今年夏から急に表面化した米国のサブプライム・モーゲージ問題、8月の時点で我が国の金融業界は野村證券がかなりの痛手を受けたものの、全体的に影響は少ないと思っていた。しかし、最近の大手銀行決算は、相当な損失があったことを示している。
大手銀決算はサブプライムで明暗、みずほFGは1700億円の損失も
11月22日6時28分配信 ロイター
[東京 21日 ロイター] 大手銀行グループの決算が21日出そろったが、北米のサブプライムローン関連の損失が明暗を分ける結果となった。みずほフィナンシャルグループ<8411.T>や新生銀行<8303.T>は損失計上を一因に2008年3月期業績予想の下方修正に追い込まれた。
一方で、三井トラストホールディンス<8309.T>やりそなホールディングス<8308.T>の影響はほぼゼロとなった。欧米有力銀行が受けた打撃と比べれば、影響は大きくないものの、火の手の収まらないクレジット市場の混乱で影響がさらに拡大する可能性もある。
<みずほFGと新生銀行、下方修正に>
最大の打撃を受けそうなのはみずほFGで、損失計上見込み額は通期で1700億円に上る。決算会見で前田晃伸社長は「(不良債権問題で危機にあった)4年前だったら大変なことになっていた」とその影響の大きさを語った。下期に計上を見込む1000億円の損失は、欧州のみずほ証券が展開する証券化業務で発生。欧米でLBO(買収先企業を担保としたローン)業務を展開していたみずほCBが234億円の引当金を計上した。同グループは世界的な規模で投資銀行業務を強化する方針だったが、それが完全に裏目に出た格好だ。
前田社長は「(引き当てなどを)保守的に見ている」として、追加損失が出る可能性はないとの見通しを示したが、「保有する残高が大きいので、クレジット市場の動向次第では、さらに損失が膨らむ可能性もある」(運用会社の銀行アナリスト)との懸念もある。
新生銀行も打撃は大きい。9月中間期でサブプライム関連の引当金などで198億円の損失を計上。9月末時点で、関連投融資は435億円、証券化商品が274億円、貸出残高は133億円となっている。ティエリー・ポルテ社長は「現段階は予想する時期ではない」と述べ、下期の損失見込み額を明らかにしなかった。同行は、公的資金注入行として金融庁から収益目標を課せられており、08年3月期に大きな損失が発生し目標未達になると経営陣の退陣に発展しかねず、厳しい経営環境に直面することになった。
<三井住友は売り抜けでセーフ、三菱UFJは下期の損失はないと想定>
間一髪でサブプライムローン関連商品を売り抜け、巨額損失を免れたのが三井住友フィナンシャルグループ<8316.T>だ。CDO(債務担保証券)などの証券化商品3500億円を第1・四半期に売却。40億円の損失が出たものの、北山禎介社長は「反省点もあるが、適切なオペレーションにより大きな損失を回避できた」と説明した。それでも通期では870億円程度の損失を見込む。
三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>の関連証券商品へのエクスポージャーは2400億円で、中間期に計上した損失は40億円にとどまった。関連する証券化商品は、サブプライムローンそのものを原資産とする1次証券化商品で、格付けも高いと説明。畔柳信雄社長は「下期の損失を想定していない」と述べるとともに「リスク管理をしっかりやっていた」と語った。一方で「証券化業務でリスクを取るという考えがそもそもないのだろう。投資銀行業務が弱いことの裏返しだ」(外資系証券アナリスト)とする覚めた見方もある。
(ロイター日本語ニュース 布施 太郎記者;編集 田巻 一彦)
最終更新:11月22日6時28分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071122-00000008-reu-bus_all
大手以外の金融機関が保有するサブプライム・モーゲージ関連商品は、1兆3000億円になるようで、我が国の金融機関の受けた合計損失は、5000億円以上に発展するのではないか。このサブプライム問題は、様々な債券が混合する形でCDOが組まれているため、損失算定が簡単に出来ないこと、健全な債券もその影響を受けて価値が減少する性質の悪さがある。結局は来年3月期まで、もやもやとした混乱状態が続くのであろう。
米国の住宅ローン総額は1500兆円程度と言われ、サブプライム・ローンに関係する内容は150兆円程度。その内の一部が返済不可能となってこの問題を生み出している。OECDがその損失を推定した内容をロイター通信が伝えている。
再送:米国のモーゲージ関連損失額、3000億ドルに達する可能性=OECD
11月21日19時42分配信 ロイター
[ロンドン 21日 ロイター] 経済協力開発機構(OECD)は21日、米国のモーゲージ市場危機による損失は総額で最大3000億ドルに達する可能性がある、との見方を明らかにした。
そのうえで、金融機関や政策当局者は秩序ある回復のため「時間を買う」必要がある、と指摘した。
シティグループ<C>、バンク・オブ・アメリカ<BAC>、JPモルガン・チェース<JPM>の米大手銀行3行が設立を表明しているサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)対策基金について、その時間を買うための1つのメカニズム、との認識を示した。
OECDは、金融市場のトレンドに関する最新の報告書のなかで「サブプライム対策基金は調整のための時間を与えるものだ」としたうえで「市場の混乱解消のためのカギは時間」との見方を示した。
一方、OECDは、米住宅不況はまだ最悪期に入っていない、と指摘。銀行やヘッジファンド、保険会社が保有しているモーゲージ関連の商品やデリバティブは、引き続き圧迫される、との認識を示した。
OECDは「モーゲージの金利改定、返済遅延、最終的な損失において、まだ最悪期は迎えていない」としている。また、2008年にはおよそ8900億ドルのサブプライムモーゲージの金利が改定されるとし、金利改定のピークは来年3月ごろ、との見方を示している。
OECDによると、2008年に金利が改定されるサブプライムモーゲージの14%が損失になると仮定した場合、損失は金額にして1250億ドルとなる。(プライムとサブプライムの中間に位置づけられる)オルトAモーゲージも含めると、損失額は2000億─3000億ドルの範囲になることも「ありうるようだ」としている。
*情報を追加して再送します。
最終更新:11月22日6時27分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071121-00000004-reu-bus_all
現段階の世界経済を見て、OECDは3000億ドル=33兆円の損失を見積っているわけだが、不良CDOの算定が不可能であれば、これからもっと大きな損失が生まれると考えて当然だ。UBS(スイスの金融グループ)は、数年以内に4800億ドル=50兆円の損失が起きる可能性に触れている。英国でも、住宅バブルが崩壊すると伝えられた。米国で発生したサブプライム・モーゲージ破綻は、循環的に世界の金融市場を圧迫する。勿論、アジア市場も例外ではない。
8月下旬には、小ブッシュ大統領が自らこの問題に関与し、サブプライム・ローンの利用者がこれ以上破綻しないように特別措置を財務省へ命じた。それとは別に、連邦準備委員会は債券市場の収縮防止を狙って公定歩合を下げ、ドルを大量に印刷して市場へ提供している。本来は、不良債権を抱え過ぎた金融機関を潰して、金利を上げながら外貨を市場へ呼び込む方がこの問題の解決は早いと思うが、バーナンキFRB議長は逆に動いている。こうした結果、ドルと米国債の価格は下落し、資金提供の担い手である産油国はドル離れを起こしている。
米国は、クリントン時代に金融と為替政策を巧みに使い、世界中からカネを集めた。日本も1ドル=80円の為替攻略を受けて大損をしたが、為す術(すべ)が無かった。それに、仕組まれたアジア通貨危機で多くの国が悲惨な目にあっている。小ブッシュ政権になってから、米国はイラク戦争で巨大な消費をした上、住宅ローン問題発生で今迄のツケを払う事態を招いた。因果応報だ。既に米国の経済的、そして軍事的衰退は始まったと見る人達が増えている。
我が国の経済界は、こうした事態にどう対処したら良いか、迷っている。原油価格は1バーレル当り100ドルに近づいているし、1ドル=108円と円価格が上昇している。最近の東京株式市場では、こうした経済界の悩みを反映して乱高下が続く。年内に1ドル=105円、そして更には100円となる可能性が濃厚だ。
一国の貨幣価値が上がることは、国民にとって決して悪いことではない。今までは円が安過ぎたから円キャリーなど不明朗なことが起きて国富を擦り減らした。それらも加わり、我が国はカネ塗(まみ)れになって、価値観がおかしくなっている。円高は不況を招くと言うが、食べ物も贅沢になり過ぎている側面もあるので、贅肉を落とすために再思考をする刺激になるだろう。
私は、以前にも述べたが、1ドル=約100円、公定歩合2-3%の条件が持続する健全な我が国財政に必要ではないかと考える。
(参考)
米国で始まった信用収縮は対米関係を考え直す良い機会
サブプライム・モーゲージ問題に対する資金注入と公定歩合設定
大手銀決算はサブプライムで明暗、みずほFGは1700億円の損失も
11月22日6時28分配信 ロイター
[東京 21日 ロイター] 大手銀行グループの決算が21日出そろったが、北米のサブプライムローン関連の損失が明暗を分ける結果となった。みずほフィナンシャルグループ<8411.T>や新生銀行<8303.T>は損失計上を一因に2008年3月期業績予想の下方修正に追い込まれた。
一方で、三井トラストホールディンス<8309.T>やりそなホールディングス<8308.T>の影響はほぼゼロとなった。欧米有力銀行が受けた打撃と比べれば、影響は大きくないものの、火の手の収まらないクレジット市場の混乱で影響がさらに拡大する可能性もある。
<みずほFGと新生銀行、下方修正に>
最大の打撃を受けそうなのはみずほFGで、損失計上見込み額は通期で1700億円に上る。決算会見で前田晃伸社長は「(不良債権問題で危機にあった)4年前だったら大変なことになっていた」とその影響の大きさを語った。下期に計上を見込む1000億円の損失は、欧州のみずほ証券が展開する証券化業務で発生。欧米でLBO(買収先企業を担保としたローン)業務を展開していたみずほCBが234億円の引当金を計上した。同グループは世界的な規模で投資銀行業務を強化する方針だったが、それが完全に裏目に出た格好だ。
前田社長は「(引き当てなどを)保守的に見ている」として、追加損失が出る可能性はないとの見通しを示したが、「保有する残高が大きいので、クレジット市場の動向次第では、さらに損失が膨らむ可能性もある」(運用会社の銀行アナリスト)との懸念もある。
新生銀行も打撃は大きい。9月中間期でサブプライム関連の引当金などで198億円の損失を計上。9月末時点で、関連投融資は435億円、証券化商品が274億円、貸出残高は133億円となっている。ティエリー・ポルテ社長は「現段階は予想する時期ではない」と述べ、下期の損失見込み額を明らかにしなかった。同行は、公的資金注入行として金融庁から収益目標を課せられており、08年3月期に大きな損失が発生し目標未達になると経営陣の退陣に発展しかねず、厳しい経営環境に直面することになった。
<三井住友は売り抜けでセーフ、三菱UFJは下期の損失はないと想定>
間一髪でサブプライムローン関連商品を売り抜け、巨額損失を免れたのが三井住友フィナンシャルグループ<8316.T>だ。CDO(債務担保証券)などの証券化商品3500億円を第1・四半期に売却。40億円の損失が出たものの、北山禎介社長は「反省点もあるが、適切なオペレーションにより大きな損失を回避できた」と説明した。それでも通期では870億円程度の損失を見込む。
三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>の関連証券商品へのエクスポージャーは2400億円で、中間期に計上した損失は40億円にとどまった。関連する証券化商品は、サブプライムローンそのものを原資産とする1次証券化商品で、格付けも高いと説明。畔柳信雄社長は「下期の損失を想定していない」と述べるとともに「リスク管理をしっかりやっていた」と語った。一方で「証券化業務でリスクを取るという考えがそもそもないのだろう。投資銀行業務が弱いことの裏返しだ」(外資系証券アナリスト)とする覚めた見方もある。
(ロイター日本語ニュース 布施 太郎記者;編集 田巻 一彦)
最終更新:11月22日6時28分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071122-00000008-reu-bus_all
大手以外の金融機関が保有するサブプライム・モーゲージ関連商品は、1兆3000億円になるようで、我が国の金融機関の受けた合計損失は、5000億円以上に発展するのではないか。このサブプライム問題は、様々な債券が混合する形でCDOが組まれているため、損失算定が簡単に出来ないこと、健全な債券もその影響を受けて価値が減少する性質の悪さがある。結局は来年3月期まで、もやもやとした混乱状態が続くのであろう。
米国の住宅ローン総額は1500兆円程度と言われ、サブプライム・ローンに関係する内容は150兆円程度。その内の一部が返済不可能となってこの問題を生み出している。OECDがその損失を推定した内容をロイター通信が伝えている。
再送:米国のモーゲージ関連損失額、3000億ドルに達する可能性=OECD
11月21日19時42分配信 ロイター
[ロンドン 21日 ロイター] 経済協力開発機構(OECD)は21日、米国のモーゲージ市場危機による損失は総額で最大3000億ドルに達する可能性がある、との見方を明らかにした。
そのうえで、金融機関や政策当局者は秩序ある回復のため「時間を買う」必要がある、と指摘した。
シティグループ<C>、バンク・オブ・アメリカ<BAC>、JPモルガン・チェース<JPM>の米大手銀行3行が設立を表明しているサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)対策基金について、その時間を買うための1つのメカニズム、との認識を示した。
OECDは、金融市場のトレンドに関する最新の報告書のなかで「サブプライム対策基金は調整のための時間を与えるものだ」としたうえで「市場の混乱解消のためのカギは時間」との見方を示した。
一方、OECDは、米住宅不況はまだ最悪期に入っていない、と指摘。銀行やヘッジファンド、保険会社が保有しているモーゲージ関連の商品やデリバティブは、引き続き圧迫される、との認識を示した。
OECDは「モーゲージの金利改定、返済遅延、最終的な損失において、まだ最悪期は迎えていない」としている。また、2008年にはおよそ8900億ドルのサブプライムモーゲージの金利が改定されるとし、金利改定のピークは来年3月ごろ、との見方を示している。
OECDによると、2008年に金利が改定されるサブプライムモーゲージの14%が損失になると仮定した場合、損失は金額にして1250億ドルとなる。(プライムとサブプライムの中間に位置づけられる)オルトAモーゲージも含めると、損失額は2000億─3000億ドルの範囲になることも「ありうるようだ」としている。
*情報を追加して再送します。
最終更新:11月22日6時27分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071121-00000004-reu-bus_all
現段階の世界経済を見て、OECDは3000億ドル=33兆円の損失を見積っているわけだが、不良CDOの算定が不可能であれば、これからもっと大きな損失が生まれると考えて当然だ。UBS(スイスの金融グループ)は、数年以内に4800億ドル=50兆円の損失が起きる可能性に触れている。英国でも、住宅バブルが崩壊すると伝えられた。米国で発生したサブプライム・モーゲージ破綻は、循環的に世界の金融市場を圧迫する。勿論、アジア市場も例外ではない。
8月下旬には、小ブッシュ大統領が自らこの問題に関与し、サブプライム・ローンの利用者がこれ以上破綻しないように特別措置を財務省へ命じた。それとは別に、連邦準備委員会は債券市場の収縮防止を狙って公定歩合を下げ、ドルを大量に印刷して市場へ提供している。本来は、不良債権を抱え過ぎた金融機関を潰して、金利を上げながら外貨を市場へ呼び込む方がこの問題の解決は早いと思うが、バーナンキFRB議長は逆に動いている。こうした結果、ドルと米国債の価格は下落し、資金提供の担い手である産油国はドル離れを起こしている。
米国は、クリントン時代に金融と為替政策を巧みに使い、世界中からカネを集めた。日本も1ドル=80円の為替攻略を受けて大損をしたが、為す術(すべ)が無かった。それに、仕組まれたアジア通貨危機で多くの国が悲惨な目にあっている。小ブッシュ政権になってから、米国はイラク戦争で巨大な消費をした上、住宅ローン問題発生で今迄のツケを払う事態を招いた。因果応報だ。既に米国の経済的、そして軍事的衰退は始まったと見る人達が増えている。
我が国の経済界は、こうした事態にどう対処したら良いか、迷っている。原油価格は1バーレル当り100ドルに近づいているし、1ドル=108円と円価格が上昇している。最近の東京株式市場では、こうした経済界の悩みを反映して乱高下が続く。年内に1ドル=105円、そして更には100円となる可能性が濃厚だ。
一国の貨幣価値が上がることは、国民にとって決して悪いことではない。今までは円が安過ぎたから円キャリーなど不明朗なことが起きて国富を擦り減らした。それらも加わり、我が国はカネ塗(まみ)れになって、価値観がおかしくなっている。円高は不況を招くと言うが、食べ物も贅沢になり過ぎている側面もあるので、贅肉を落とすために再思考をする刺激になるだろう。
私は、以前にも述べたが、1ドル=約100円、公定歩合2-3%の条件が持続する健全な我が国財政に必要ではないかと考える。
(参考)
米国で始まった信用収縮は対米関係を考え直す良い機会
サブプライム・モーゲージ問題に対する資金注入と公定歩合設定
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