陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

AIG高額ボーナスで米国は大騒動

2009-03-19 13:13:37 | 財政・経済問題
 先のエントリーで、AIG社の高額ボーナスに対し、オバマ大統領が怒った事について述べたが、米国民の怒りの声は収まらず、米下院委員会でAIGのリディ会長が厳しい質問攻めに遭った。彼は、一部の幹部にボーナスの半額を返還するよう要請していることを述べた。

 AIGとしては、社内内規で決まっていることであり、期末にボーナスが支払われなければ優秀な人が辞めて行くと言うのが支払い理由のようである。ちなみに、リディ会長の年俸は1ドル!

 こうした高級幹部への優遇措置は、クリントン、小ブッシュ両政権時代に作られたもので、今回を契機に是正されて行くだろう。AIG本社には、非難と恐喝の電話やメールが多数届き、同社は警備会社を雇って厳戒態勢を布いた。ガイトナー財務長官も、AIGへ資金注入する際、高額ボーナス問題に認識が甘かったとして、議会筋から攻撃されている。この問題は、かなり長引きそうだ。


「半額返還を要求」 AIG高額ボーナス問題で会長が釈明
2009.3.19 09:44

 【ワシントン=渡辺浩生】巨額の公的支援を受けて経営再建中の米保険最大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の高額ボーナス支給問題で、リディ会長兼最高経営責任者(CEO)は18日、米下院金融サービス委員会の資本市場小委員会の公聴会で証言し、10万ドル(約980万円)以上の賞与を受け取った幹部らに対し、半額以上を返還するよう要請したことを明らかにした。

 リディ会長は「業務の制御不能な崩壊を食い止めるために自分は必死だった」と述べ、賞与支給は、住宅ローン担保証券に絡む複雑なデリバティブ(金融派生商品)取引に従事する幹部社員の流出を防ぎ、再建に不可欠な事業を継続するためにやむを得ない措置だったと釈明。すでに何人かは全額を返済したという。

 しかし、1700億ドルもの公的支援を受けたAIGの高額ボーナス支給に対して、議員からは「傲慢で強欲だ」(民主党のホーデス議員)という激しい批判が相次いだ。

 フランク金融サービス委員長(民主)は「賞与は全く不当だ」と述べ、ボーナスを受け取った社員の名前など情報開示を要求。リディ会長は社員の安全確保を理由に開示を拒否した。議会では特別課税し、全額を返済させる立法措置を検討している。

 AIGは今月13日、公的支援を受ける前の雇用契約に基づいて、金融商品部門の幹部社員に1億6500万ドル(約160億円)の高額ボーナスを支給した。

 オバマ大統領は18日、「人々の怒りは正しい。私も怒っている」と述べ、あらゆる法的手段を使って支給を撤回させる考えを改めて強調した。
http://sankei.jp.msn.com/world/america/090319/amr0903190945003-n1.htm


 米国民は、高額ボーナス問題で怒っているが、一方で17兆円にも及ぶ税金注入の内容について、ゴールドマンサックスや欧州の大銀行へCDS支払いのため3兆円以上が流れ出たことにも不満である。これは、ゴールドマンサックス出身のポールソン前財務長官の時期に決められたことであり、これからのAIG救済支援に物議を醸しそうだ。

(参考)

 呆れたAIG経営者の守銭奴振り
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