陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

ギリシャ不安で1ユーロ=100円台を記録

2011-10-04 12:36:34 | 財政・経済問題
 一時的だが、遂に1ユーロ=100円88銭となった。10月4日06:30(日本時間)のことである。これは、10年振りの為替レート。現在は、101円台前半で推移。

 ドイツ連邦議会(下院)が、EFSF拡充案を承認した(9/2)ことによって、ギリシャ危機は回避されるとの見方が強く、9月末の時点で1ユーロ=104円程度にユーロは戻した。しかし、一昨日のギリシャ政府による2011年度GDP推計の発表で、財政赤字削が予定額未達の見込みと報道されると、一気にユーロは下落した。

 WSJの記事が伝える内容は、

ギリシャ、デフォルト懸念深まる―財政赤字見通し悪化で2011年 10月 4日 5:53 JST

 ギリシャ政府が3日、財政赤字削減目標未達となる見通しを発表したため、欧州金融市場は再び悪化した。これでギリシャが「ハード」デフォルト(債務不履行)となる可能性が高まった。
 国際通貨基金(IMF)、欧州連合(EU)、欧州中央銀行(ECU)から救済融資を受け続けるため、ギリシャは今年の財政赤字を国内総生産(GDP)の7.6%まで削減する必要がある。しかしギリシャ政府は2日、予想以上の景気悪化を理由に実際の財政赤字は対GDP8.5%近くとなることを発表した。

 その結果、IMFやEUにとって、10月に予定通り80億ユーロの融資を実行することは難しくなった。今では、ギリシャが目標を達成しない状況が続くのであればこれ以上の融資は難しいとする国が増えている。その筆頭はドイツだ。

 しかし、ギリシャのデフォルトによって引き起こされる金融面の混乱を考慮すると、モラルハザードのリスクはあっても当面はギリシャへの支援は細々とでも続くとみる向きは依然として多い。

 INGのアナリスト、パドライク・ガービー氏(アムステルダム)は、「ギリシャの緊縮政策の規模は、EMUに残るためなら何でもするという意欲がまだあることを示す」とみていいる。

 ユーロ相場は、1ユーロ=1.3250ドル前後まで下落し、年初来の対ドル上昇分は帳消しとなった。ギリシャのデフォルトによって最も影響を受ける銀行株に主導され、欧州株式市場も軒並み下落。Stoxx欧州600銀行株指数は2.8%下落した。

 債権者がデフォルトを宣言すれば、欧州銀行(とりわけギリシャの銀行)は、債務再編合意まで、実質無価値のギリシャ国債500億ユーロ(約5兆0500億円)を抱えることになる。ムーディーズ・インベスター・サービスは、そのような事態になれば、銀行は、保有金額の最大60%を償却する必要があるかもしれないと発言している。これは7月にユーロ圏首脳が合意した償却額の3倍に上る。
http://jp.wsj.com/Finance-Markets/node_318391

 EMUとは、経済通貨同盟、すなわちユーロ圏のこと。これを受けて、3日のウォール街の株価は先週に続いて大きく落ち込み、ダウ平均で-258.08ドルを記録した。今日の日経平均も、その影響を反映して前場終値は154.60円安で引けた。

 日経新聞によると、

NY株、欧州不安で250ドル超下落 終値1年ぶり安値
2011/10/4 6:17

【NQNニューヨーク=川内資子】3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は大幅に続落し、年初来安値を更新した。終値は前週末比258ドル08セント(2.4%)安の1万0655ドル30セントで、2010年9月17日以来約1年ぶりの安値。欧州債務問題への懸念から欧州株式相場が下落し、米市場でも株を売る動きが優勢となった。

 ギリシャ政府は2日、2011年の財政赤字が国内総生産(GDP)比8.5%に達すると発表。経済のマイナス成長を背景に欧州連合(EU)などと合意した削減目標の7.5%に届かないことが確実となった。ギリシャ支援継続への不透明感が強まり、欧州の株式相場が下落。米市場でも投資家のリスク回避姿勢が強まった。欧州の金融システムの混乱が業績を押し下げるとの懸念から金融株が軒並み大幅安となった。

 9月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数が市場予想に反して前月から上昇し、8月の米建設支出も予想に反して増加した。米景気の減速懸念がやや和らぎ、買いが優勢となる場面があった。ただ、買い一巡後は売りが再開。主な株価指数は午後に下げ幅を広げ、この日の安値圏で終えた。

 ナスダック総合株価指数は大幅に4日続落し、前日比79.57ポイント(3.3%)安の2335.83と10年9月23日以来の安値で終えた。

 機関投資家が運用指標として重視するS&P500種株価指数は続落し、同32.19ポイント(2.8%)安の1099.23と心理的節目の1100を下回り、10年9月8日以来の安値で終えた。

 業種別S&P500種株価指数は全10種が下落。「金融」や「エネルギー」の下げが大きかった。ダウ工業株30種平均の構成銘柄はディスカウントストア大手のウォルマート・ストアーズを除く29銘柄が下げた。

 ニューヨーク証券取引所(NYSE)の売買高は約13億9000万株(速報値)、ナスダック市場(同)は約25億1000万株と、商いは最近では比較的多かった。

 一部アナリストが経営の先行き不透明感を指摘したと伝わった、アメリカン航空の親会社AMRが30%を超える下落。9月の新車販売台数が前年同月比20%増となった自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)は買いが優勢となる場面があったが、相場全体の下げにつれ、安く終えた。11年12月期の業績見通しを引き下げた石炭大手アーチ・コールが急落。

 一方、中国の電子商取引大手アリババ・グループが買収を検討していると報じられたインターネット検索大手ヤフーは上昇。前週末の取引終了後に「米連邦破産法の適用を申請する意思はない」との声明を発表した映像機器大手イーストマン・コダックは急反発した。
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C9
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 政府・日銀がユーロに為替介入しても、殆ど意味を持たず、市場の餌になるだけであろう。急激なドル安とユーロ安へ対抗するためには、日銀が思い切った量的緩和をするしか無いと思う。
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