陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

我が国の建設関連業界は技術的に腐りつつあるのか

2007-11-22 08:24:56 | 財政・経済問題
 少し古いが、今年9月26日の日経新聞に次のような記事が掲載された。

日本のODAで建設中の橋が崩落・ベトナム南部

 【ハノイ=長谷川岳志】日本の政府開発援助(ODA)で建設が進んでいたベトナム南部のカントー(クーロン)橋の橋げたが26日午前、突然崩落し、現場で作業をしていたベトナム人建設労働者など少なくとも20人の死者を含む100人前後の死傷者が出たもようだ。在ハノイの日本大使館などが情報収集をしているが、現時点で日本人の被害情報は無いとしている。

 事業主体は大成建設、鹿島建設、新日本製鉄の日本企業3社。ホーチミン市の南西約170キロメートルに位置するカントー市とビンロン省を隔てていたメコン川支流(ハウ川)に約2700メートルの橋を新設するプロジェクトで、2008年12月の完成を目指していた。

 政府関係者によると、建設中の橋げたが支柱から外れて川に落下。事故当時、橋の上下に200人を超えるベトナム人の建設作業員がいたといい、今も現地の救急隊が生存者の救出を続けている。(18:43)
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20070926AT2M2601F26092007.html


 某国の建設会社ではあるまいし、海外でこんな手抜きやミスをやったら国際的信用を落とすよと強く言いたい気持ちであった。これを反省して、両ゼネコンは役員報酬をカットすることになった。


大成建設と鹿島、役員報酬をカット・ベトナムの橋崩落事故で

 大成建設の葉山莞児会長は3日開いた業界団体の定例会見で、大成建設と鹿島などのJV(共同企業体)がベトナムで建設していた橋が崩落し、ベトナム人などの作業員が多数死傷した事故について「大変申し訳ない」と陳謝した。責任を取り、大成建設は役員報酬をカットする方針で、鹿島も検討に入った。4日に外部の有識者も入れた調査団を現地に派遣する方針も明らかにした。

 橋はホーチミン市の南西約170キロに位置するカントー市とビンロン省を隔てていたメコン川支流(ハウ川)に建設していたもので、先月26日に崩落した。大成建設によると3日時点で死者・行方不明者53人、負傷者81人の計134人に上る。

 調査結果についてはベトナム政府などが設ける調査チームに報告し、同チームがまとめて発表する見込みだが、発表時期は未定という。大成建設は報酬カットの対象者や額を今後詰める。(20:00)
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20071003AT1D0308403102007.html

 さて、今月に入って、今度は清水建設が超高層マンション建設でとんでもないミスをした。

清水建設の超高層マンション、鉄筋不足…30階で工事停止

 千葉県市川市のJR市川駅前に建設中の45階建ての超高層マンションで、計128本の鉄筋が不足していることが6日、明らかになった。

 工事は現在、30階で止まっている。超高層マンション建設に絡み、一度にこれだけ多くの鉄筋不足が発覚するのは異例。大手ゼネコンの清水建設(東京)は、全面的に施工ミスを認め、補修工事により強度不足を解消したいとしている。国土交通省も事態を重視し、事業を行う市川市を通じて報告を求める方針だ。

 問題のマンションは、市川駅南口駅前の再開発地域に建てられている2棟のうち、西側の「ザ・タワーズ・ウエスト プレミアレジデンス」(高さ約160メートル)。1~3階は図書館や託児所、商業施設など、最上階の45階は展望ラウンジで、4~44階が計573戸の分譲マンションと地権者住宅になる。着工は2005年8月。09年1月に完成し、同3月に入居開始する予定で、事前予約では既に全戸に申し込みがあるという。

 このマンションは、住宅の品質確保を目指す住宅性能表示制度による任意の中間検査の対象になっており、先月11日、評価機関の財団法人「日本建築センター」の職員が、工事中の30階部分を検査した際、鉄筋の本数不足を見つけた。詳しく調べたところ、25~29階にある計310本の柱のうち、各階外周部の柱計60本と、30階の柱4本の計64本の柱で主要な鉄筋(直径約5センチ、長さ約4メートル)が不足していた。問題の柱には、本来、鉄筋22本が必要だが、それぞれ20本しかなかった。

 清水建設によると、〈1〉鉄筋業者が柱の骨組みを作る際、鉄筋の数を間違えた〈2〉施工担当者が設計図面との十分なチェックを怠った――と説明、「ミスが重なり、起こりえないことが起きた。大変申し訳ない」としている。

 建物の強度について、和田章・東京工業大教授(建築構造学)は「一般論として設計通りに建てなければ安全とは言えない。ただ、詳細は建物ごとに調べないと詳しく分からない」としている。

 清水建設では今後、日本建築センターの確認を受けてから、柱を削って不足する鉄筋を埋め込むなどして補修工事を行う予定だ。

 国交省住宅局では、「事実とすれば、そんなずさんな工事は聞いたことがない。監理体制などの見直しが不可欠」とし、市川市に対し、施工ミスが起きた経緯などについて報告を求めることにしている。
(2007年11月7日3時0分 読売新聞)
http://72.14.235.104/search?q=cache:L8qP-rvZb_UJ:www.yomiuri.co.jp/national/news/20071107it01.htm+%E6%B8%85%E6%B0%B4%E5%BB%BA%E8%A8%AD&hl=ja&ct=clnk&cd=6&gl=jp


 清水建設よ、貴社も良くやるねと思っていたら、更に竹中工務店までがミスにお付き合いである。

超高層マンション、鉄筋強度不足で部分解体 竹中工務店
2007.11.20 18:10

 竹中工務店(大阪市)が東京都港区に建築中の超高層マンション(地下1階、地上27階建て)で8階と9階のはりに、設計とは違う強度不足の鉄筋を使っていたことが20日、分かった。東京都や国土交通省によると同社は8、9階部分を解体、工事をやり直す。都は「本来あってはならないこと」とし、同社から説明を求める方針。

 マンションは港区東麻布1の敷地約1340平方メートルに建設中。はり部分の鉄筋の太さは図面と同じだったが、強度の低いものを使っていた。10月25日に社内検査で分かり、今月16日、都に報告した。工事は8階の床をつくり9階の鉄筋を組んだ段階。国交省によると、鉄筋自体の強度は、設計より約2割減のものだったという。

 冬柴鉄三国交相は20日の閣議後の記者会見で「注意深くやっていただきたい。今回は、工事監理で施工の間違いに気付いたことは救いだった」と話した。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/071120/crm0711201810017-n1.htm


 日本の代表的なゼネコンが短期間にこれほど失策を重ねるようでは、高層ビル建設に赤信号が灯ったも同然だ。大ゼネコンは、政治資金提供などきっぱり止めて、その資金で技術者の再教育を抜本的にやりなおす必要がある。

 高層建築や高速道路は、上記ゼネコンの活躍の場だが、それを支える資材メーカーはこんな事をやっていた。

2007/11/21-22:00
高速道工事資材、強度を改ざん=旧道路公団向け、40年以上も不正-栗本鉄工所

 東証一部上場の栗本鉄工所は21日、旧日本道路公団(現東日本、中日本、西日本高速道路会社)向けに納入していた、高速道路の橋工事などで使用される「円筒型枠」と呼ばれる資材の強度試験で、実験数値を改ざんしていたと発表した。退職者の証言から、40年以上にわたって不正が行われてきた可能性もあるとみている。さらに同社は、1996年以降、カタログに記載した数値より0.1~0.4ミリ薄い鉄板を使った型枠を納入していた。

 横内誠三社長は記者会見で「この会社の常識は世間の非常識と感じている。おわび申し上げたい」と謝罪した。同社では、型枠は構造部材ではないため使用した橋の安全性に問題はないとしているが、第三者機関が安全性を確認するまでは同製品の出荷を自粛する。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc&k=2007112100938


 ニチアス㈱や東洋ゴム工業㈱が、建材不燃試験結果を捏造するなど、無責任の象徴<姉歯問題>は形を変えて我が国の建設業界を隈(くま)なく覆っているように感じる。これも、団塊世代の経営者が多くなったためなのだろうか。

 冬柴国交相は、外国人参政権に興味を示す前に、建設業界の監視と指導をしっかりやって欲しい。

(追記:12月7日)

 続いて三軒茶屋の高級マンションにも問題があったことが分かった。竹中工務店は、組織体制的にどうかしてしまったのだろうか。


竹中工務店また強度不足 東京、建築中のマンション
2007年12月7日 10時31分

 竹中工務店(大阪市)が東京都世田谷区に建築中の高級マンションの一部で、設計とは異なる強度不足のコンクリートが使われていたことが7日、分かった。

 同社は強度不足が判明した棟の構造計算をやり直し、東京都に報告。10月、はりの高さや幅を大きくする補強工事をした。入居予定者には事業主の不動産会社が文書で説明したという。

 竹中工務店のマンションをめぐっては、11月に東京都港区で建築中の超高層マンションで鉄筋の強度不足が発覚、一部の階を解体することが決まったばかり。

 竹中工務店によると、問題のマンションは世田谷区太子堂の「グランドヒルズ三軒茶屋」(来年3月完成予定)。今年5月にコンクリートの強度確認をした際、A-D棟の4棟(9-13階建て)のうち、B棟1階の床とはりのコンクリート強度が86%しかないことが判明した。
(共同)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007120701000159.html
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