陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

「金華鯖姿寿司」を味わう

2012-03-02 17:06:21 | 食べ物
 石巻市の(有)ミヤイチが提供する銘産「金華鯖姿寿司」は、中々の美味で忘れ難い。春秋の旬の頃、金華山沖で獲れた大型の真鯖を三枚におろし、厚味の皮付き鯖肉に整え、京都風の味付けを加えて、押し寿司に仕上げる。寿司米は、厳選されたササニシキに、別品種を炊き合わせて飯米とするらしい。石巻市まで行かなくても、仙台市の著名土産物店で購入出来たので、何度もこれを味わった。
http://www.miya-ichi.com/products/

 東日本大震災で、石巻港は文字通り潰滅し、ミヤイチも製造所を根こそぎ失った。暫らくは、「金華鯖姿寿司」も食べることは無いなと思っていたら、何と近所のスーパーに以前と変わらぬ棒押し姿を保ちながら販売していたので、迷わず早速1本を購入した。約500g強の大振り鯖寿司は、昔のままの竹薄皮パッケージに仕立て上げ「られ、透明な白板昆布で覆われている。

 我が家では、これを約2cm巾に切り分けて、大いに楽しんだ。以前と変わらぬ味の懐かしさ。スーパー店長の話では、石巻の「大漁祭り」が開かれ、仙台市の魚市場近辺で製造を慎ましく再開したミヤウチが出品したとの事。3月にも、また入荷しますよと教えてくれた。

 鯖の押し寿司と言えば、京都市祇園切り通しに位置する老舗<いづう>が有名だ。私は、河原町四条のホテルに泊まる時、早目にチェックアウトして、焦る気持ちで<いづう>に立ち寄り、鯖姿寿司を1本(土産用)と新幹線の中で食べる1人前を購入するのを楽しみにした。ここは、若狭湾で獲れる真鯖を200年以上の伝統的甘酢で〆(しめ)て、丸棒状の形で顧客へ提供してくれる。
 http://r.gnavi.co.jp/izu/

 京都の旧家では、4月から10月まで様々な形で行われる祭りに合わせながら、沢山の鯖寿司を造り、小豆赤飯などと共に重箱へ詰めて、親戚あるいは有力顧客へ配布したと聞いた。如何にも、京都らしい古風な仕来りと思う。核家族化が著しく進行した昨今、こうした心温まる旧家の風情は維持されているのだろうか?

 ミヤイチも京風の味を積極的に取り入れ、大変美味しく頂戴するのだが、<いづう>のそれとは異なるように思う。

 ともあれ、ミヤイチが石巻市で困難を乗り越えて復旧し、独自の優れた製品を提供してくれることを願う。
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