陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

G20の共同声明

2009-04-03 11:34:51 | 財政・経済問題
 4月2日の第2回G20金融サミットは、G20協調精神の確認、IMFの基金強化、各国は財政出動で2010年末までに総額500兆円相当の財政出動を行って、経済成長率を4%以上向上させるなどを盛り込んだ共同声明を発表。

 初めて国際会議に臨んだオバマ大統領は、無難にその役割を果たしたようである。ドル基軸体制に関するあからさまな批判を封じた替わりに、IMFに対する2500億ドルのSDR引き出し枠を発展途上国へ認めることで、シナやロシアの思惑を当面中和した感じだ。

 第1回G20に比べると、経済危機脱出のための具体的目標が共同声明に明示されたことは大きい。これを受けて、デフォルト寸前の東欧諸国や、南米、そしてアフリカ諸国からIMFへの融資申請が続出すると想像される。

 金融規制では、巨大金融機関の年俸問題を抱える米国に配慮して、ぼかした表現になったが、ケイマン島などのタックス・ヘイブン地域への監視を強める方針は確認された。既に、スイス銀行の情報全面開示によって、国際的マネーロンダリングはやりにくくなっているが、タックス・ヘイブン地域の名称をあからさまにする事までには至らなかった。この実態把握に強く反対したのはシナであり、それは共産党幹部の巨額な不正蓄財がタックス・ヘイブン地域に流れているからだ。

 首相就任6ヶ月の麻生首相は、会議ルールによって席順などの処遇が良くなかったらしいが、日本としての主張はそれなりに行った努力を評価したい。

WRAPUP1: G20が危機脱却に向けた協調を確認、財政総額5兆ドルで世界成長4%押し上げ
2009年 04月 3日 06:03 JST

 [ロンドン 2日 ロイター] ロンドンで開催されていた20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)は2日、世界的な危機からの脱却に向けた協調行動を確認するとともに、2010年末までの総額5兆ドルに達する各国の財政出動が世界経済を4%押し上げ、大規模な雇用を創出するとの見解を示した共同声明を採択した。各国の中央銀行に対しても、あらゆる政策手段を動員するよう要請。国際通貨基金(IMF)資金の大幅増や特別引き出し権(SDR)の新規配分、保有金の売却、貿易金融の拡充など流動性強化策でも合意した。

 会合後に会見した議長国イギリスのブラウン首相は「われわれはきょう、新しいコンセンサスに到達した」と成果を強調。初参加となった米オバマ大統領も「世界経済の回復に向けた転換点になると確信している」とし、G20首脳が前例のない措置をとることで合意した点を強調した。

 声明では、「世界的な危機には世界的な解決策が必要」とG20協調の必要性を訴え、世界経済回復に向けて各国が「必要なあらゆる行動」をとることを確認。

 具体的には、各国が連携した前例のない財政出動を実施していることを評価し、2010年末までに総額5兆ドルに達する各国の財政出動は「世界の成長率を4%押し上げる」との見解を示すとともに、大規模な雇用を創出すると指摘。引き続き、成長回復に向けて「必要な規模の財政努力を行うことにコミット」した。

 一方、金融政策についても「多くの国で金利は大胆に引き下げられている」と評価しながら、各国の中央銀行に対して「非伝統的な手法を含むあらゆる金融政策の手法を活用しながら、必要な期間、緩和政策を維持する」ことを要請した。
 
 今回、最も具体的な合意に達したのは、IMFなどの資金基盤拡大を通じた新興国や途上国支援の枠組みだ。

 具体的にはIMFの貸付可能資金をこれまでの3倍に相当する7500億ドルに拡大するほか、国際開発金融機関による融資を最低で1000億ドル増加させる。さらに、2500億ドルのSDRを新規配分するほか、信用収縮を背景に途上国などの貿易金融がひっ迫するなか、今後2年間で2500億ドルの貿易金融支援も打ち出した。最貧国支援にはIMFが保有する金の売却益を活用する。

 IMFの資金基盤強化は麻生太郎首相が前回会合で1000億ドルの融資を表明、日本が主導的な役割を果たしてきた。麻生首相は会合後、記者団に対して「G20の合意形成に十分貢献できた」と胸を張った。

 欧州サイドが強く主張していた金融監督・規制の強化では、「金融規制・監督における大きな失敗が危機の根本原因」と位置づけ、強力な監督・規制の枠組みを構築することで一致。

 主要国の金融当局などで構成する金融安定化フォーラム(FSF)を新たに設立する「金融安定化理事会」が引き継ぎ、IMFと協調して早期警戒を実施。ヘッジファンドを含め、システム上重要なすべての金融機関・商品・市場に規制・監督を拡大する。

 声明にはタックス・ヘイブンを含む「非協力的な国・地域」に対する対抗措置の実施や、信用格付け会社に対する規制・監督や登録も盛り込んだ。

 景気悪化を背景にいくつかの国では関税の引き上げなど保護主義台頭の動きが見られているが、声明では「貿易・投資の促進と円滑化のためのあらゆる手段をとる」ことを確認。保護主義に対抗する姿勢を鮮明にした。オバマ大統領は「(G20は)危機を深刻化させかねない保護主義を否定した」と語った。

 G20首脳は年内に再び会合を開き、今回のコミットメントの進ちょく状況を点検することでも合意。開催地についてフランスのサルコジ大統領は、9月にニューヨークで行うと語った。
© Thomson Reuters 2009 All rights reserved.
http://jp.reuters.com/article/wtInvesting/idJPnTK025406720090402
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