいたという。囲碁には熱心で、自宅でもインターネットを使った囲碁で腕を磨き、「今年中に初段を取りたい」と意欲的に取り組んでいた。プロと対戦する時でも「絶対に負けたくない」と勝ち気な側面を見せ、一局に６時間かけることもあったという。

　交際していた男性とも、このカフェで知り合った。事件の１０日ほど前、磯谷さんは名古屋市中区の名古屋城の夏祭りへ２人で行き、夜空のペルセウス座流星群を眺めた。その時、浴衣姿で幸せいっぱいにほほ笑む磯谷さんに男性がシャッターを切った写真は、磯谷さんが撮った生前の最後の写真とみられる。

　事件を知らない男性は２５日、食事の待ち合わせ場所で、磯谷さんが現れるのを待ち続けた。携帯電話に連絡したが、応答するはずもなく、２３日の電話が最後の会話となった。取材に応じた男性は「『食事が楽しみ』とうれしそうに話していたのに」と大粒の涙を流し、深くうなだれた後は言葉を継ぐことが出来なかった。【松岡洋介】

最終更新:8月28日17時6分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070828-00000022-maip-soci

　磯谷さんは、食べ物ブログの保有者だ。名古屋市内にある好みのレストランや酒食をする店を、上品なスタイルで写真を入れながら楽しそうに書いていた。東京出張の折も、余暇のレストラン選びに悦びを感じていたようだ。

　彼女のブログの存在を名古屋地域の新聞が報道したものだから、心無い人達が押しかけて、勝手な書き込みをした。何も悪いことをしていない女性が偶々通り魔に殺害され、亡くなってからもブログに誹謗中傷を書かれたのではたまったものではない。日本人も、ここまで落ちてきたかとの感が否めない。

　囲碁にも凝っていたという磯谷さんに弔意を表して、一人静かに棋譜を碁盤に並べてみた。故影山利郎７段（アマからプロになった棋士）が、若い名人林海峯氏と首相杯争奪で激戦し、会心の勝利を収めた濃密な内容だ。囲碁は素晴らしい知的遊戯だが、私は筋が悪いせいか全然上達しない。磯谷さんは、女性には珍しく初段取得を目指していたと言うから、中々の打ち手だったのだろう。

　それにしても、磯谷さんの下手人たちは鬼畜そのものだと思う。体力的に劣る女性を屈強な３人の男が襲い、拉致して殺害するなど、卑劣そのものである。主犯は朝日新聞拡張員だが、朝日新聞社は直接関係は無いとして謝罪しようともしない。磯谷さんのブログを不用意に紹介したのは、名古屋の地方新聞社。日本のマスコミは、押しなべて道徳的に腐っていると言われても反論出来ないであろう。

　味覚の秋を迎えて、故磯谷利恵さんに心からご冥福をお祈りすると共に、彼女は秋刀魚の美味も最早味わえないのかと寂しく感じた次第。


（追記１：９月１５日）

　下手人たちが正式に起訴された。厳罰の下ることを期待する。

闇サイト事件：３容疑者を強殺容疑で再逮捕

　名古屋市千種区の派遣社員、磯谷利恵さん（３１）拉致・殺人事件で、愛知県警千種署特別捜査本部は１４日、住所不定、無職、川岸健治被告（４０）ら３被告＝いずれも死体遺棄罪で同日起訴＝を強盗殺人と営利略取、逮捕監禁の疑いで再逮捕した。３容疑者は「手っ取り早く、金を稼ぎたかった」などと供述しているという。また、３人は事件について反省している様子はないといい、被害者への謝罪の言葉もないという。

　ほかに再逮捕したのは同県豊明市栄町西大根、朝日新聞セールススタッフ、神田司（３６）と、名古屋市東区泉１、無職、堀慶末（３２）の両被告。３容疑者はいずれも容疑を認めているという。

　調べによると、３容疑者は先月２４日午後１１時１０分ごろ、同市千種区春里町２の路上で、帰宅途中の磯谷さんに「すいません」と声をかけ、車内に連れ込み、磯谷さんの両手に手錠をかけたうえ、２５日午前１時ごろ、同県愛西市内佐屋町西新田の駐車場に止めた車内で、包丁を突き付けるなどして現金約６万２０００円やキャッシュカードを奪い、磯谷さんの頭をハンマーで数十回殴り、首をロープで絞めるなどして殺害した疑い。

　３容疑者は川岸容疑者が８月１７日、携帯電話のサイトに「自分は刑務所を出て、派遣社員をやっています。何かやりませんか」などと書き込み、これに応じた神田と堀の両容疑者らと知り合ったという。携帯電話のサイトについて、神田容疑者は１０年、川岸容疑者は７～８年も利用していたといい、堀容疑者は今年６月からだったらしい。

　磯谷さんを拉致した２４日は午後４時過ぎに名古屋市北区内の飲食店で打ち合わせ、この場で女性から金品を奪って殺害する計画を立てたという。３人はその後、川岸容疑者の車で同市千種区に移動し、「金持ちが多いから」との理由で同区の覚王山付近を物色していた。磯谷さんを狙った理由については「まじめそうで、金をため込んでいそうだったから」などと供述しているという。【米川直己】

毎日新聞　2007年9月14日　23時27分
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20070915k0000m040144000c.html

　とうとう毎日新聞は、容疑者が朝日新聞セールススタッフ、神田司（３６）と書くようになった。

（追記２：１０月５日）

神田容疑者ら3人追起訴＝強盗殺人などで－女性拉致殺害・名古屋地検
10月5日19時2分配信 時事通信

　名古屋市の契約社員磯谷利恵さん（31）が拉致された上、殺害された事件で、名古屋地検は5日、強盗殺人と営利略取、逮捕監禁の罪で新聞販売員神田司（36）、無職川岸健治（40）、同堀慶末（32）の3容疑者を追起訴した。
　川岸容疑者については、強盗強姦未遂罪でも起訴した。
　起訴状によると、神田容疑者らは8月24日午後11時10分ごろ、同市千種区春里町の路上で、帰宅途中の磯谷さんを拉致し、手錠を掛けるなどして車中に監禁。約20キロ離れた愛知県愛西市の駐車場まで移動し、翌25日午前1時ごろ、磯谷さんに包丁を突き付け現金約6万2000円などを奪った上、頭部や顔面をハンマーで殴打、鼻と口に粘着テープを複数回巻き付け、首をロープで絞めるなどして殺害した。　

最終更新:10月5日19時2分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071005-00000137-jij-soci