ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

河村市長「南京大虐殺」を否定

2012-02-23 08:54:21 | 南京事件
 河村たかし名古屋市長が、中国共産党南京市委員会の劉志偉常務委員らとの会談で、いわゆる「南京大虐殺」について「通常の戦闘行為はあったが、南京事件はなかったと思っている」と発言した。「南京で歴史に関する討論会をしてもいい。互いに言うべきことを言って仲良くしていきたい」とも述べたという。私は、よく言ってくれたと河村氏を支持する。
 中国南京市は、名古屋市と姉妹都市関係を結んでおり、「河村市長は南京大虐殺の史実を否定して、南京人民の感情を著しく傷つけた」として、名古屋市との交流を当面中止すると発表した。
 日本政府は3月9日から11日まで、南京市で「南京ジャパンウイーク」の実施を予定している。日中国交正常化40周年を記念する企画である。河村氏の発言がこの時期に合わせて行われたものであれば、日本政府に対して姿勢を問うものでもあるだろう。
 河村氏の提案のように南京市で公開討論会を実施するとよい。公開の場で大虐殺説への疑問を呈し、最新の研究成果も加えて大虐殺説を論評し、その討論の内容が世界に報道されるようにするとよいと思う。
 河村氏は、いわゆる「南京大虐殺」を「南京事件」と呼んでいる。だが「南京事件」イコール「南京大虐殺」ではない。私は、日本軍が南京を陥落した際の出来事を「南京事件」と呼んでおり、ある程度の民間人の殺傷はあったとしても、それは極少数であり、10万人単位の「大虐殺」はあり得ない、と判断する。主な理由は、拙稿「南京での『大虐殺』はあり得ない」に書いているので、ご参照願いたい。
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion06b.htm
 以下は関連する報道記事。

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●産経新聞 平成24年2月20日

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120220/lcl12022011410001-n1.htm
「南京事件なかった」と河村名古屋市長 中国共産党の市常務委員に「互いに言うべきこと言おう」
2012.2.20 11:35

 名古屋市の河村たかし市長は20日、同市役所を表敬訪問した中国共産党南京市委員会の劉志偉常務委員らとの会談で、旧日本軍による「南京大虐殺」について「通常の戦闘行為はあったが、南京事件はなかったと思っている」と発言した。
 河村氏は、終戦時に父親が南京市にいたことを挙げて「事件から8年しかたってないのに、南京の人は父に優しくしていただいた」と指摘。「南京で歴史に関する討論会をしてもいい。互いに言うべきことを言って仲良くしていきたい」とも述べた。

●産経新聞 平成24年2月22日

http://sankei.jp.msn.com/world/news/120222/chn12022209250003-n1.htm
日中国交40周年記念行事にも影響か 河村名古屋市長「南京大虐殺」否定発言の波紋
2012.2.22 09:20

 【上海=河崎真澄】中国江蘇省の南京市は21日、姉妹都市関係を結んでいる名古屋市の河村たかし市長が20日、旧日本軍による、いわゆる「南京事件」を否定する発言を行って住民感情が傷つけられたとして、同市との交流を当面中止すると発表した。河村市長への反発が広がれば、日中両国が今年、国交正常化40周年を記念して計画している行事や民間交流への影響も懸念される。
 南京市はミニブログ「微博」上で外事弁公室報道官の談話として、「河村市長は南京大虐殺の史実を否定して、南京人民の感情を著しく傷つけた」などと批判して、名古屋市との交流停止が事実上の報復措置であることを明らかにした。
 河村市長は先に、中国共産党南京市委員会の劉志偉常務委員らとの会談で、1937年のいわゆる南京事件に関し、「通常の戦闘行為はあったが南京事件はなかったのではないか。真実に関し討論会を開いてはどうか」と発言していた。
 これに対し中国外務省の洪磊・副報道官は20日の定例会見で、河村市長の発言に関して、「南京大虐殺には動かせない確かな証拠がある」などと反論。中国のインターネット上も、河村市長を強く非難する若者らの発言であふれている。
 両市は1978年12月に姉妹都市となっていた。
今回の措置では当面、日本政府が3月9日から11日まで、南京市で実施を予定している「南京ジャパンウイーク」に暗雲が漂う。
 この交流イベントには名古屋発の人気アイドルグループ「SKE48」も招かれている。だが反日の動きなど混乱が予想されれば、安全性が確保できないとして南京市側から会場の提供を断られる可能性がある。
 日中国交正常化40周年を迎えた今年、16日には北京市で「2012日中国民交流友好年」の開幕式が行われたばかり。開幕に合わせて東日本大震災からの復興をアピールする「元気な日本」展示会が同市で19日まで開かれたほか、上海市でも24日、同様の催しが開幕する予定となっている。
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2・22は竹島の日

2012-02-22 09:34:48 | 時事
 本日は「竹島の日」である。平成17年3月に島根県議会がこの日を定めてから、7回目となる。2月22日というのは、明治38年(1905)に政府が竹島を島根県に編入し、この日に島根県知事が所属所管を明らかにする告示を行ったことに由来する。2月7日の「北方領土の日」と同様、「竹島の日」は県のレベルではなく、国のレベルで制定すべきである。
 わが国は、大東亜戦争末期から敗戦直後にかけて旧ソ連によって北方領土を不法占拠された。続いて、連合国に占領されていた期間に、韓国の李承晩大統領が李承晩ラインを引いて竹島を自国の領土・領海に含めようとした。これに対し、わが国は有効な抗議・行動をせず、不法占拠を許し、実効支配を受ける状態となった。竹島では昨年秋、韓国のファッションショーやコンサートの開催に加え、旅客船が接岸できる大型の埠頭用防波堤などの建設計画が浮上した。わが国の政府は、こうした韓国の行為に強く抗議していない。
 本日行われる島根県主催の記念式典に閣僚ら政府関係者7人が招待されたが、全員が欠席し、代理さえも派遣しないという。政府は消極的な姿勢が目立つが、国会議員は代理を含め衆参16人が参加予定という。
 戦後日本人の領土意識は、極端に低下している。これを回復しないと、日本の現状は改革しえない。領土問題は主権の問題、国防の問題であり、つきつめると憲法問題である。そこに根本を置かないと、事態は決して好転しない。この点は、別に掲示している拙稿をご参照願いたい。

 拙稿「領土問題は、主権・国防・憲法の問題」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion12.htm
 目次から02へ

 以下は「竹島の日」に関する報道のクリップ。

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●産経新聞 平成24年2月21日

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120221/plc12022122100015-n1.htm
「竹島の日」の式典、閣僚・民主役員の出席ゼロ
2012.2.21 22:09

 「竹島の日」の22日、島根県主催の記念式典に招待された閣僚ら政府関係者7人全員が欠席することが21日分かった。藤村修官房長官は記者会見で「国会日程」を欠席理由に挙げたが、代理さえも派遣しない方針という。韓国に不法占拠される竹島の領土権確立を目指し、島根県が「竹島の日」を制定したのは平成17年。今回で7回目の式典となるが、政府関係者はまだ誰も出席していない。
 招待されたのは藤村氏、玄葉光一郎外相、鹿野道彦農水相、平野博文文部科学相の閣僚4人と、佐藤正典水産庁長官ら官僚3人。藤村氏は記者会見で「領土問題はオールジャパンで解決に当たる」と述べ、外交的配慮による欠席ではないと強調した。
 一方、国会議員は代理を含め衆参16人が参加予定。自民党は小泉進次郎青年局長、菅義偉組織運動本部長らが出席予定。民主党は4人が参加するが、党役員は含まれていないという。前回、党国民運動委員長として出席した渡辺周防衛副大臣は出席を見送った。
 一方、竹島が属する島根県隠岐の島町の松田和久町長は21日、竹島問題を所管する政府組織を設けることなどを求める要望書を首相官邸で藤村氏に渡した。藤村氏は「よい提案だ。十分検討したい」と応じた。

●産経新聞 平成24年2月22日

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120222/plc12022203070000-n1.htm
【主張】
竹島の日 国としての制定も検討を
2012.2.22 03:07 [主張]

 竹島の日の22日、今年も松江市で島根県主催の返還を訴える行事が行われる。だが、これは島根県だけの問題ではない。より強い国としての対応が必要だ。
 玄葉光一郎外相は先月24日の外交演説で初めて竹島問題に触れ、「韓国側に受け入れられないものは受け入れられないとしっかり伝え、粘り強く対応していく」と述べた。韓国が抗議し、この部分の撤回を求めてきたが、野田佳彦首相は、「撤回を受け入れることはできない」と要求を拒否したことを明らかにした。
 竹島問題にあまり関心を示さなかった鳩山由紀夫、菅直人両政権に比べれば一歩前進といえるが、まだまだ不十分だ。
 野田首相は昨年12月の日韓首脳会談で、「慰安婦問題の優先的解決」を強硬に求める李明博大統領に対し、竹島問題に直接、言及しなかった。
 竹島では昨秋、韓国のファッションショーやコンサートの開催に加え、旅客船が接岸できる大型の埠頭(ふとう)用防波堤などの建設計画も浮上した。首相は首脳会談で、不法占拠の既成事実化を狙った韓国の行為に強く抗議すべきだった。
 また、竹島への遊覧便を運航する韓国海運会社の対馬−釜山航路に対し、長崎県と同県対馬市が補助金を支出していることが最近、明らかになった。東日本大震災で運休した同航路を再開してもらうための補助金だという。
 これに関連し、「韓国企業ではなく、国内の観光客を誘致するためにお金を使ってほしい」との声も本紙談話室に寄せられている。難しい面もあるが、長崎県と対馬市に再考を求めたい。
 2月22日は明治38(1905)年に閣議決定を経て竹島を島根県の所管とする同県告示が出された日だ。その竹島の日が島根県で条例化されてから7年たつが、竹島返還は国を挙げて取り組まねばならない課題である。日本の主権が侵害されているのである。
 2月7日の「北方領土の日」が閣議決定されたのは鈴木善幸内閣の昭和56(1981)年1月だ。当時、「ソ連(現ロシア)の悪感情をつのらせる」といった理由で北方領土の日の制定に反対する声も一部で強かったが、鈴木首相は閣議決定に踏み切った。
 竹島の日制定に向け、国会決議や国の積極的な取り組みを期待したい。
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『古事記』編纂から1300年

2012-02-21 10:29:49 | 文明
 世界の主要な文明のうち、文明の担い手である民族が固有の神話と宗教を持ち続けている文明は、日本文明とインド文明のみである。日本民族は、固有の神話に先祖が登場する天皇が現在も国家の象徴として存続し、また固有の宗教の祭祀を宮中で執り行っている。これは、インド文明にない特徴である。
 ユダヤ民族は、固有の神話と宗教を保っているが、ユダヤ社会は主要文明には数えられない。また民族の中心家系による王朝が、古代に滅んでいる。西洋文明の担い手は、固有の神話と宗教を失い、ユダヤ民族の神話とユダヤ民族から生まれた宗教に改宗している。
 これらの点から見て、日本文明は、世界の主要文明のうち、唯一無二の特徴を持った文明である。

 日本文明は、古代から固有の神話と宗教と、中心家系としての皇室を保つ。『古事記』は、この世界に比類ない日本文明の特徴を裏付ける書物である。『古事記』は固有の神話と宗教と皇室について伝える民族の古典である。
 今年は『古事記』が編纂されてから、1300年に当たる。これを記念して、『古事記』にゆかりのある県や町では、さまざまな記念行事が行われている。
 『古事記』には『日本書紀』とともに、民族と国家の形成が神話の形で表現されている。それによると、日本には、須佐之男之命の子孫である「国つ神」の民族が先住していた。そこに天照大神の子孫、「天つ神」の民族が渡来した。「天つ神」の民族は「国つ神」の民族と争いつつ、これを恭順させて日本を統治するようになった。両者は前者が姉、後者が弟にたとえられる関係であり、後者が前者に統治を譲渡し、前者は後者を敬意をもって待遇している。須佐之男命の子が大国主命とされ、後者は、この系統である。
 天孫降臨の神話において、天照大神は、孫のニニギノミコトを日本に派遣した。その際、次のように命じた。「吾が高天原きこしめす斎庭(ゆには)の稲を以てまた吾が児(みこ)に御(まか)せまつる」。すなわち、天照大神は、自ら高天原で作った稲をニニギに与え、日本へ行って米を作るように命じたという。また、天照大神は、ニニギに「鏡」を与えた。「鏡」は、現在も皇位を象徴している「三種の神器」の中心となっている。その後、「天つ神」の子孫が、九州から大和地方に進出し、初代・神武天皇となった。天照大神―ニニギノミコトー神武天皇の系統が、今日の皇室の祖先とされる。一方、須佐之男命―大国主命の系統は、出雲系となる。
 私の見るところ、日本文明は4〜5世紀に誕生し、その後、成長を続ける形成期に入った。7世紀末に、神道の中心となる伊勢神宮で、第1回の遷宮が行われた。建築様式は、シナ文明の様式とはまったく異なり、日本文明の独自性を示している。社殿の建立後、20年に1度、式年遷宮が行われ、正殿・神宝など全てが新造されてきた。戦国時代には中断した時期もあるが、今日まで1300年にわたって続いており、世界に比類ない持続力を持っている。主要文明たりうるには、千年以上の持続性が必要だという見方があるが、伊勢神宮は、まさに日本文明の自立性を体現する、生きたモニュメントである。
 8世紀には『古事記』『日本書紀』、9世紀は『万葉集』という日本文明を代表する文献が編纂された。最初は漢文で表記されたが、やがて漢字から表音文字を取り出して音を表わす道具にした。さらに9世紀には片仮名・平仮名が発明・使用された。アルファベットはフェニキア文字を改良したものであり、フェニキア文字はオリエント諸族の文字を改良したものだから、日本の仮名文字も見事な文化創造といえる。
 今日、私たちは、『古事記』をはじめとする民族の古典を、日本独自の文字である仮名文字を交えた形で読んでいる。この独創的な文字文化は、世界に誇り得る日本文明の特徴である。『古事記』編纂1300年のこの年に、改めて『古事記』を紐解き、我々の先祖の描いた豊かな世界を味わってみることをお勧めしたい。

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●読売新聞 平成24年1月30日

古事記1300年、ゆかりの地でイベント多彩
http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20120130-OYT8T00684.htm?from=os4

 日本最古の歴史書「古事記」が編さんされてから、今年で1300年になる。
 神話の舞台となった宮崎、島根、兵庫県や編さんの地、奈良県などの古事記にゆかりのある各県は、観光客誘致につなげようと多彩なイベントを計画。関係者は「国のあり方が問われる今こそ、国を築いた先人の思いに触れ、元気を取り戻して」と話している。
 古事記でニニギノミコトが降り立った天孫降臨の地とされる宮崎県は、1月から宮崎市の青島神社や西都市の都萬(つま)神社などをガイド付きのバスで巡る「神話巡りワンコインツアー」(定員約40人)を開始。参加費500円で、週末を中心に3月まで計20回を予定している。
 22日までの7回のうち、5回がほぼ満員で、2月も大半が予約で満杯。県観光推進課は「予想以上の人気で、4月以降も神話を生かしたイベントを考えたい」とし、口蹄疫(こうていえき)や新燃岳噴火で落ち込んだ観光業立て直しの起爆剤の一つに位置付けている。
 一方、宮崎に関連があるもう一つの歴史書「日本書紀」も2020年に編さん1300年を迎える。県は同年まで記念事業を続ける方針で、2月に市町村や民間団体などと協議会を設け、内容を検討する。
 ヤマタノオロチ退治やオオクニヌシノミコトの国譲りで知られる島根県は7〜11月、「神話博しまね」を県内各地で開催。神話の世界を表した映像の上映や石見神楽(いわみかぐら)を披露する。国譲りの後、オオクニヌシは幽界(黄泉国(よみのくに))に籠もり、人々の縁を結んでいると考えられるようになったといい、県の担当者は「東日本大震災後に見直された人と人のつながりを感じてほしい」と話す。
 「国生み」神話の舞台・淡路島(兵庫県)の伊弉諾(いざなぎ)神宮では2月19日、記念大祭を予定。神話をテーマにした兵庫県主催のシンポジウムも開かれる。
 編さんの地・奈良県は今月29日、東京で宮崎、鳥取、島根3県と「ゆかりの地サミット」を開催。講演を予定しているマンガ家、里中満智子さんは「危機を乗り越え、国をつくった祖先たちを知れば、内から湧き上がるような誇りを持てる」と話す。
 旅行業界も注目。クラブツーリズム(東京)は島根県や奈良県を訪ねる企画商品を順次、発売し、宮崎県内を巡る3月のツアーは定員の25人がすでに満員で、2回分を追加した。日本旅行(同)の時永幸雄さんは「古事記ゆかりの地はパワースポットぞろいで、元気になりたい人向け」という。
(2012年1月30日 読売新聞)
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野田首相は男系堅持の意思を固めよ

2012-02-20 08:45:24 | 皇室
 衆議院予算委員会で、女性宮家創設に向けた皇室典範改正論議が行われた。9日には自民党の稲田朋美議員、13日には同じく下村博文議員が質問に立ち、野田首相が答弁した。
 首相は9日には「古来、皇位継承が男系で続いてきた歴史的な重みを受け止める」と述べた。稲田氏が「美しい伝統である天皇継承の原則は変えてはいけない。皇室典範や憲法は男系維持を前提としている」と見解を問うたのに対し、野田氏は「その通りだ。意識は私も同じだ」と答えた。13日も「男系で皇位が継承されてきた伝統を重く受け止める」と同じ主旨の答弁を行った。下村氏が、旧皇族の皇籍復帰を検討するよう要求したのに応じ、「今月から有識者を中心にヒアリングを行う。指摘の点も含め提起をもらいながら結論を出す」と述べた。野田氏は、「本当は皇位継承を含めた議論が必要だが、皇室活動の安定性の確保は緊急を要する。女性宮家の問題を皇位継承問題から切り離し、早急に国民各層の意見を聴きながら結論を出したい」として、皇位継承問題と切り離して女性宮家創設を早期に実現したいという意向を明らかにした。
 本件の報道において、産経新聞は、9日の記事に「男系堅持 首相が意向」と題し、13日の記事に「旧皇族復帰も検討」と題した。私は、野田首相の答弁に好感を持ったが、野田氏は質問者の質問に同意を表す程度で、積極的に男系堅持の意向を明言したり、旧皇族復帰も検討すると表明したわけではなく、首相自身にどこまでその意思があるのか、見定める必要があると思う。
 産経は12日には社説で取り上げ、野田首相は「明確に男系堅持の方針を示した。首相の発言は重い。願わくはこれまでの民主党の首相のようにブレることなく、その方針を貫いてほしい。政府も前回の有識者会議の結論に惑わされることなく、首相の指針に従い女性宮家創設を検討しなければならない」と書いた。また、男系を維持できるかという不安を解消するために、「旧皇族の皇籍復帰」を「今回の改正では考慮すべきだ。首相が男系堅持を明言した以上、それが当然である」と主張している。私は、野田氏が「明確に男系堅持の方針を示した」「男系堅持を明言した」と断定できるか、もう少し観察したほうがよいと思う。やや願望が先に立った主張になっていると思う。
 もし野田氏が男系堅持の伝統を重く受け止め、男系堅持のため旧皇族復帰も検討する意思があるのであれば、小泉内閣の時の有識者会議の中心的存在だった園部逸夫氏を、内閣官房参与に起用するのは止めるべきである。野田氏は、今月から有識者を中心にヒヤリングをするというが、その前に園部氏一人を助言者にするのは、適当ではない。園部氏については、拙稿「女性宮家2〜園部逸夫氏の画策」に書いたが、左翼的な思想を持った人物である。その思想に同調する内閣府や宮内庁の官僚が首相の誘導役に推挙したのではないかと思われる。野田首相は、園部氏について自らよく調べるべきである。野田氏は、閣僚の任命において数多くの失敗をしてきている。現在問題になっている田中直紀防衛相の任命もその失敗の一つである。私は、園部氏の参与任命は、それ以上の大失敗になる可能性が大だと思う。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1815830046&owner_id=525191
 今月から政府は、「女性宮家」創設に限った皇室典範改正の検討のためとして、有識者からのヒアリングを始める。十数人を対象に、今年の夏頃まで行うという。結論ありきの形式的で欺瞞的な手続きになってはならない。野田首相は、男系継承の伝統の重みを受け止め、自ら伝統の内容を深く正しく理解することに努めるべきでる。

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●産経新聞 平成24年2月9日

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120209/plc12020920370022-n1.htm
男系堅持 首相が意向 女性宮家創設めぐり答弁
2012.2.9 20:36

 野田佳彦首相は9日の衆院予算委員会で、「女性宮家」創設に向けた皇室典範改正について「皇室活動の安定性をどうするかという観点で、女性宮家の問題を有識者も含め議論する。皇位継承の問題ではない」と強調した。さらに、「古来、皇位継承が男系で続いてきた歴史的な重みを受け止める」と述べ、男系継承を堅持すべきだとの意向を明らかにした。
 首相は皇族の減少を踏まえ、「皇室活動の安定は緊急性の高い課題」とし、女性宮家を創設する意向を表明したが、女性・女系天皇の容認論につながるとの指摘もあった。首相の答弁は皇位継承の問題と切り離すことを強調したものだ。(略)

●産経新聞 平成24年2月12日

http://sankei.jp.msn.com/life/news/120212/imp12021203130000-n1.htm
【主張】
皇室典範改正 首相の「男系堅持」を貫け
2012.2.12 03:12

 「女性宮家」創設のための皇室典範改正をめぐり、野田佳彦首相が国会でこの問題を皇位継承とは切り離し、「男系」による継承は貫く方針を明らかにした。有識者へのヒアリングなど改正作業が本格化する前に、首相が明確な方向付けをしたことを歓迎したい。
 女性宮家の創設は昨年秋、宮内庁の羽毛田信吾長官が首相に検討を要請した。現在の皇室典範では、女性皇族が結婚すれば皇室を離れる。若い男性の皇族が少なくなっている中、皇室の活動に支障が生じるという理由だ。首相もその「緊急性」を認め、改正への着手を約束した。
 しかしその後、政府が新たな有識者会議などは作らず、ヒアリングだけで改正にあたる方針であることがわかった。さらに小泉純一郎内閣時代に「女性・女系天皇」を容認する報告書をまとめた有識者会議で、主導的な役割を担ったとされる園部逸夫・元最高裁判事が内閣官房参与に任命された。
 このため政府が「女性宮家」の創設を名目として、再び女性皇族の子供にも皇位継承権がある「女系天皇」容認に傾くのではないかとの懸念が生じた。
 日本の皇位は神武天皇以来125代にわたり「男系」によって継承されてきた。今、一転して「女系」を認めることは、この唯一といえる伝統と原則を放棄することになる。天皇の権威や国民の崇拝の念を損ないかねない。
 これに対し、野田首相は衆院予算委員会で、女性宮家は「皇位継承の問題ではない」と明言した。皇位継承については「古来、男系で続いてきた歴史的な重みを受け止めたい」と述べ、明確に男系堅持の方針を示した。
 首相の発言は重い。願わくはこれまでの民主党の首相のようにブレることなく、その方針を貫いてほしい。政府も前回の有識者会議の結論に惑わされることなく、首相の指針に従い女性宮家創設を検討しなければならない。
 その一方で、将来的に「男系」維持に不安がある現実も直視せざるをえない。その不安を解消するためには、多くの識者が指摘するような旧皇族の皇籍復帰も有力な方法である。
 これまで有識者会議も政府もこうした意見は無視してきた。今回の改正では考慮すべきだ。首相が「男系堅持」を明言した以上、それが当然である。

●産経新聞 平成24年2月13日

http://sankei.jp.msn.com/life/news/120213/imp12021314330003-n1.htm
野田首相、旧皇族復帰も検討 皇室典範改正・男系維持に意欲
2012.2.13 14:30

 野田佳彦首相は13日午前の衆院予算委員会で、「女性宮家」創設に向けた皇室典範改正論議をめぐり、旧皇族の皇籍復帰も検討する意向を表明した。自民党の下村博文氏が皇統の男系維持のため皇籍復帰の検討を要求したのに対し、「今月から有識者を中心にヒアリングを行う。指摘の点も含め提起をもらいながら結論を出す」と応じた。(略)
 首相は「男系で皇位が継承されてきた伝統を重く受け止める」と述べ、男系継承を維持する意向を改めて表明。今回の皇室典範改正論議については「皇室活動の安定性の確保は緊急性を要する。女性宮家の問題を皇位継承問題から切り離し、早急に結論を出したい」と強調した。(略)

●産経新聞 平成24年2月18日

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120218/plc12021822420010-n1.htm
月内にヒアリング開始、皇室典範改正で政府
2012.2.18 22:41

 政府は、女性皇族がご結婚後も皇室にとどまる「女性宮家」創設に限った皇室典範改正の検討のため、月内に有識者からのヒアリングを始める。(略)
 有識者のヒアリングは十数人を対象に、今年の夏頃まで行う。(略)ヒアリングについて藤村修官房長官は17日の記者会見で、皇族のお考えを直接聞くことはないと表明した。
 ただ、秋篠宮さまは昨年11月22日の記者会見で、皇室典範改正を含む議論について「国会に委ねる」と述べられたうえで、「今後の皇室の在り方を考えるときには、私、もしくは皇太子殿下の意見を聞いてもらうことがあってよいと思います」と希望された。
 皇室にかかわる重要事について、政府が陛下や皇族のご意向をいかに踏まえるかが課題となっている。このためヒアリングのような形でお話を聞くことは避けるものの、皇族がメディアなど外部に示されたものも含め、さまざまな方法でお考えをくみとる方針だ。(略)
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政策提言「膨張する中国と日本の対応」の紹介4

2012-02-19 08:51:18 | 国際関係
●日本国際フォーラムによる政策提言の内容 (続き)

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提言6 「六者協議」、「日中韓首脳会議」に地域安全保障機構としての役割を持たせよ

 北東アジアは、冷戦時代から朝鮮半島や台湾海峡という潜在的発火点を継承しながら、いまだにそれらの危機に対応する有効な地域的安全保障メカニズムを持ち得ないでいる。その中で、「六者協議」が「北東アジア地域における安全保障面の協力を促進する」ことに合意している(2005年共同声明)のは、貴重な事実である。2008年を最後に、その活動は中断されたままであるが、関係国は早期に協議を再開し、「六者協議」を再活性化すべきである。他方、2008年から「日中韓首脳会議」が制度化され、毎年開催されている。「日中韓首脳会議」に北東アジアにおける安全保障機構としての役割を持たせるように、その可能性を追求すべきである。

提言7 中国に地球的規模の諸問題における国際貢献の強化を促せ

 日中両国は食料、エネルギー、環境など、人類共通の課題である地球的規模の諸問題(グローバル・イシュー)に直面している。しかも、中国においてはその高度成長がこれらの問題を先鋭化させている一面があることは否定できない。たとえば、中国は世界最大の温室効果ガスの排出国であり、越境汚染の発生源でもある。地球規模の諸問題の解決のための国際的な制度や枠組の構築や運営には、中国の参加は不可欠である。とくに、国連安保理における世界の平和と安定の維持、IMF・世銀・G20などにおける世界経済の安定と成長のための協調においては、中国の重要な役割が期待される。中国に地球的規模の諸問題への取組みを促すことは、諸問題の解決に直結するのみならず、それ自体が重要な「関与」政策の一環であり、中国に「責任ある大国」としての自覚的行動を促す契機となる。

提言8 中国経済の活力を導入すると同時に、中国経済への過度の依存を避けよ

 中国の巨大市場は、富裕層のみならず、中間層の成長により、日々厚みを増している。一方、日本経済は少子高齢化に加えて、大震災や円高などが重なり、長期停滞傾向を色濃くしている。日中双方の関係する制度の整備や共有を図りながら、中国の資本や観光客の誘致を積極的に進めるべきである。他方、2010年に顕在化した中国によるレア・アースの供給停止問題は、重要資源の供給の大部分を特定の一国に依存することのリスクを如実に示した。重要資源に関しては、供給源の多元化と戦略的備蓄の強化だけでなく、安定供給のための国際的枠組みの形成に向けても努力すべきである。

提言9 オピニオン・リーダー・レベルでの相互理解を深化させよ

 日中両国のメディアの論調や世論調査でも明らかなように、近年、両国国民の相互認識の悪化が指摘されている。2010年の尖閣諸島沖での中国漁船体当たり事件は、このような時期に勃発し、日中両国国民の相互認識にさらに深刻な悪影響を及ぼした。背景には、江沢民主席時代の中国における反日的な愛国教育の普及や期を同じくした日本の国連安保理入りに対する中国の執拗な反対などが、日本国民の間に触発したさまざまな対中嫌悪感がある。加えて、この間、メディアやインターネットの急速な発達により、両国国民間の感情的な対立は増幅されていった。相互理解、なかでもオピニオン・リーダー・レベルの相互理解がいまほど求められている時はない。加えて、最近の新しい傾向として、来日する中国人観光客の増加という事実がある。かれらが日本に好感をもって帰国するように、心を配るべきである。(了)
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 以上が、公益財団法人日本国際フォーラムに政策提言「膨張する中国と日本の対応」の主要部分である。

 提言5については、前回で私見を書いたので、今回の掲示箇所について私見を書く。
 まず提言6で、「日中韓首脳会議」に北東アジアにおける安全保障機構としての役割を持たせる可能性を追求すべきと言っているが、北朝鮮への対応を協議する場なら分かるが、それに「北東アジアにおける安全保障機構」の役割を持たせることには疑問がある。自主防衛体制が整備されていない状態で、唯一の軍事同盟国・米国の参加しない地域安全保障機構的な組織を作るのは、中韓の主導権下に入ることになる。特に中国はわが国に向けて核ミサイルを配備している国である。必要なのは、中国に対する地域安全保障体制であって、中国との地域安全保障機構ではない。
 次に提言8では、中国の資本や観光客の誘致を積極的に進めるべきであると言っているが、その一方、中国人移民の増加や中国資本による土地買収への対応を盛り込んでいないのは、本提言の欠陥である。

 日本国際フォーラムの政策提言「膨張する中国と日本の対応」は、政治・外交・安全保障・経済等にわたる総合的な対中国政策となっている。私は概ね賛同するが、対中政策としては長期的観点が弱いと思う。文明論的分析と人口論的予測を加える必要がある。日本文明とシナ文明、及び他の文明との関係、そして日本と中国の人口動態の予測である。また各論としては、前述のように、私はTPPへの参加に反対であり、対中政策提言にあえてTPPを入れる必要はないと思う。中韓との安全保障機構の可能性を追求することも必要ない。また、中国人移民の増加や中国資本による土地買収への対応を提言に盛り込むべきと考える。
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天皇陛下が心臓手術お受けに

2012-02-18 08:36:04 | 皇室
 天皇陛下が本日心臓の冠動脈バイパス手術をお受けになる。手術の無事成功と、御快復を祈念申し上げる。

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天皇陛下が心臓手術へ=冠動脈にバイパス

時事通信 2月18日(土)6時2分配信

 天皇陛下の心臓の冠動脈バイパス手術が18日午前、入院先の東大病院(東京都文京区)で始まる。手術は5時間程度で終わる見通し。医師団が同日夜に記者会見し、陛下の病状や容体を説明する。陛下が手術を受けられるのは2003年1月の前立腺がん摘出以来。 
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■追記
H24.2.19
 天皇陛下の手術の成功をお慶び申し上げるとともに、術後の御快復を祈念申し上げる。
 この機会に、ご公務のご負担を具体的に軽減申し上げることが必要である。国事行為、公的行為、宮中祭祀について、代行代拝の可能なものを精査し、皇太子殿下をはじめとする皇族方が分担なされるよう早急に対応がされることを希望する。

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政策提言「膨張する中国と日本の対応」の紹介3

2012-02-17 09:28:57 | 国際関係
●日本国際フォーラムによる政策提言の内容 (続き)

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提言1 日本の領土、領海、主権、尊厳を守るための体制に万全を期せ

 この政策提言は大局的な判断として対中「関与」政策を取るものであるが、そのことは日本にとって、その領土、領海、主権、尊厳などを守るための体制が不要だということを意味しない。日本の対中「関与」政策は、そのような体制の存在を前提として初めて成立するからである。2010年9月の尖閣諸島沖における中国漁船による海上保安庁巡視船への体当たり事件は、それが中国側によって意図されたものであったか否かを問わず、日本側の虚を突いたものであり、当時の菅政権は、なすところを知らず右往左往した。相手がどこの国であれ、このような事態の発生を、日本は、国家として二度と許してはならない。政府は、日本の領土、領海の実効支配を強化するとともに、危機が発生した場合に起こり得るシナリオを予め研究し尽くし、その対応に万全を期すべきである。治に居て、乱を忘れてはならない。

提言2 有事の自存自衛体制をハード、ソフト両面から見直せ

 国家有事の際の自存自衛体制を支えるのは、自衛隊や海上保安庁であるが、兵器・艦船等のハードウェアの整備と同時に、あるいはそれ以上に重要なのは、運用に関するソフトウェア、つまり法律的体系や戦略的体系の整備である。自衛隊に関しては、新防衛計画の大綱が示している「動的防衛力」という方向性は妥当なものであり、「新中期防」期間中の南西地域における警戒監視体制の強化を中心とする島嶼防衛力の強化も着実に実施すべきである。また、有事法制の整備が急務であるが、自衛隊の運用に関するこれまでの硬直した憲法解釈は、これを放置するのではなく、憲法改正も視野に入れ、現場の実態を踏まえて、再考を急ぐ必要がある。

提言3 日米同盟の信頼性維持のために日頃から最善の努力をせよ

 日本防衛にあたって、日本自身の自助努力が前提となるのは言うまでもなく、またそれなしには、他国の来援も望めるものではない。しかし、現実には日本一国の努力のみで日本を守り抜けるものではなく、日米同盟の下での米国の「核の傘」を含む対日防衛コミットメントが日本にとってその安全保障の最後の拠りどころとなっている。したがって、日本は日米同盟の信頼性維持のために日頃から最善の努力をする必要がある。日米首脳間において常時ハイレベルの戦略的対話を維持しつつ、普天間基地移設問題を解決し、集団的自衛権の行使を合憲と認め、武器輸出禁止三原則を見直すなどの努力をすべきである。

提言4 各般の分野で中国との「関与」関係をいっそう強化せよ

 日本は、一方で、上記提言1.〜3.のようにいわば「足元を固め」つつ、他方で、各般の分野において中国との「関与」関係をいっそう強化する必要がある。二〇〇七年の温家宝総理訪日の際に合意された「海上における不測事態の発生を防止する」ための「防衛当局者の連絡メカニズム」の構築は、今次の尖閣諸島沖事件の発生に鑑みても、危機管理措置として喫緊の重要事であるが、その後の度重なる交渉加速の合意にもかかわらず、本件は依然として実現していない。ただし、2011年12月の野田佳彦首相の訪中で「日中高級事務レベル海洋協議」の立上げが合意され、さらに「日中海上捜索・救助(SA R)協定」が原則合意されたことは、高く評価される。その他にも、感染症対策、麻薬取締まり、不法移民の取締まりなど、中国を「関与」させた協力関係を推進すべき分野は多い。国連PKO活動にともに参加し、共通の目標実現のために並行して、努力するのも、有意義である。日本は、米国が重視する環太平洋経済連携協定(TPP)への参加と並行して、中国が優先度を置く東アジア自由貿易地域(EAFTA)の実現にも理解を示すべきである。

提言5 多国間対応を「不戦共同体」に発展させ、中国も参加させよ

 米国以外の「同志国」にも呼びかけて、地域の安全保障協力の網を広げるべきである。豪州とは2007年3月に「安全保障協力宣言」がなされ、2011年7月に南シナ海で日米豪3国共同訓練が実施された。共同訓練の実施は、日米印間、さらには日米韓間でも予定されており、将来はASEAN諸国にも拡大していく可能性がある。また、2011年11月に開催された東アジア・サミット(EAS)では、南シナ海の安全保障を念頭に置いた「EAS宣言」が採択された。これらの措置は、海洋の自由やシーレーンの安全保障につながる措置であるが、中国から「中国包囲網」と受け取られないよう配慮する必要もあろう。これらは基本的に「ポストモダン」段階の国家による「不戦共同体」を体現したものであり、理念的には中国の参加を排除するものではないからである。
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 提言4の最後にあるTPPへの参加に、私は反対だが、他は概ね賛同できる。TPPについては、安全保障の問題と分けて、主体的に考えるべきものである。また、対中政策を提言するのに、TPPについて言及する必要はない

 次回に続く。
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政策提言「膨張する中国と日本の対応」の紹介2

2012-02-16 08:40:18 | 国際関係
●日本国際フォーラムによる政策提言の内容

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はじめに

 2010年9月の尖閣諸島沖における中国漁船による海上保安庁巡視船への体当たり事件および引き続いて起こったレア・アースの対日輸出禁止、中国に滞在する日本人の逮捕・拘留等の中国の一連の対日強硬措置は、日本と日本人に大きな衝撃を与えると同時に、その対中不信感を増大させました。これらの出来事は、それに先立って中国が示してきた、南シナ海における東南アジア諸国漁船の拿捕、黄海における米韓合同演習に対する反対等に見られる自己主張強化の傾向と連なる動きと見られました。中国が日本を凌駕して世界第2位の経済大国になったことと相まって、膨張する中国はついに「韜光養晦(とうこうようかい)」と呼ばれる対外協調路線を放棄したのではないか、との懸念を生んだのです。
 このような状況においては、問題の小状況に反応する前に、まず大状況を把握することが肝要です。世界は、第一次大戦後に「戦争の非合法化」を達成しましたが、第二次大戦後には「相互確証破壊」の成立に伴い実質的に大国間戦争が不可能になりました。それでも冷戦期には、米ソ二大陣営が対立する「勢力均衡」政治が行われましたが、冷戦後の世界では、米ソ対立は解消され、自由・民主主義・市場経済・不戦などの理念が普遍化しました。その中核的な担い手はNATOや日米同盟に結集した先進民主主義諸国です。「人間の安全保障」や「保護する責任」などが国際社会の理念として提起されるなかで、その理念の担い手となった先進民主主義諸国は「不戦共同体」あるいは「集団安全保障共同体」と呼ぶことができます。冷戦後の世界では、各国は狭義の国益を超えて、地球規模の課題に取り組むことを求められていますが、その課題に正面から取り組む用意のある「ポストモダン」段階の諸国が「不戦共同体」諸国であるのに対し、必ずしもそのような用意のない「モダン」段階の諸国として中国やロシアなどが存在し、抵抗しています。
 このような状況を大状況として捉えたとき、尖閣諸島をめぐる2010年9月の事件は、日本と中国が国家として世界に占める位置づけや発展段階を異にすることを如実に示したといえます。中国は「モダン」段階の国家の常として主権の確立に固執し、しばしば「自国さえよければ」という狭義の国益追求に走る傾向があるのに対して、日本は「ポストモダン」段階の国家として、国益をより広義に捉え、国際的公益に配慮する必要をより強く自覚しています。日中関係を規定する要因の中には、隣接する大国同士にとって避けられない歴史的対立や領土的紛争だけでなく、このような国家としての発展段階の相違、さらには世界政治に占める位置づけの相違もまた内包されていることに留意する必要があります。
 ここで問われるのは、30年にわたる持続的な高度成長により世界規模でその存在感を強めてきている中国が、今後の国際秩序形成にどのようにその増大する影響力を行使していくかということです。別の表現を使えば、中国は国際システムの「責任ある利害関係者」として行動することができるのか、ということです。われわれが懸念を抱かざるを得ないのは、中国が、第一に、日本を含む先進民主主義諸国と人権・自由・民主主義等の価値観を共有しておらず、第二に、軍事力の拡大や近代化に関して、その長期目標がどこにあるのかが不透明であり、第三に、経済的発展に伴う国内的矛盾の深刻化が政治的不安定状況をもたらす可能性を否定できないからです。このような観点から言えば、グローバル化する世界経済のガバナンスの担い手がG8からG20に拡大したように、冷戦後の世界秩序を形成し、維持する「不戦共同体」の担い手のなかにも、中国やロシアを含む「モダン」段階の諸国を取り込んでゆく必要があります。それを「関与」政策と呼ぶとすれば、「関与」こそは、日本あるいは「不戦共同体」の対中政策の大局的判断の基本でなければなりません。
 2010年9月の尖閣諸島沖における中国漁船による海上保安庁巡視船への体当たり事件は、何らかの現状変更を目的として中国政府の意図により発動されたものではないとしても、同様の危機が再発したときに、日本が今回と同様に無策であってよいということにはなりません。
 その後、中国は、国際社会の反発もあり、その強硬な自己主張路線を修正し、とくに対日関係においては3・11東日本大地震を契機に協調姿勢が顕著です。しかし、これによって強硬路線が最終的に放棄されたと見るのもまた早計でしょう。大局的な判断として「関与」政策を取りつつも、中国が強硬路線に転じて、軍事的手段の行使を含む最悪の選択をしてきたときの対応策は予め検討しておく必要があります。ただし、注意しなければならないのは、中国の対外政策決定に参入する勢力は多元化しており、それぞれの外交課題に関して複雑な政治ゲームが展開され、その中で大まかに言って「強硬」と「柔軟」の二つの勢力がせめぎ合っていることです。中国の強硬姿勢に対しては、目先の小状況に目を奪われて、過剰な感情的反応をすることを慎み、つねに冷静かつ的確に大状況を判断して、対応することが肝要です。
 中国が危険な存在となる可能性を秘めながら巨大化しつつあることは否定できないとしても日本の対中基本姿勢に「関与」以外の選択肢のないことは、既に述べたとおりです。「関与」が可能かつ必要になるのは、その前提として冷戦後の世界には「不戦共同体」が形成されているとの大状況認識がわれわれにあるからであり、また、中国が冒険主義に転じた場合には、日本一国ではなく、「不戦共同体」がその全体としてその問題に対応するであろうことが期待されるからです。「膨張する中国」の問題は、いまや日本一国の問題ではなく、米国はもとより、価値観を共有するその他の「同志国」と広く協調し、共同行動を取らなければならない問題です。「関与」政策は、その目的を達成するために、一連の整合的な政策体系をもつ必要があります。この政策提言では、それらを具体的な9項目の政策として以下に提示します。
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 次回に続く。
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政策提言「膨張する中国と日本の対応」の紹介1

2012-02-15 08:44:22 | 国際関係
 中国は昨年、経済成長で壁にぶつかり、覇権外交でも壁にぶつかった。石平氏は、平成23年(2011)を『中国神話の崩壊の年』と位置付ける。本年、中国は欧州債務危機の影響で、経済が急減速する可能性が高い。また中長期的には、中国からの移民がわが国の国家と社会のあり方を、大きく左右する恐れがある。わが国は、中国に対し、政治・外交・安全保障・経済等、総合的な政策を策定して、国益の保持を図る必要がある。
 平成24年(2012)1月、対中国政策として注目すべき提言が出された。公益財団法人日本国際フォーラムによるもので、「膨張する中国と日本の対応」と題され、野田相に提出された。また1月27日付けの産経新聞、朝日新聞、日経新聞、ジャパン・タイムズの各紙に「意見広告」として発表された。
 内容は日本国際フォーラムのサイトに掲載されている。
http://www.jfir.or.jp/j/index.htm
 私は以前、同フォーラムの「外国人受入れの展望と課題」という政策提言を、拙稿「トッドの移民論と日本の移民政策」で紹介した。このたびの提言も、政治・外交・安全保障・経済等の専門家が結集し、総合的な対中国政策を立案・提示しており、私は方向性において賛同する。そこで、ブログ・SNSを通じて紹介したいと思う。
 政策提言「膨張する中国と日本の対応」の主旨は、次のようにまとめられよう。
 ――冷戦後の世界では、各国は狭義の国益を超えて、地球規模の課題に取り組むことを求められているが、その課題に正面から取り組む用意のある「ポストモダン」段階の諸国が「不戦共同体」諸国であるのに対し、必ずしもそのような用意のない「モダン」段階の諸国として中国やロシアなどが存在し、抵抗している。
 グローバル化する世界経済のガバナンスの担い手がG8からG20に拡大したように、冷戦後の世界秩序を形成し、維持する「不戦共同体」の担い手のなかにも、中国やロシアを含む「モダン」段階の諸国を取り込んでゆく必要がある。それを「関与」政策と呼ぶ。「関与」こそは、日本あるいは「不戦共同体」の対中政策の大局的判断の基本でなければならない。「膨張する中国」の問題は、いまや日本一国の問題ではなく、米国はもとより、価値観を共有するその他の「同志国」と広く協調し、共同行動を取らなければならない問題である。「関与」政策は、その目的を達成するために、一連の整合的な政策体系をもつ必要がある。――
 政策提言「膨張する中国と日本の対応」は、上記の主旨のもとに、具体的な政策を提示している。次の9項目である。

提言1 日本の領土、領海、主権、尊厳を守るための体制に万全を期せ
提言2 有事の自存自衛体制をハード、ソフト両面から見直せ
提言3 日米同盟の信頼性維持のために日頃から最善の努力をせよ
提言4 各般の分野で中国との「関与」関係をいっそう強化せよ
提言5 多国間対応を「不戦共同体」に発展させ、中国も参加させよ
提言6 「六者協議」、「日中韓首脳会議」に地域安全保障機構としての役割を持たせよ
提言7 中国に地球的規模の諸問題における国際貢献の強化を促せ
提言8 中国経済の活力を導入すると同時に、中国経済への過度の依存を避けよ
提言9 オピニオン・リーダー・レベルでの相互理解を深化させよ

 私はこれら提言の多くに主旨賛同する。

●財団法人日本国際フォーラムとその提言

 公益財団法人日本国際フォーラムは、「独立・民間・非営利の国際問題・外交政策の審議・研究・提言機関を日本にも設立する必要があるという認識に基づいて、昭和62年(1987)に大来佐武郎氏、服部一郎氏、伊藤憲一氏ほか60名の参加により、「会員制の政策志向のシンクタンク」として設立された。
 同フォーラムは、国際政治・外交・安全保障・国際経済・環境・人口・エネルギー・食糧等、幅広い分野について、様々な政策提言をしてきた。その第35番目の政策提言が「膨張する中国と日本の対応」である。
 この政策提言には、有識者68名が署名している。日本の国益を重視する国際派の保守ないし保守系のリベラルが多いようである。署名者のうち、私の目を引いた有識者を列記する。

政策委員長
 伊藤憲一(日本国際フォーラム理事長)
政策委員
 愛知和男(日本戦略研究フォーラム理事長)、安倍晋三(元 内閣総理大臣)、大宅映子(評論家)、神谷万丈(防衛大学校教授)、左近允尚敏(元海将)、島田晴雄(千葉商科大学学長)、田久保忠衛(杏林大学名誉教授)、袴田茂樹(青山学院大学教授)、本間正義(東京大学教授)、森本敏(拓殖大学海外事情研究所長)、屋山太郎(政治評論家)他

 具体的な内容は次回から掲載する。
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ユーロの危機7〜中国が急減速

2012-02-13 08:51:14 | 経済
 欧州債務危機が最も大きな影響を受けるのは、中国だろう。中国は典型的な外需依存型経済であり、最大の貿易相手先は欧州である。それゆえ、欧州諸国の需要が減ると、中国経済は強い打撃を受ける。欧州債務危機のわが国への影響は、欧州から直接来る大波以上に、中国経由で来る大波の方が高くなるだろう。
 私は、昨年12月31日、拙稿「中国は神話崩壊の1年」に、次のように書いた。
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/43d11406473d98c8d9a99fe507561c97
 「昨年は、猛進する中国が大きな壁にぶつかった年となった。内政では、経済成長で壁にぶつかった。インフレの進行と不動産バブルの崩壊開始によって、高度経済成長は終わりを迎えた。外政では、覇権外交で壁にぶつかった。米国のアジア太平洋外交に圧され、中国は東南アジアで孤立化しつつある。シナ系日本人の評論家・石平(せき・へい)氏は、これを『中国神話の崩壊』と呼ぶ。石氏は中国の動向を大局的に把握し、平成23年(2011)を『中国神話の崩壊の年』と位置付ける」と。
 石氏は、次のように言う。「今まで中国は通貨(元)の乱発をもって高い投資率を維持し高度成長を牽引してきたが、このようなゆがんだ成長戦略が生んだのはインフレの高進と不動産バブルの膨張だった。そして昨年来、政府はインフレ抑制のために金融引き締め政策を実施してきた結果、全国の中小企業は深刻な経営難に陥ってしまい、企業の『倒産ラッシュ』が起きた。その一方、金融引き締めの中で不動産市場は急速に冷え込み、それが秋頃からの不動産価格の急落につながった」「今後、不動産バブルの本格的崩壊に伴って経済の減速はよりいっそう進むだろうと思われる」と。
 中国では欧州向け輸出の伸びは、昨年9月以降、10%以下に減速しており、今年はさらに下がると予想されている。リーマン・ショック後、内需拡大のために打たれた自動車・家電の消費促進策等は昨年終了し、手が尽きている。高速鉄道追突事故の影響で路線建設など国内投資が縮小している。今年は欧州債務危機の影響が本格化し、1〜3月期の経済成長率は7%台に落ち込むとの見方が大勢を占める。ここで経済成長率とは、実質GDPの成長率を言う。
 それが7%台に落ち込むことは、中国において重要な意味を持つ。中国共産党は「保八」つまり成長率8%を保つことを至上命題としている。貧富の差が拡大、失業者が増加し、各地で暴動が頻発する中国では、成長率が8%より落ちると、政権は不安定になる。だから、「保八」が政権維持のために必須なのだ。
 IMFは、今年の中国の実質GDP成長率を1月段階で8・2%と予測していたが、1月6日、欧州債務危機が深刻化して最悪の事態を迎えた場合、4%台に急降下する懸念があるとの見通しを発表した。4%台となれば、中国では倒産・失業者が増加し、社会不安が激化するだろう。リーマン・ショック後、世界経済を牽引してきた中国経済が急減速すれば、世界的な景気後退が起こり、日本にも大きな影響が出るだろう。欧州債務危機のわが国への影響は、欧州から直接来る大波以上に、中国経由で来る大波の方が高くなるだろうと予想されるのである。
 以下は、関連する報道記事。

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●共同通信社 平成24年2月6日

欧州危機でIMF警告、中国、成長率最悪4%台へ
2012年02月06日(月) 21:21

 【北京共同】IMFは6日、中国の経済見通しを発表、欧州債務危機が深刻化し最悪の事態を迎えた場合、8%台としている今年の実質国内総生産成長率が4%台に悪化する恐れがあると警告した。中国の昨年の成長率は9・2%。世界経済のけん引役である中国が急減速すれば、世界不況に突入必至。中国国内でも雇用の急激な悪化で暴動などの発生が懸念され、欧州債務危機の早期解決を求める声が強まりそうだ。
(情報提供:共同通信社)
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