ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

ユダヤ43~フリーメイソンへのユダヤ人の加入

2017-04-30 08:49:21 | ユダヤ的価値観
●フランス市民革命とユダヤ人の解放
 
 アメリカ独立革命に刺激を受けたフランスの市民革命は、ユダヤ人の自由と権利の保障に大きな進展をもたらした。フランスではカトリック教会の権威が増大した14世紀末に、ユダヤ人に対する迫害が進んだ。1394年には追放に至った。それがフランス革命を機に一転し、ヨーロッパで初めてユダヤ人の解放が実現した。
 1789年の人権宣言は、正式には「人間及び市民の権利宣言」という。人権宣言は、第1条に「人は、自由かつ権利において平等なものとして生まれ、生存する」と謳った。アメリカ独立宣言では、この権利は神による付与とされていたが、人権宣言は「造物主」による権利付与を明記しておらず、権利の神与性が否定された。そして宣言が謳う自由と権利は、ユダヤ人にも適用されるようになった。
 1791年9月、人権宣言のもと、国民会議はユダヤ人解放令を出し、フランスのユダヤ人に完全な市民権を認めた。これは、西欧におけるユダヤ人の歴史において、画期的なことだった。宗教の違いにかかわらず平等の権利が保障され、ユダヤ人の地位は向上した。
 実は、ユダヤ人解放令といっても、フランス革命当時、フランス中央部にはパリ在住のほんの少数の個人を除いて、ユダヤ人はいなかった。しかし、革命の指導者たちは、普遍的な理念のもとにユダヤ人も市民と平等であるべきだと考えた。その理念は、人権思想や宗教的寛容によるものだが、同時に宗教の違いを超えて会員を受け入れるフリーメイソンの原則にかなったものでもあった。フリーメイソンは、ユダヤ人の解放に貢献したのである。
 家族型に基づく価値観という点から見ると、フランス中央部は平等主義核家族を主とする。この家族型は自由と平等を価値とし、人間はみな本質的に同じという普遍主義の思想を持つ。中央部のフランス人は、よくユダヤ人を知らずに、自らの普遍主義の理想を実現するために、ユダヤ人の解放を決めたのである。
 人権宣言とユダヤ人解放令は、フランスにおけるユダヤ人の同化の歴史の始まりとなった。
 ユダヤ社会の家族型は、直系家族である。直系家族は、権威と不平等を価値観とする。トッドは、直系家族システムを「父系への屈折を伴う双系システム」と定義し、ユダヤの人類学的システムは、父方・母方の親族に平等に重要性を与える双系制だとする。遺産相続は女性を対象から除外しており、この点は父系的だが、ユダヤ人はユダヤ人の母親から生まれた者をユダヤ人とするので、この点では母系的である。そのため、女性の地位はある程度高い。
 フランス人は普遍主義の思想を公言しながら、人類学的な多様性を受け入れる。ただし、それには最低限二つの条件がある。女性の地位がある程度高いことと族外婚である。これらの条件を充たせば、家族制度の差異には寛大である。ユダヤ人は族内婚ゆえ、その点ではフランス人の求める条件に抵触する。しかし、父親の権威が強い一方、女性の地位は低くないので、二つの条件のうち一つはクリアーする。そのため、ユダヤ人はフランスの社会で受け入れられた。そして、あまり疎外されずに同化し得てきた。フランスのユダヤ人は、自分を同時に「人間」であり、「フランス人」であり、かつ「ユダヤ人」であるという「普遍主義的な誇り」を持つことができた。フランスにおけるユダヤ人の同化は、「疎外の少ない同化」だったとトッドは評価する。

●フリーメイソンへのユダヤ人の加入

 フランス革命でユダヤ人にも市民権が認められると、その影響が他の国にも広がった。1796年にはオランダ、1798年にはイタリアのローマ、1812年にはプロシアというように、次第にユダヤ人の平等権が保障されるようになった。
 とはいえ、実態としてのユダヤ人差別は、根強く残っていた。そうした18~19世紀の西欧で、ユダヤ人を会員として分け隔てなく受け入れたほとんど唯一の友愛団体が、フリーメイソンだった。
 フリーメイソンは、宗教の違いを超えて会員を受け入れることを原則としていた。中世以来、差別されていたユダヤ人は、近代化の進むキリスト教文化圏で、ゲットーでの生活から抜け出て社会に参入しようとしていた。そのために、自由を求めて、フリーメイソンに入会しようとした。フリーメイソンは、ユダヤ人にとって、キリスト教徒と対等な立場で仲間づきあいができる外にない場だった。メイソンの会員であることは、社会的地位の高さを示すから、ユダヤ人富裕層が入会を求めて殺到した。ユダヤ人の参加に困惑し、制限するロッジもあったが、受け入れるロッジもあった。ユダヤ人にとってフリーメイソンは非常に居心地がよかったので、やがてユダヤ人ばかりになった支部も多く出現した。
 アメリカでは、ユダヤ人のみのメイソン組織が誕生した。その名をブナイ・ブリスという。1843年にニューヨークで設立された。ブナイ・ブリスとは、伝統的にはユダヤ人互助組織の名称であり、「契約の子孫」を意味する。組織をロッジと呼び、様々な秘儀を行うとともに、イディッシュを使用していた。南北戦争の時には、ロンドンの金融界から指示を受けてアメリカにおいて戦争工作を担当した。その後も、ロスチャイルド家やユダヤ系メイソンと連携しながら、米国の政治・外交・経済・金融に影響を与えてきたと推察される。その活動は、20世紀に入ってからの米国でのユダヤ人の進出へとつながっていく。
 アメリカは建国時からWASP(ホワイト=アングロ・サクソン=プロテスタント)が支配層を占める社会である。1921年にユダヤ人にも門戸を開いた外交評議会(CFR)が設立されるまで、ユダヤ人は上流階層の社交クラブの入会が認められなかった。それゆえ、ユダヤ人を受け入れるフリーメイソンや、ユダヤ人によるメイソン組織は、アメリカでユダヤ人が活動する上で、貴重な場所だった。
 アメリカでは、ワシントン以後、歴代のアメリカ合衆国の大統領のうち、F・D・ルーズベルト、トルーマン、レーガンなど16人がメイソンだったといわれる。政治的な主張、政策、所属教会等が違う政治家が加入しているということは、フリーメイソンが秘儀集団とか政治結社という性格を失い、社会的には緩やかな親睦交流団体となっていることを意味するだろう。

 次回に続く。
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「昭和の日」に日本の課題と世界の将来を考える

2017-04-29 09:33:32 | 日本精神
 平成19年(2007)より、4月29日は「みどりの日」から「昭和の日」に、5月4日は「国民の休日」から「みどりの日」に変わった。本年で11年目となる。
 「昭和の日」は「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす。」と祝日法に、規定されている。4月29日は、もともとは、昭和天皇のお誕生日だった。昭和という時代は、日本の歴史の中で最も濃厚な時代だった。
 昭和の日本は、昭和天皇の存在抜きに振り返ることができない。昭和天皇の事績を知り、それを語り継ぐことが、昭和という時代の日本を理解し、その時代の努力を今日に生かすことになると思う。昭和天皇については、マイサイトの「君と民」の項目18~27の拙稿を、ご参考に供したい。
http://khosokawa.sakura.ne.jp/j-mind10.htm

●昭和という時代を振り返る

 昭和という時代を振り返るに当たり、わが生涯の師にして神とも仰ぐ大塚寛一先生が、昭和の時代をどのように見ておられたかその大意を記したい。
http://www.nsfs.jp/sousai_sousai.htm

 明治時代の日本人は、日本精神を中心として一致団結していた。だから、6億のシナや3億のロシアに勝つことができた。ところが、日本人は、それ以後、段々、日本本来の特質を忘れ、一にも欧米、二にも欧米という考えにとらわれてしまった。大正の初めごろから、さかんに外来思想をとり入れ、それを中心に動いてきた。外来思想とは英米の資本主義、自由主義がそうだし、共産主義も入ってきた。その結果、本来の日本精神がないがしろにされ、政治家も日本の本質がわからなくなってしまった。
 日清・日露戦争に勝った後、アジアは安定し、自分から攻めて行かなければ他から攻撃されるような心配がなくなった。そうなると次第に、政治家が国のことよりも、自分の利益にとらわれて、腐敗・堕落していった。その政界の腐敗ぶりを見かねて、軍人が政治に口を出すようになった。明治天皇は、「軍人は政治に関与してはならない」という勅諭を出しておられるが、軍人がそのお言葉に背き、政治に介入するようになった。そして、青年将校などが、時の政府を倒せばなんとかなると考えて、5・15事件、2・26事件を起こした。また海外では、軍部が満州事変を起こし、支那事変にいたると、シナで泥沼のような戦いに引きずり込まれていった。
 当時、わが国では盛んに日本精神が唱えられていた。しかし、大塚先生は、当時の学者や文化人等が唱える日本精神は、本来の日本精神からはずれてきていると見ておられた。そして、昭和14年9月11日、「大日本精神」と題した建白書の送付を開始された。先生は、独伊と結ぶ三国同盟に反対し、対米英開戦に反対・警告された。奥様の国恵夫人が先生の書いたものを編集・印刷・発行された。毎回千余の建白書を、時の指導層に送り続けた。開戦すれば、日本は大敗を喫し、新型爆弾が投下され、大都市は焦土と化すと予言された。しかし、時の指導層はその建言を受け入れなかった。
 そして、ヒットラーやムッソリーニ等の覇道をまねた東条英機が、遂に英米と開戦した。そのため、日本は建国以来はじめての敗戦を喫してしまった。
 昭和天皇は、三国同盟に反対され、英米との開戦を避けるよう強く願われていた。当時の軍部は、明治天皇の遺勅に反し、昭和天皇の御心に背いて暴走した。
 戦後は、日本精神そのものが間違っているように教育している。しかし、大塚先生によれば、日本精神が悪いのではない。指導者が日本精神を踏み外したのである。

 戦後の日本は、上記のことを根本的に反省して、再出発すべきだった。しかし、その反省をせずに進んできていることに気づかねばならない。

●昭和の残課題を達成し、日本の役割を果たす

 「昭和の日」は、昭和という激動と復興の時代を振り返る意義ある日である。それとともに昭和の残課題を確認し、その課題の遂行に心を新たにする日でありたい。
 私は、残課題の最大のものは、日本人が日本精神を取り戻すことであると考える。自己本来の精神を失った国民・民族は、21世紀の世界で存立・繁栄を保てない。
 まず日本精神を取り戻し、具体的には三つの課題を成し遂げる必要がある。それは、憲法の改正、教育の再生、皇室制度の復活・強化である。これら三課題を達成してこそ、経済・外交・安全保障・家庭・脱少子化等の分野でも改善が可能となる。これらは、本来昭和の時代になすべきことだった。今、この平成の時代に早期になし終えるべき課題である。 平成31年(2019)初めには、今上陛下の譲位と新帝の即位が行われ、元号が新たになる見通しである。平成の時代は、残り、1年8か月ほどと考えられる。この間に、まず憲法の改正を実現し、日本の根本的な立て直しを進めなければならない。

 世界全体で見れば、21世紀の人類の課題は、世界平和の実現と地球環境の保全である。わが国は、これらの地球的課題において、中核的な役割を担う立場にある。
 課題の成就には、時限が見えてきている。前者のタイムスケールは、米中対決であり、後者のタイムスケールは、地球温暖化である。
 米中対決は、2020年代半ばから30年代以降に現実的な可能性が高まる。中国は、この10年の間に、南シナ海で人口島の造成と軍事拠点化を進めてきた。また「一帯一路」戦略、AIIBの創設、宇宙兵器の増強等によって、米国の優位を揺るがす動きを続けている。今後、アジア・太平洋地域で米中の覇権をめうる戦いに、わが国は直面することになるだろう。これは、わが国の存立・興亡に関わる事態となる違いない。
 また、地球温暖化は、NASAゴッダード宇宙研究所のハンセン博士は、2007年当時、人類の努力によって地球温暖化を阻止するには、時間はあと10年しかないと警告していた。その10年が過ぎた。10年前、イギリス政府に気候変動が経済に及ぼす影響について報告したスターン博士も、温室効果ガスの削減対策を実行しないと、世界の平均気温が2度Cを超えるのは、2035年と予測した。その後、国際的な取り組みは前進してはいるが、地球環境に最も影響の大きい米中は依然消極的な姿勢であり、根本的な改善には向かっていない。
 これらの米中対決による世界核戦争の危機、地球温暖化による大洪水の危機を乗り越えて初めて、持続可能な人類社会、物心調和・共存共栄の新文明をこの地上に実現できるだろう。

 日本人は、日本精神を取り戻し、日本の再建を進め、世界平和の実現と地球環境保存に最善を尽くすべきである。その努力は、自国を生かし、また人類を善導するための努力となる。またこの努力を怠れば、日本はもとより世界全体が破滅に結果するおそれがある。「最悪の裏に最善あり」といい、また「人事を尽くして天命を待つ」という。日本の亡国、人類の自滅という最悪の可能性のある時代に、人事を尽くすことが求められている。
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ユダヤ42~フランス市民革命におけるメイソンとユダヤ人解放令

2017-04-27 09:32:22 | ユダヤ的価値観
フランス市民革命におけるメイソンとユダヤ人解放令

 フランス市民革命は、アメリカ独立革命の影響が旧大陸に波及したものである。ユダヤ人にとっては、アメリカにユダヤ人も自由に活動できる「自由の国」ができた後、フランスで市民革命を通じて、ユダヤ人の解放がされることになった。
 フランスでは、早くからロックの思想が摂取され、急進化していた。また、18世紀後半のフランスでは、フリーメイソンが活動していた。絶対王政やカトリック教会を批判した啓蒙主義者、百科全書の編纂者等には、メイソンがいた。また市民革命の指導者には、多くのメイソンがいた。
 フランス啓蒙思想は、イギリス啓蒙思想を源流として発達した。その発達には、フリーメイソンの組織と活動が関係している。
 フランス啓蒙思想の成果の一つが、『百科全書』である。1751年に第1巻が刊行された『百科全書』は、イギリスのチェインバーズ百科事典のフランス語訳を、ドゥニ・ディドロが行ったことを契機とする。チェインバーズ百科事典は、編纂者も版元もフリーメイソンだった。ディドロは不明だが、盟友のジャン・ル・ロン・ダランベールはメイソンだった。百科全書派は、総じてメイソンの影響を強く受けている。
 ディドロは、イギリス経験論、特にホッブスの影響を受けて、「隠れたる神は無用の神」という表現で、無神論を表明した。彼の「神を無用なもの」とする考え方は、キリスト教的な神の啓示や現実を超越したものを否定し、人間の理性に一切の根拠をおく思想を産み出していく。
 百科全書の執筆者の一人、シャルル・ド・モンテスキューはメイソンだった。モンテスキューはイギリスに2年間滞在して政治制度や社会制度を見学し、ロックの政治理論を継承した。イギリスの議会制度をもとにして、近代政治の原理となる三権分立や両院制による権力の抑制理論を説いた「法の精神」で知られる。
別の執筆者であるヴォテールは晩年、フランクリンの導きで、メイソンの「九人姉妹」のロッジに加入した。「九人姉妹」には、ラ・ファイエット、シェイエス、メーヌ・ド・ビラン、コンドルセらが属していた。イギリス滞在期に、ホッブスやロック、ベーコン、ニュートン等の書を読破し、イギリスの啓蒙思想家たちと親しく交わった。彼が最も刺激を受けたのが、リベラル・デモクラシーの政治制度だった。ヴォルテールの思想は、アメリカの独立運動やフランス市民革命に多大な影響を与えた。
 ジャン・ジャック・ルソーも百科全書に執筆した。ルソーは、当時最も急進的な思想を提唱し、フランスのフリーメイソンに影響を与えた。1750年ごろから、『人間不平等起源論』『エミール』『社会契約論』等を発表したルソーは、自由と平等ができるだけ抑制されない人民主権に基づく共和制の樹立を主張した。ここに初めて共和主義が理論として登場した。
 ルソーの思想に心酔する者は、ジャコバン・クラブに多かった。その一人が、マクシミリアン・ロベスピエールである。革命の震源地となったジャコバン・クラブには、フリーメイソンが多かった。ジャコバン・クラブより急進的なコンドリエ・クラブには、ダントン、マラー等が属していたが、うちマラーはメイソンだった。
 フリーメイソンがフランス市民革命にどの程度まで関与したかは、よく解明されていない。ただ言えることは、啓蒙思想とフリーメイソンは分かちがたく融合して、フランス市民革命の思想的推進力になったということである。
 フランス市民革命でフリーメイソンは活躍した。しかし、団員の中には、さまざまな人物がいた。個々に思想や立場が異なっていた。メイソン同士が意見の違いから対立・抗争した。大東社の中心的存在だったド・シャルトル公爵はギロチンで処刑された。急進派のマラーは暗殺され、穏健派のコンドルセは服毒自殺した。
 それゆえ、18~19世紀のフリーメイソンを強固に団結した陰謀団体と見るのは、不適当である。参加者はフリーメイソンの教義や規約よりも、各自の抱く思想や利害で行動した。ロシア革命を遂行したボルシェヴィキ、後のソ連共産党や、ワイマール共和国で権力を掌中にしたナチス等に比べ、フリーメイソンはもっと緩やかな集団と見るべきである。
 メイソンは一枚岩ではなかった。だが、熱狂と混乱の中で、フランス革命は進んだ。ユダヤ人にとって重要なのは、革命の結果、ユダヤ人解放令が出されたことである。

 次回に続く。
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北朝鮮の攻撃から、日本をどう防衛するか

2017-04-26 09:38:33 | 時事
 北朝鮮は4月25日の朝鮮人民軍創建85周年記念日には、核実験も弾道ミサイルの発射も行わなかった。その代わりなのかは不明だが、同国南東部で過去最大規模の砲撃訓練を行った模様である。米国の圧力と中国の働きかけを受けて核実験と弾道ミサイル発射を断念したのか、時期を見て核実験や弾道ミサイルの発射を強行するつもりか、分からない。引き続き、最大限の警戒が必要である。

 ところで、北朝鮮の核開発・弾道ミサイル実験や中国の尖閣諸島周辺の領海侵犯等がエスカレートする中、ここ1年ほどの間に、日本国民の防衛に関する意識が大きく変化している。
 昨28年12月22日に発表された毎日新聞社の世論調査は、「憲法9条の『2項』についてあなたの考えは、次のどれに近いですか」と問いかけた。
 憲法9条は、次の条文である。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第9条  日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2  前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 毎日の世論調査の質問は、上記の9条のうち1項はそのままとし、2項についてどう考えるかを訊くものである。回答者の結果は、次の通りだった。

・「自衛隊」の保持とその役割を明記すべきだ 36%
・「国防軍」の保持とその役割を明記すべきだ 17%
・改正すべきではない            21%
・わからない                24%

 注目すべきは、「自衛隊」ないし「国防軍」の保持とその役割を明記すべきだという意見が、合計53%に達していることである。2項を改正すべきではないという意見は21%ゆえ、32ポイントも上回っている。

 自衛隊については、平成27年1月に実施された内閣府の世論調査で、9割以上の国民が肯定的な印象を持っている。「良い印象を持っている」という回答が41.4%、「どちらかといえば良い印象を持っている」という回答が50.8%で計92.2%という圧倒的な数字である。
 こうした世論を踏まえ、憲法改正を推進する勢力では、現在、まず改正すべき項目として、<緊急事態条項の新設>と<自衛隊の明記>が挙げられている。

 4月4日にアサド政権がサリンを使って一般市民を約100人殺傷した。これに対し、7日米国がシリアの空軍基地をミサイルで攻撃した。米中のトランプ=習首脳会談の最中だった。この攻撃は北朝鮮への警告でもあった。北朝鮮は米中首脳会談の前日5日にミサイルを発射した。米国は北朝鮮が米本土に届くICBMを完成させることに、強い危機感を持っている。4月15日には、北朝鮮は金日成生誕105年祭に当たり、この日に合わせて6回目の核実験を行うことが懸念された。米国は、北朝鮮が核実験や弾道ミサイルの発射をする場合は軍事行動を辞さないという強い姿勢を示している。中国が北朝鮮にどの程度本気で圧力をかけるか、それに北朝鮮がどう応じるかも注目される。戦争になれば、日本への影響が想定され、緊迫した情勢が続いている。

 こうした中で、産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)は、4月15、16両日に合同世論調査を実施した。北朝鮮の核・ミサイル開発に脅威を「感じる」と答えた人は91・3%に達した。「感じない」との回答は8・0%だった。注目すべきは、この世論調査は、北朝鮮の弾道ミサイル発射に対する日本の「敵基地攻撃能力」についての具体的な考え方を訊いたことである。「敵基地への反撃は、弾道ミサイルを日本に向けて発射したあとに限るべきだ」と回答した人が、45・0%だった。また「日本に向けて発射する具体的な構えを見せた段階で基地を攻撃すべきだ」と回答した人が、30・7%だった。前者は攻撃を受けてからの反撃、後者は先制攻撃だが、合わせて敵基地への攻撃を容認する意見が75%を超えた。
 これは、日本の国民が今、かつてない危機感を抱いていることの現れだろう。

 突然発射される北朝鮮の弾道ミサイルへの対応については、帝京大学名誉教授で元陸将の志方俊之氏が理論的に3つの選択肢があるとして、次のように書いている。4月13日の産経新聞の記事である。
 「第1は『座して死を待つ』、第2は『一撃を受けてから敵基地に対して反撃する』、第3は『敵基地に対して先制攻撃を行う』-である。
 このうち、第1の選択肢は、自衛権を持つ国家として対象にはならないが、第2の選択肢は、第一撃による被害を最小限にして、他に手段がない限り敵基地に対して直ちに反撃するものである。
 しかしこの場合、第一撃による被害をゼロにすることは難しい。特に弾道ミサイルの『飽和攻撃』に対しては万全ではない」。
 私見を以って補足すると、飽和攻撃とは、同時に多数のミサイルを発射する攻撃である。北朝鮮は日本を射程に収めるノドンを360発実戦配備していると見られるから、77か所ある在日米軍基地の複数の箇所や東京・大阪を集中して攻撃してきた場合、これを完全に迎撃することは難しい。
 志方氏は続ける。「急ぐべきは第3の選択肢である。急迫不正の侵害があり、他に国を防衛する手段がないこと、必要な限度にとどめることなど『一定の条件』下で敵基地を破壊する-というものである。
 この権利は国際的には『国連憲章第51条』で認められている。また国内の法解釈では、政府の統一見解として『座して自滅を待つのは憲法の趣旨ではない』とする鳩山一郎首相答弁(昭和31年)は現在も担保されている。『一定の条件』については、緊急時の要領の細部を平時から議論して決めておき、国民や国際社会にも知らせておく必要がある」。また、「敵基地反撃能力」を「実際に持つためには、時間、予算、訓練と国会での論議が必要だ」と志方氏は述べている。

 産経新聞平成29年4月13日付の記事が、敵基地攻撃能力に関して書いているところによると、自衛隊は、F2戦闘機、空中給油機や空中警戒管制機(AWACS)を保有しており、現有装備で北朝鮮に打撃を加えることは全く不可能ではないという。しかし、現在の態勢では特攻隊に近い状態になるらしい。敵基地攻撃を行う場合、北朝鮮軍の防空網突破が不可欠だが、相手のレーダー施設を無力化したり、目標を正確に攻撃する能力を発揮したりできなければならない。自前の偵察衛星を持たず、衛星情報でミサイル熱源を特定するためのデータベースも整備できていない。
 そのうえ、法的な課題がある。自衛隊が個別的自衛権を行使して敵基地を攻撃できるのは、北朝鮮によるミサイル発射が「組織的、計画的な武力行使」と認定される武力攻撃事態に限られる。北朝鮮の一撃のみでは武力攻撃事態と認定できず、「現状では核ミサイルを撃たれても防衛出動できない可能性がある」と防衛・外務の両省の関係者は口をそろえて語っているという。ミスだった可能性もあるからだという。
 「現状では核ミサイルを撃たれても防衛出動できない可能性がある」という防衛・外務官僚の認識は、極めて深刻である。たとえば、ある都市が核ミサイルで攻撃され、瞬時に数十万人の犠牲が出たとする。次に東京を攻撃されたら、日本は壊滅的な被害を受ける。それが明白な状況であっても、政府は、最初の核攻撃はミスだったのかもしれないと考え、「組織的、計画的な武力行使」か否かを確認・精査しようとするのか。そんなことをやっている間に、首都中枢部に核ミサイルが飛んでくるだろう。
 本件の法的な課題は、安全保障関連法で武力攻撃事態を定義した際、縛りを強くしすぎたため、いざとなったら実効性が不足しているわけである。どうしてこういう間抜けなことになるか。それは、諸法の根幹にある憲法に欠陥があるからである。憲法第9条2項による自主防衛力への規制が、日本人を守る手や足を縛っている。9条2項を改正し、真に日本を守ることのできる体制を作らなければ、日本は自滅・亡国に至る。
 日本国民は、日本という国がいかに危険な状態にあるかを認識し、憲法の改正とそれによる国防の強化を急がなければならない。

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●産経新聞 平成29年4月17日付

2017.4.17 19:55更新
【産経・FNN合同世論調査】
敵基地攻撃「容認」75%超 北朝鮮が発射の具体的な構えを見せたら攻撃も30%超す

http://www.sankei.com/politics/news/170417/plt1704170037-n1.html
【産経・FNN合同世論調査】

 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が15、16両日に実施した合同世論調査によると、北朝鮮の核・ミサイル開発に脅威を「感じる」と答えた人は91・3%に達した。「感じない」との回答は8・0%だった。
 北朝鮮の弾道ミサイル発射に対する日本の「敵基地攻撃能力」についての具体的な考え方を聞いたところ、45・0%の人が「敵基地への反撃は、弾道ミサイルを日本に向けて発射したあとに限るべきだ」と回答した。「日本に向けて発射する具体的な構えを見せた段階で基地を攻撃すべきだ」という“先制攻撃”容認派も30・7%に上っており、敵基地への攻撃の容認は75%を超えた。
 一方で、「日本に向けて弾道ミサイルを発射しても、日本は基地に反撃すべきではない」といった反対論は19・2%だった。
 敵基地攻撃能力については、前回調査(3月18、19両日実施)でも、「保有すべきだ」「保有を検討すべきだ」を合わせると、75・1%に達していた。
 自民党は3月末、北朝鮮が日本に向けて弾道ミサイルを発射した場合、2発目以降の発射を防ぐための「敵基地反撃能力」の保有を検討するよう政府に求めた。
 調査では、自民党支持層の47・1%が賛成したほか、35・3%は先制攻撃を容認した。
 年代別は「日本に向けて発射したあとに限るべきだ」は50代男性(54・8%)が最も多く、次いで60代以上の女性(51・1%)だった。「具体的な構えを見せた段階で攻撃すべきだ」は、30代男性(38・7%)と30代女性(38・9%)が多かった。

●産経新聞 平成29年4月13日

http://www.sankei.com/column/news/170413/clm1704130006-n1.html
2017.4.13 11:00更新
【正論】
北朝鮮の脅威「排除」へ 急ぐべき選択肢は「敵基地反撃能力の保有」だ 帝京大学名誉教授・志方俊之

≪シリアとは大きく違う破壊規模≫
 トランプ米政権が行った本格的な軍事行動は、シリアの空軍基地に対するトマホーク巡航ミサイルによる限定的攻撃だった。日本や欧州各国は支持や理解を示したが、中国は微妙な立場に立たされた。国連安保理ではシリアのアサド政権を支持して米欧の制裁案に拒否権を行使してきたが、米中首脳会談の最中のミサイル攻撃だったため、断固反対とはいえなかった。
 首脳会談のテーマの一つが、中国による北朝鮮への制裁強化だったことから、習近平国家主席は明確な態度を表明するのが困難であった。シリア問題と北朝鮮問題は繋(つな)がっているのである。
 ただし、シリアと北朝鮮の軍事力は基本的に異なる。シリアの軍事力は国内のゲリラ勢力を封じ込める程度で、量・質とも周辺諸国を攻撃できるものではない。
 他方、北朝鮮は核と弾道ミサイルを持ち、地上部隊の規模も大きく、すでに韓国内に特殊部隊を潜入させている可能性がある。朝鮮戦争を再開するだけの戦力を持っており、戦争が発生した場合の破壊規模は大きく、範囲は朝鮮半島だけにとどまらない。
 現在、米韓両国は合同軍事演習「キー・リゾルブ」と野外機動訓練「フォールイーグル」を行っている。加えて、カール・ビンソン空母打撃群が朝鮮半島周辺に向かっている。マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)は、「脅威を除去するため、あらゆる選択肢を示すよう指示されている」と述べ、北朝鮮に対し、目標を限定した軍事的選択肢もあり得ることを示唆した。

≪現実化しているミサイル飛来≫
 米国には情勢を見定めるタイムラインがある。中国は5年に1度行われる共産党大会を秋に控えており、習近平主席はまず国内を固める必要がある。それまでの間、米国は中国が北朝鮮への制裁をどの程度まで行うかを確かめる。また、5月に行われる韓国大統領選挙の結果、新政権が北朝鮮に対し、どのような安全保障政策をとるか見極める必要もある。
 北朝鮮の弾道ミサイル開発は着々と進んでいる。固体ロケット燃料を使い発射準備期間を短縮する一方、コールド・ローンチ技術を完成させ、潜水艦からの水中発射を可能にした。移動式の発射装置を利用して、偵察衛星では識別が難しい複雑な場所から発射できるようになった。また、通常より高く打ち上げて高高度から落下させることで、迎撃を難しくするロフテッド軌道を選択できることも明らかになっている。
 われわれは北朝鮮の戦力を3つの時代に分けて考えなければならない。朝鮮戦争があった金日成時代の46年間は通常戦力だけだったが、金正日時代の17年間は核実験2回、ミサイル発射16発、金正恩時代は現在までに核実験3回、ミサイル発射40発超と、急ピッチで戦力を整備し実戦化している。
 重要なのは北朝鮮の「脅威の質」が全く異なっていることに対応することである。ある日突然、弾道ミサイルが飛来することがあり得ると考え、備えておくことが肝要なのである。

≪理論的に3つの選択肢≫
 突然に行われる弾道ミサイルへの対応としては理論的に3つの選択肢がある。第1は「座して死を待つ」、第2は「一撃を受けてから敵基地に対して反撃する」、第3は「敵基地に対して先制攻撃を行う」-である。
 このうち、第1の選択肢は、自衛権を持つ国家として対象にはならないが、第2の選択肢は、第一撃による被害を最小限にして、他に手段がない限り敵基地に対して直ちに反撃するものである。
 しかしこの場合、第一撃による被害をゼロにすることは難しい。特に弾道ミサイルの「飽和攻撃」に対しては万全ではない。
 急ぐべきは第3の選択肢である。急迫不正の侵害があり、他に国を防衛する手段がないこと、必要な限度にとどめることなど「一定の条件」下で敵基地を破壊する-というものである。
 この権利は国際的には「国連憲章第51条」で認められている。また国内の法解釈では、政府の統一見解として「座して自滅を待つのは憲法の趣旨ではない」とする鳩山一郎首相答弁(昭和31年)は現在も担保されている。「一定の条件」については、緊急時の要領の細部を平時から議論して決めておき、国民や国際社会にも知らせておく必要がある。
 自民党安全保障調査会は「弾道ミサイル防衛に関する検討チーム」を発足させ、3月30日に安倍晋三首相に提言を手渡した。これは、わが国の弾道ミサイル防衛を抜本的に見直し、新しい装備を導入するとともに、「敵基地反撃能力」の保有についても検討の必要性を訴えている。
 ただし、この能力を実際に持つためには、時間、予算、訓練と国会での論議が必要だ。野党も「座して死を待つ」ことなど唱えないわけであるから、他に選択肢があるとすれば、国民に提示すべきだろう。(帝京大学名誉教授・志方俊之 しかたとしゆき)

●産経新聞 平成29年4月13日

http://www.sankei.com/politics/news/170413/plt1704130036-n1.html
2017.4.13 21:46更新
【北朝鮮情勢】
日本の敵基地攻撃、現有装備でも不可能ではないが… 「特攻隊に近い状態になる」と防衛省関係者

 安倍晋三首相は13日、自衛隊のミサイル防衛(MD)態勢の限界にあえて言及することで、敵基地攻撃能力の保有を含む防衛力強化に向けた意欲をにじませた。確かに、自衛隊の現有装備では北朝鮮のミサイル基地を効果的にたたくことはできない。法的な課題も残る。政府が保有に向けた決断を下しても、実効的な抑止力を保持するには多くのハードルがある。(杉本康士、小野晋史)

 敵基地攻撃能力をめぐっては3月末、自民党安全保障調査会が早期の保有検討を求める提言を安倍首相に提出した。そもそも自衛隊の現有装備で北朝鮮に打撃を加えることは「全く不可能ではない」(航空自衛隊関係者)。F2戦闘機に加え、空中給油機や空中警戒管制機(AWACS)をすでに保有しているからだ。
 しかし、防衛省関係者は「現在の態勢では特攻隊に近い状態になる」と証言する。敵基地攻撃を行う場合、北朝鮮軍の防空網突破が不可欠。レーダー施設を無力化するためには電子妨害機や対電波放射源ミサイルを導入しなければならない。空自は衛星誘導爆弾(JDAM)を保有しているが、目標にレーザーを照射して命中効率を上げる爆撃誘導員の育成も必要だ。防衛省は新たに空対地ミサイルを取得することも視野に入れる。
 米軍の協力が得られなければ、偵察衛星も自前で用意しなければならず、衛星情報でミサイル熱源を特定するためのデータベースも一朝一夕に整備できない。巡航ミサイルが取得できれば護衛艦の火器管制改修などで対応できるが、衛星利用測位システム(GPS)で誘導するため移動式発射台を捕捉するのは難しい。
 法的な壁も決して低くない。防衛、外務両省関係者は「現状では核ミサイルを撃たれても防衛出動できない可能性がある」と口をそろえる。自衛隊が個別的自衛権を行使して敵基地を攻撃できるのは、北朝鮮によるミサイル発射が「組織的、計画的な武力行使」と認定される「武力攻撃事態」に限られる。
 核ミサイルが1発のみで第2撃、第3撃の動きがなければ武力攻撃事態と認定できない可能性もある。核ミサイルの発射は国家による行為と推定できるため「組織性」を認定できるが、「ミスで撃ってしまった恐れもあり、継続的に武力攻撃を行う『計画性』が認定できない」(防衛省関係者)からだ。
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ユダヤ41~アメリカ大陸で得たユダヤ人の自由

2017-04-25 08:57:19 | ユダヤ的価値観
●アメリカ大陸で得たユダヤ人の自由

 ワシントンが初代大統領に就任すると、ユダヤ教の信徒がワシントンに祝辞を送った。ワシントンは、「啓蒙されたこの時代に、平等な自由の土地であるこのアメリカにおいては、どのような信仰を抱く者も政府の職につくことができる」と返事した。これはユダヤ人に公職就任権を認めるものである。ユダヤ人にとって、自由の国アメリカは、キリスト教との宗教的な違いに関係なく活動できる理想の場所となった。そのような国の建設にフリーメイソンが多数参加したのである。
 ここでアメリカ大陸でのユダヤ移民の歴史を書いておきたい。
 15世紀末、スペイン・ポルトガルでは、ユダヤ人追放が行われ、ユダヤ人はオランダ等の各地に移住した。その際、南米のブラジルに入植した者たちがいた。1549年にポルトガルからブラジルンに派遣された初代総督のトマス・デ・ソウザは、ユダヤ人だった。ユダヤ人はサトウキビのプランテーションの大半を所有し、宝石類の取引を行った。1654年に、オランダ領ブラジルがポルトガルに征服された。ユダヤ人の一部は、イギリスの植民地となったカリブ海のバルバトスとジャマイカに逃げ、そこで砂糖産業を興すのに助力して、歓迎された。また別のユダヤ人たちは北米に渡り、オランダ人が入植していたニューアムステルダムに住み着いた。彼らは15世紀末にイベリア半島から追放されたユダヤ人の子孫で、セファルディム系の23人だった。1664年に町がイギリスの支配下に入り、ニューヨークとなった。以後、ユダヤ人は英国市民としての権利を得るとともに、新大陸への入植者たちが採択した信教の自由を享受した。フランス革命によるユダヤ人解放より、100年以上も前のことである。北米はユダヤ人にとって、まさに新天地だった。ユダヤ人の人口は急速に増えていった。18世紀初頭にはユダヤ人のほぼ全員が国際貿易に携わっていたが、段々土地に根を下ろし、内陸に入植して商売を行うようになった。
 1776年、イギリスからの独立戦争が起こると、ユダヤ人のほとんどが独立を支持した。戦争に直接参加した者は数百人に上った。なかでも銀行家ハイム・ソロモンは戦費調達に奔走し、大陸会議に20万ドルを戦費として貸し付けた。そのため、イギリスによってスパイ行為の罪で死刑にされた。
 アメリカ独立戦争は、ユダヤ人にとっても、自らの手で自由を獲得する戦いだった。もっとも建国後の合衆国は、独立宣言の理想とは異なり、差別のない国家ではなかった。そこには、キリスト教の宗派の影響が見られる。初期開拓者は、イギリス各地から渡来した移民、ピルグリム・ファーザーズだった。彼らは、カルヴァン主義のイギリス的形態であるピューリタニズムの信奉者だった。彼らを祖とするアメリカ社会では、カルヴァン主義的プロテスタントが主流となっている。
 カルヴァン主義は、人間を神によって予め来世の救いに選ばれた者と、選ばれていない者とに峻別する救霊予定説を説く。アメリカ建国の祖は、この説に立って、自らを神に選ばれた者とした。トッドはこれを「宗教的差異主義」と呼ぶ。差異主義とは、人間は同じではなく、本質的な違いがあるという思想である。建国の祖の宗教的差異主義は、自由を重んじ、兄弟の平等には無関心なイギリスの絶対核家族の家族制度を土台としていた。アメリカの家族型的かつ宗教的な差異主義は、旧約聖書の神の言葉によって増幅され、インディアンや黒人との混交を禁じた。白人キリスト教徒は、自らを旧約聖書のユダヤ人に同定し、インディアンを殺戮すべき異教徒に同定した。ここには、ユダヤ教の選民思想の影響が見られる。旧約聖書は本来、ユダヤ教の聖典であり、カルヴァン主義にはユダヤ教の影響が見られる。キリスト教の再ユダヤ教化が起ったものである。
 アメリカ合衆国の建国は、イギリスやヨーロッパ諸国に衝撃を与えただけでなく、人類文明史においても大きな意義を持っている。その意義の一つは、ヨーロッパ文明と異文明・異文化の出会いである。ヨーロッパ文明は、アメリカ合衆国に広がったことによって、より広域的な近代西洋文明へと発展した。ここでヨーロッパ文明は、アメリカ先住民の文化、アフリカ文化、アジア諸文明等と遭遇し、相互に影響を与え合ってきた。多民族・多文化の国家ゆえの出来事である。とりわけユダヤ文化は、ヨーロッパにおける以上に、西洋文明に深く影響を与えた。
 本稿の根底にある「近代西洋文明において、ユダヤ人はどういう役割を果してきたか」「現代世界においてユダヤ的な価値観はどういう影響を及ぼしているか」という問いを考察する上で、アメリカ合衆国におけるヨーロッパ文明とユダヤ文化の融合は、大きな関心を引く文明史的な出来事である。イギリスでは、アングロ・サクソン文化とユダヤ文化が融合し、アングロ・サクソン=ユダヤ文化が生まれた。アメリカ合衆国では、そこにアメリカ独自の文化が加わり、アメリカ=ユダヤ文化が創造された。米国の成長・発展とともに、アメリカ=ユダヤ文化が、世界各地に伝わり、ユダヤ的価値観がより広く浸透・普及することになるのである。

 次回に続く。
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「『北の守り』から国の守りを固めよう」をアップ

2017-04-24 08:10:51 | 時事
 4月16~20日にブログに連載した「『北の守り』から国の守りを固めよう」を編集し、マイサイトに掲示しました。既に掲示している拙稿「外国人土地取得の規制を急げ~北海道の事例を踏まえて」に補説として、「北の守り」に関することに絞った文章を加えました。
 現下の国際情勢については、別途折を見てまとめます。

■外国人土地取得の規制を急げ~北海道の事例を踏まえて
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion13w.htm
 補説「21世紀の新たな『北の守り』を固めよう」
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故・渡部昇一氏の偉大な功績を讃える

2017-04-22 08:53:14 | 日本精神
 平成29年(2017)4月17日、渡部昇一氏は逝去しました。氏の訃報に接し、氏の長年にわたる言論活動に感謝するとともに、その功績をたたえ、心からご冥福をお祈り申し上げます。
 渡部氏は、戦後日本の再建のために日本の歴史・伝統・国柄の顕彰だけでなく、皇室の崇敬、憲法の改正、国防の強化、そしてなにより日本人の精神の復興に、粉骨砕身したオピニオン・リーダーでした。渡部氏を敬愛する多くの方々とともに、私も氏の志を受け継いで、日本の再建と発展に心を尽くしたいと思います。

 ここに平成22年(2010)6月9日に書いた拙稿「渡部昇一氏の『日本の歴史』賛」を再掲し、氏の功績をたたえます。

―――――――――――――――――――――――――
 渡部昇一氏の『日本の歴史』シリーズ(WAC)、全8巻が発刊された。戦後篇、昭和篇、明治篇等と、現在から過去にさかのぼっていく仕方で刊行中である。私はこれまで出た3巻を読み、渡部日本史に新たな感動を覚えた。
 渡部氏は昭和48年から52年(1973~77)にかけて『日本史から見た日本人』を出した。以後、日本史や日本文明について多数の本を書いている。今回の企画は、渡部日本史の集大成である。ただし、単に過去のもののまとめではなく、新しい研究や見解を取り入れ、これまでの考察と主張をさらに深めている。氏は、昭和5年(1930)生まれであり、当年とって80歳である。この高齢で、日本史の通史を新たに書き上げ、自分の仕事を集大成するとは、驚異的である。多くの人にお勧めしたく、本稿を書くものである。
 マイサイトの自己紹介に書いてあるが、私は10代の半ばから共産主義の影響を受けた。高校に入ったのは、昭和44年(1969)。東大安田講堂の攻防戦に始まった年で、70年安保をめぐる運動に国内が騒然としていた。私は日教組の教育を受け、マルクス主義の理論書や歴史書を読んだ。しかし、マルクス主義を学ぶにつれ、私はその理論に矛盾を感じ、運動に限界を、活動家たちの人格に疑問を感じた。共産主義を克服することが、20代半までの私の最大の課題となった。
 こうしたなかで私の閉塞を破ってくれたのは、パール博士の『日本無罪論』だった。東京裁判の検証を通じて、私は、近代の日本史や世界史を根本から見直すことができるようになった。当時、出会った歴史書の中に渡部昇一氏のものがあった。階級闘争史観・自虐史観が支配的だったなかで、清新な歴史の見方だった。その後、渡部氏の著書は、文化・時事等に関するものを含めて、折々に読んできた。
 渡部氏は、歴史学の専門家ではない。本業は英語学者である。専門の研究において、ドイツ、イギリス、アメリカ等で異なる言語と文化に触れた氏は、日本の文化や歴史を見直した。そして、既成の歴史観にとらわれず、独自の視点で日本の歴史を書いて発表した。それが『日本史から見た日本人』であり、それに続く『歴史の読み方』(昭和54年、1979)も名著である。
 渡部氏は「歴史に虹を見る」という。水滴のような個々の事象を見るだけでは決してとらえることのできない、ものの全体像を「虹」と言っている。だから、氏の日本史は大局的な歴史観を表す。巨視的に見て重要な事柄や、日本文明の他にない特徴について、徹底的に考究する。個々の事象の研究家には見えないものが、氏の展望には現れる。それを確信を持って書く。こうした氏の姿勢は、歴史家というより、文明批評家と呼ぶに相応しい。

 私が渡部氏の日本史に感ずるのは、第一に、氏の日本の伝統・文化・国柄への愛情と誇りである。第二に、日本文明を西洋文明、シナ文明と比較する視点である。第三に、アメリカ、ドイツ、コリア等の文化・国情を踏まえた国際的な知見である。これらについては、多くの人が挙げる点だろう。
 私がもうひとつ特筆したいのは、渡部昇一という人物の器量である。幅広く様々なものを兼ね備えた人間の持つ豊かさである。渡部氏は学者だが、政治の駆け引き、外交のセンス、軍事への関心、国益についての現実的な判断力、法制度への論理的思考力、文化・文学・人物への理解等を兼ね備えている。だからこそ、渡部氏は、日本史に関し、独創的な意見を多く発表できているのだと思う。
 氏は既成観念や通説にとらわれずに、自分の頭で徹底的に考え抜く。近代史に限っても、氏が独自の視点で考察していることが多くある。明治憲法の欠陥、日露戦争の世界史的意義、日韓併合の協調性、日米戦争の遠因としての排日運動、統帥権干犯問題の原因、満州国建国の合法性、東京裁判の不法性、パール判決書の重要性、南京事件の虚妄、マッカーサーと東条英機の戦争観の一致、等。
 これらに関し、氏の見方は早くから一貫しており、ぶれがない。確固とした視点のもとに、新知見を取り入れ、考察を加えて、自説を掘り下げ、練り直してきている。大東亜戦争の評価については、私は違う見方をしており、氏の説に異論のあることは他にもある。しかし、日本の近代を考える際、一度は渡部史観を読んでみるべきだろう。今日の日本の政治を考える上でも、渡部史観から重要なことが多数読み取れる。

 渡部氏の歴史書の特徴の一つに、歴史を動かす人物を敬愛をもって書いていることがある。近代史においては、西郷隆盛、明治天皇、乃木稀典、昭和天皇等を、氏は尊敬と愛情をもって描く。これらの人物は、どれも「代表的日本人」と言うべき人物である。みな日本人の精神がよく表れている人物である。だから、私たちは渡部日本史を読むことを通じて、日本人の精神をもった日本人の姿に触れることができる。それは渡部氏が、こうした日本人に感動し、敬愛を覚える日本人だからである。
 渡部氏は類稀な独創性をもった当代一流の教養人である。しかし氏の主張は、単に奇抜なものではなく、日本人の常識に裏付けられているところに、素晴らしさがある。ここで日本人の常識と言うのは、江戸時代以前から明治・大正を経て昭和戦前期までは、日本人に代々受け継がれてきた常識である。日本人としてのものの見方、感じ方である。渡部日本史は、こうした日本人の常識に裏付けられているからこそ、真に「国民の歴史」と呼ぶに値する歴史観になっていると私は思う。
 
 これから日本の歴史を学びたい人、日本が好きでもっと日本の歴史を知りたい人、日本の歴史を掘り下げてとらえたい人、日本文明を他文明と比較して理解したい人等、多くの人に渡部昇一氏の『日本の歴史』シリーズをお勧めしたい。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
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北朝鮮のミサイルから、身を守るには

2017-04-21 19:31:15 | 時事
 北朝鮮が日本に向けて弾道ミサイルを発射した場合、どうするとよいか。4月21日ようやく内閣府が「国民保護ポータルサイト」に心得を掲示しました。確認と普及をなさってください。

■履歴
http://www.kokuminhogo.go.jp/backnumber.html

■ポイント
<屋外にいる場合>
○近くのできるだけ頑丈な建物や地下街などに避難する。
○近くに適当な建物がない場合は、物陰に身を隠すか地面に伏せ頭部を守る。
<屋内にいる場合>
○出来るだけ窓から離れ、できれば窓のない部屋へ移動する。
http://www.kokuminhogo.go.jp/pdf/290421koudou1.pdf

■Q&A
http://www.kokuminhogo.go.jp/pdf/290421koudou3.pdf
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ユダヤ40~アメリカ独立革命におけるメイソンの活躍

2017-04-21 09:18:14 | ユダヤ的価値観
アメリカ独立革命におけるメイソンの活躍

 フリーメイソンは、アメリカがイギリスから独立する運動において、重要な役割を果たした。続いて、その概要を書く。
 ロックの思想は、アメリカにも伝わっていた。フリーメイソンがロックの政治理論を普及させた。ロックの政治理論は、植民地アメリカでは本国への抵抗権の論拠となり、さらに連合王国からの独立を求める思想へと急進化した。
 フリーメイソンは、本国のイギリスから植民地アメリカに入って、各地にロッジを開設した。各地に組織されたロッジは情報交換や人材交流の場となり、13に分かれていた植民地を共通の理想のもとに結びつける役割を果たした。独立戦争の導火線となったボストン茶会事件は、「自由の子ら」というグループの仕業だが、そこには多くのメイソンが加わっていた。アメリカ独立革命の指導者の多くは、ピューリタンまたはキリスト教を信奉するフリーメイソンだった。ベンジャミン・フランクリン、ジョージ・ワシントンは、メイソンとして有名である。また、独立運動の転機を作った『コモン・センス』の著者トマス・ペインは、確証はないがメイソンだった可能性がある。ペインには「フリーメイソン団の起源」という論文があり、相当の関係があったことは間違いない。
 アメリカ独立宣言は、トマス・ジェファーソンが起草の中心となったが、起草委員会にはフランクリンが入っていた。独立宣言に署名した56人の中にもメイソンがおり、フランクリンを含め9人から15人がメイソンと見られる。
 独立宣言には、ロック、ピューリタニズム、フリーメイソンという3つの要素が融合していると私は見ている。独立宣言は、権利の根源を「造物主」に置く。ここにおける「造物主」は、基本的にユダヤ=キリスト教的な神である。ただし、この「造物主」は、理神論に立てば、ユダヤ教・キリスト教・フリーメイソンに共通する宇宙の創造者となる。独立宣言は、建国の指導者たちが共有し得る世界観に立って、すべての人間は平等に造られ、造物主によって、一定の不可譲の権利を与えられているとしたものだろう。人民の権利は、歴史的・社会的・文化的に形成されたイギリス臣民の「古来の自由と権利」ではなく、天賦の権利であるという論理が打ち出された。人民の権利から、権利の歴史性が否定され、権利の根拠として、造物主によって与えられたものということが強調された。この造物主は、単にユダヤ=キリスト教的な神ではなく、ユダヤ教・キリスト教・フリーメイソンに共通する神の理念ととらえたほうがよいだろう。
 アメリカの独立と建国にいかに深くフリーメイソンが関わっていたか、消しようもないほど確かなものは、アメリカ合衆国の国璽である。国璽の裏には、フリーメイソンの象徴のひとつであるピラミッドが表されている。国璽とは、国家を表す印章である。大統領の署名した条約批准書、閣僚や大使の任命書など公式文書などに押印されるものである。それが、1ドル紙幣の裏側に印刷されている。
 国璽のピラミッドは、13段まで積み上げられた未完成のもので、13は独立時の13植民地を意味する。冠石に相当するところには、三角形の中に書かれた「万物を見る眼」が置かれている。古代エジプトを思わせるもので、ユダヤ=キリスト教発祥以前の文明を象徴している。

●代表的なメイソン~フランクリンとワシントン

 次に、アメリカ独立期のフリーメイソンのうち最も重要なフランクリンとワシントンについて記す。
 ベンジャミン・フランクリンは、マックス・ウェーバーが『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で、自身の理論の論拠として挙げた代表的なピューリタンである。フランクリンは敬虔なプロテスタントであると同時に、雷が電気現象であることを実験によって明らかにした自然科学者であり、また当時のアメリカの代表的なフリーメイソンでもあった。
 フランクリンは、1731年ロンドン滞在中にフリーメイソンに加入した。アメリカ独立革命では、独立宣言の起草委員として、ジェファーソンに協力した。またジェファーソンとともに、植民地アメリカ代表としてフランスに派遣された。独立戦争におけるアメリカの勝利は、フランスの支持が得られるかどうかにかかっていた。フランクリンは、フランスでアメリカ独立運動への理解を得るのに成功し、フランスはアメリカを支援した。フランクリンは、このとき、フリーメイソンの人脈を活用した。フランスで当時最も有名な「九人姉妹」のロッジに加入し、代表的な啓蒙思想家ヴォルテールを、このロッジに加入させた。
 フランクリンは、「九人姉妹」ロッジを中心としてメイソンに協力を要請した。最大の協力者は、ラ・ファイエット公爵である。ラ・ファイエットは、独立運動に共感し、1777年、アメリカ独立戦争を助けるため、自費で軍隊を率いて渡米し、独立戦争に参戦した。
 フランクリンは、アメリカにおいては、当時の最新のメディアである新聞を通して、啓蒙思想とフリーメイソンの理念を訴え、また他の新聞人を経済的に援助して、新聞のネットワークを作った。メイソン関係の書物や冊子の出版もしており、知識人だけでなく、一般大衆にも愛読者を獲得した。
 ウェーバーは、資本主義の精神の典型としてフランクリンを挙げた。もしフランクリンを典型とするならば、資本主義の精神の要素として、プロテスタンティズムの倫理だけでなく、18世紀啓蒙思想とフリーメイソンに共通する倫理に言及しなければならないだろう。
 次に、ジョージ・ワシントンは、英国国教会の信徒にしてフリーメイソンだった。独立軍の総司令官として独立革命を勝利に導いた英雄ワシントンは、独立軍の兵士に俸給を出し、精神的にも結束させた。軍にはメイソンの軍事ロッジ(軍隊の中のフリーメイソン結社)が作られ、13植民地から来た兵士たちは啓蒙思想とメイソンの理想をともにした。
 ワシントンの周辺には、その後のアメリカ政治・経済の中枢を担う人材が集まっていた。その多くがメイソンに加入していた。フランクリンの要請で独立戦争に参戦したラ・ファイエットは、ワシントンの主催する参入儀式を受けて、ワシントンの軍事ロッジに加入した。
 大統領府が置かれたホワイトハウスの設計者は、フリーメイソンだった。また、議事堂の礎石を置く儀式は、メイソンのロッジと提携して行われた。ワシントンはメイソンの象徴が描かれたエプロンをつけて儀式に臨んだ。周りの列席者もすべてメイソンの礼服と標章を身に付けていた。メイソンの正装をしたワシントンの肖像画が残されている。

 次回に続く。
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「北の守り」から国の守りを固めよう3

2017-04-20 08:53:30 | 時事
●中国は尖閣奪取の機会をうかがっている
 
 朝鮮半島情勢だけではない。尖閣海域に入ってくる中国海警の警備艦隊は、昨年中ごろまでは2隻編成だったが、今は4隻に増えている。艦船もより大型かつ新鋭となっている。中国海警は尖閣の日本の領海や接続水域に月平均3、4回侵入しており、恒常的かつ自由自在に尖閣海域をパトロールできる能力をほぼ獲得したと見られる。それによって、中国は尖閣海域への侵入を増し、日本の施政権の侵食に成功している。このままだと中国は尖閣の施政権は、中国の手にあると宣言されかねない状況である。
 米国のトランプ大統領は、尖閣諸島は日米安保条約第5条の適用対象であることを明確にし、日本の立場を「100%支持する」と言っている。日本にとっては、大変心強い。だが、第5条が適用されるのは、尖閣諸島がわが国の施政権下にあることが前提である。施政権になければ、適用されない。わが国が実効支配していれば、中国が尖閣を軍事進攻した場合、米軍は日本と連携して行動する。だが、実効支配していなければ、米軍が守ったり、取り戻してくれることはない。
 現下の状況において、国会がなすべきことは、北朝鮮や中国からわが国を防衛するための法整備や諸施策の推進である。ところが、2月下旬から国会は森友学園という一地方の学校の問題で空転し、まともに機能していない。
 私は、今国会における民進・共産・自由・社民の議会戦術、それに呼応した多くのマスメディアの報道姿勢は、わが国に迫りくる朝鮮半島や尖閣諸島の危機から国民の目をそらし、国内を分裂させることで、北朝鮮や中国を利するものとなっていると思う。
 また彼らは、在日や左翼に牛耳られているマスメディアの多くとともに、国内的には共謀罪に替えてテロ等準備罪を新設する組織犯罪処罰法改正案の成立を阻止するため、躍起になって森友学園問題を利用しているものと思う。民進党は13日以降、一切審議に応じないという姿勢を打ち出している。
 国会で真に日本のことを考えて行動する議員が増えていかないと、日本はまともにならない。次の衆院総選挙、参院選挙が非常に重要である。また、このことは憲法改正を実現できるかどうにも当然、かかってくる。

●憲法改正への動き

 現在、国家最高指導者として、安倍氏に代わり得る人物はなく、まだ確かに後継者と目される人材はいない。自民党は、3月5日の党大会で、総裁の任期を連続3期9年に延長することを決定した。これによって安倍晋三首相の3選が可能になった。
 自民党は同時に「日本の未来を切り拓く」と題した平成29年の運動方針も決定した。5月3日に現行憲法施行から70年を迎える。そのことを踏まえ、「次の70年に向けて新しい憲法の姿を形作り、国会の憲法論議を加速させ、憲法改正に向けた道筋を国民に鮮明に示す」とし、「憲法改正原案の発議に向けて具体的な歩みを進める」と明記した。憲法改正を「自民党の歴史的使命」と位置付ける安倍首相が「発議」の明記を主導した。安倍政権のもとで、またその間に、わが国の悲願である憲法改正を実現することを目指そう。
 櫻井よしこ氏らが共同代表を務めている「美しい日本の憲法をつくる国民の会」では、憲法改正を求める1千万人署名運動を進めており、3月下旬の時点で約880万人に達し、5月3日までに1000万人を達成すべく取り組んでいると聞いている。
 国会では、憲法審査会において憲法に関する議論が進められている。28年臨時国会における衆参憲法審査会の審議では、(1)自衛隊の明記こそ「立憲主義」にかなうとの意見、(2)憲法審査会に各党が具体的な憲法改正案を提示すべきだと要求する意見、(3)緊急事態条項については自民・民進両党から必要性があるとの意見が出た、と伝えられる。
 本来、憲法の全体を改正するのが筋だが、現在は改正すべき項目を絞って、部分的な改正を行うことが現実的という考え方が強くなっている。国民投票は、1項目につき1票を投じるというやり方になるので、あまり項目が多いと、有権者は賛否の判断が難しくなる。そこで数項目に絞る作業が進められることになる見通しである。その項目に絶対含まねばならないのは、国防と緊急事態である。
 国会が憲法改正への議論を積極的に進め、出来るだけ早く憲法改正案をまとめて、改正への発議がされることを願うところである。各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国民に発議される。発議後、6か月以内に国民投票が行われる。国民投票で過半数が賛成すれば、憲法改正が実現する。これを成し遂げない限り、日本の再建はできない。憲法改正を実現できないと、日本は亡国に至る。北朝鮮に日本を潰されたり、中国に日本を奪われてはならない。憲法改正によってのみ、日本の安全と繁栄を確保することができる。
 日本を愛する方々は、自身の心の中に眠っている日本精神を呼び覚まし、ともに協力して日本再建を進めよう。(了)

関連掲示
・拙稿「外国人土地取得の規制を急げ~北海道の事例を踏まえて」
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion13w.htm
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