今日の未明、つまり米国東部時間の18日午前中に、FRBは今後6ヶ月の間に最大で3000億ドル(=29兆円)相当の米国長期国債を買い入れると述べた。これは、長期国債が売れていないからであろう。当然ドルの大量印刷が行われるから、米国内ではインフレが加速される。
この発表により、長期金利が下落し、外国為替は一気に3円近い円高になった。なお今後、ドル安で推移すると見られ、円安を見込んでFX投資をしていた人達は一夜でかなりの損失を蒙ったのではないか。
2月半ば以降、円/ドルレートが円安に振れていたのは、日本側(財務省)の年度末株高を指向する動きと、米国側の国債を買わせようとする動きが同期していたためなのかも知れない。巨額の財政赤字にも拘らず、ドル高になるのは常識的に考えておかしいからだ。
更にFRBは米国債を買い続ける意図なのであろうか。どこかで歯止めを掛けないと、FRB自体が破綻、すなわち米国がデフォルトに陥る。
米FRB、「ツイストオペ」以来50年ぶりの長期国債買い入れへ
2009年 03月 19日 10:53 JST
[ワシントン 18日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)は、1960年代の「ツイスト・オペレーション」以来初となる長期国債の買い入れに踏み切る意向を示した。
FRBは18日発表した連邦公開市場委員会(FOMC)声明で、今後6カ月間で最大3000億ドルの長期国債を買い入れると発表。政府機関が保証するモーゲージ担保証券(MBS)と政府機関債についても、買い取り額を最大8500億ドル増額する方針を示した。
エコノミストの間では、国内経済の悪化を考えれば、こうした大胆な政策は正当化されるとの声が多いが、運用を誤ればインフレの温床になりかねないとの懸念も出ている。
いずれにせよ効果はてきめんだった。長期金利は1日としては、87年10月の株価暴落以降最大の低下幅を記録。住宅ローン金利(30年物)も5.0%付近まで下がり、過去最低水準に迫った。
エコノミストは、今回の措置について、民間クレジット市場向けの対策を強化するものだと指摘。
元リッチモンド地区連銀シニアエコノミスト、マービン・グッドフレンド氏は「現時点でゼロ金利政策を強化するのは正しい」との認識を示した。
FRBは昨年以降、民間クレジット市場の支援策を積極的に打ち出している。今週には、消費者・中小企業向けローンの拡大を狙ったターム物資産担保証券ローンファシリティー(TALF)を開始。TALFの規模は1兆ドルまで増える可能性がある。
<ツイスト・オペレーション>
FRBが長期国債の買い入れに踏み切るのは、1961─65年の「ツイスト・オペレーション」以来となる。
ツイスト・オペレーションは、景気後退(リセッション)と貿易赤字に同時に対応するために導入したオペで、イールドカーブのフラット化を促すため、FRBが長期国債の購入と短期国債の売却を実施した。
マネーサプライへの影響という点では不胎化措置がとられるため、ツイスト・オペレーション自体は金融緩和政策ではない。
FRBが今回発表した国債買い入れでは、不胎化措置をとらず、積極的に金融を緩和することになる。
バークレイズ・キャピタルの米国担当チーフエコノミスト、イーサン・ハリス氏は、今回の対策について「75ベーシスポイント(bp)の利下げ効果がある」と指摘。
「金融政策、信用緩和、積極財政の組み合わせで、第2・四半期には景気後退のペースが鈍り、年内に緩やかな回復が実現する」と述べた。
FRBの対策に加え、米国ではすでに7870億ドル規模の景気対策が成立。オバマ政権は大型予算案の編成も進めている。
ただ、こうした一連の対策にはリスクもある。
クレアモント・マッケナ大学のグレゴリー・ヘス教授(経済学)は「インフレの見通しが不透明になる」と指摘している。
FRBは、消費拡大とデフレリスク回避のため、積極的にマネーサプライを増やしているが、徐々に対策を縮小していかなければ、景気回復局面でインフレが進行する可能性がある。
ただ、グッドフレンド氏は「今回の対策については、過度にインフレ的だという誤解が広がる恐れがある。これはFRBの勇み足で、景気後退とデフレへの懸念は行き過ぎだという誤解が広がるリスクがある」との認識を示した。
(ロイターニュース 原文:Alister Bull、翻訳:深滝 壱哉)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-37060620090319
この発表により、長期金利が下落し、外国為替は一気に3円近い円高になった。なお今後、ドル安で推移すると見られ、円安を見込んでFX投資をしていた人達は一夜でかなりの損失を蒙ったのではないか。
2月半ば以降、円/ドルレートが円安に振れていたのは、日本側(財務省)の年度末株高を指向する動きと、米国側の国債を買わせようとする動きが同期していたためなのかも知れない。巨額の財政赤字にも拘らず、ドル高になるのは常識的に考えておかしいからだ。
更にFRBは米国債を買い続ける意図なのであろうか。どこかで歯止めを掛けないと、FRB自体が破綻、すなわち米国がデフォルトに陥る。
米FRB、「ツイストオペ」以来50年ぶりの長期国債買い入れへ
2009年 03月 19日 10:53 JST
[ワシントン 18日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)は、1960年代の「ツイスト・オペレーション」以来初となる長期国債の買い入れに踏み切る意向を示した。
FRBは18日発表した連邦公開市場委員会(FOMC)声明で、今後6カ月間で最大3000億ドルの長期国債を買い入れると発表。政府機関が保証するモーゲージ担保証券(MBS)と政府機関債についても、買い取り額を最大8500億ドル増額する方針を示した。
エコノミストの間では、国内経済の悪化を考えれば、こうした大胆な政策は正当化されるとの声が多いが、運用を誤ればインフレの温床になりかねないとの懸念も出ている。
いずれにせよ効果はてきめんだった。長期金利は1日としては、87年10月の株価暴落以降最大の低下幅を記録。住宅ローン金利(30年物)も5.0%付近まで下がり、過去最低水準に迫った。
エコノミストは、今回の措置について、民間クレジット市場向けの対策を強化するものだと指摘。
元リッチモンド地区連銀シニアエコノミスト、マービン・グッドフレンド氏は「現時点でゼロ金利政策を強化するのは正しい」との認識を示した。
FRBは昨年以降、民間クレジット市場の支援策を積極的に打ち出している。今週には、消費者・中小企業向けローンの拡大を狙ったターム物資産担保証券ローンファシリティー(TALF)を開始。TALFの規模は1兆ドルまで増える可能性がある。
<ツイスト・オペレーション>
FRBが長期国債の買い入れに踏み切るのは、1961─65年の「ツイスト・オペレーション」以来となる。
ツイスト・オペレーションは、景気後退(リセッション)と貿易赤字に同時に対応するために導入したオペで、イールドカーブのフラット化を促すため、FRBが長期国債の購入と短期国債の売却を実施した。
マネーサプライへの影響という点では不胎化措置がとられるため、ツイスト・オペレーション自体は金融緩和政策ではない。
FRBが今回発表した国債買い入れでは、不胎化措置をとらず、積極的に金融を緩和することになる。
バークレイズ・キャピタルの米国担当チーフエコノミスト、イーサン・ハリス氏は、今回の対策について「75ベーシスポイント(bp)の利下げ効果がある」と指摘。
「金融政策、信用緩和、積極財政の組み合わせで、第2・四半期には景気後退のペースが鈍り、年内に緩やかな回復が実現する」と述べた。
FRBの対策に加え、米国ではすでに7870億ドル規模の景気対策が成立。オバマ政権は大型予算案の編成も進めている。
ただ、こうした一連の対策にはリスクもある。
クレアモント・マッケナ大学のグレゴリー・ヘス教授(経済学)は「インフレの見通しが不透明になる」と指摘している。
FRBは、消費拡大とデフレリスク回避のため、積極的にマネーサプライを増やしているが、徐々に対策を縮小していかなければ、景気回復局面でインフレが進行する可能性がある。
ただ、グッドフレンド氏は「今回の対策については、過度にインフレ的だという誤解が広がる恐れがある。これはFRBの勇み足で、景気後退とデフレへの懸念は行き過ぎだという誤解が広がるリスクがある」との認識を示した。
(ロイターニュース 原文:Alister Bull、翻訳:深滝 壱哉)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-37060620090319
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