陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

「おでん」を楽しむ

2007-12-04 10:57:36 | 食べ物
 「おでん」の季節になった。これだけで、十分熱燗の肴になる。この食べ物の名前は、「田楽」から由来しているようだが、要は練り物、こんにゃく、ゆでたまご、ぶつ切り大根などを薄味しょうゆ仕立てで煮含めたものだ。材料を竹串に刺したまま煮て、それを提供する場合もある。その形が田んぼで高下駄を履き、一本足で踊る田楽法師に似ているから田楽と名付けられたと言う。

 関西では、「関東煮(かんとだき)」と呼ぶようだけれども、関西で食べるおでんの方が味は濃い。元来、関東の方が塩・醤油を多量に用いて濃い味付けにするのだけれども、「おでん」に関しては逆だ。理由は良く分からない。出汁は、どちらも鰹節と昆布を用いる。

 「おでん」の種は、地方によって違う。山地では、大根に加えて丸のジャガイモ(メークインを用いる)や里芋、蕨を入れたりするし、海浜では昆布巻き、冬季の白身魚などを入れる。トマトまで「おでん」に入れる場合もあるらしいが、食べたことは無い。

 こんにゃくは、薄いのを三角に切ったり、糸こんにゃくを用いたりする。丸いこんにゃく玉もある。練り物では、竹輪が多いが、さつま揚げも人気がある。愛媛の名産「じゃこ天」も「おでん」にして食べると旨い。ごぼうを竹輪で包んだものも面白い。

 焼き豆腐、それにがんもどき、関西ではこれを「飛龍頭(ひりょうず)」とよぶようだが、変化と共に趣がある。飛龍頭には、野菜などを細かく切って入れるものもある。袋物の「巾着」は、油揚げに糸こんにゃくや魚のすり身、餅や野菜などを入れて、干瓢で縛る。若い人達は、餅入り巾着が大好きである。最近は、ロールキャベツやソーセージなども用いられるようで、古典的な種物とは一味が異なるものがあるだろう。

 「おでん」は熱々のものをいただくのが常だが、出汁に種物を入れて小1時間ほど煮込んで皿に取り分ける。芥子を付けるのが普通だけれども、味噌や葱味噌で食べる場合もある。これは愛知地方に多いようだ。煮込んでから一晩置いて味が染み込んだ大根を楽しむのも中々結構だ。

 我が家では、琺瑯引きの大鍋にたっぷりと出汁を入れ、沢山のおでん種をごった煮にし、2―3日掛けて楽しむ。昔、赤提灯でコップ酒をやりながら騒いでいたのを思い出しながら。5年程前までは、仕切りのある四角いおでん鍋を用いていたが、今は面倒なのでそれはしない。種もスーパーで様々なものを売っているから、大根と卵以外はそれらを利用することが多い。

 ところで、<ローソン>のフランチャイズ店が、賞味期限の過ぎたソーセージを「おでん」に入れたとして話題になった。1日か2日賞味期限が切れていたらしいが、内部告発で暴露された。私は、少し神経質過ぎるのではないかと危惧する。「おでん」が良く売れるのは、寒い季節であり、しかも常時暖めた形で提供される。腐敗の機会は少ない。それによって、健康を害した人が出たわけでもないし、何か奇異に感じる。

 話は違うが、<崎陽軒>のシュウマイも成分表示順序が違うというだけで話題になった。その度にマスコミは騒ぎ、経営者は謝罪する。別に毒性のものを入れたのでは無いし、これも不思議に思った。

 最近の日本食品の話題は、過剰品質を求め過ぎている面から起きているように感じる。中共産の毒入り食品に対しては、敏感になるのは止むを得ないし、是非改善してもらいたいのだが、最近の表示問題やおでんの件に関しては強く疑問を持つ。
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