陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

シウマイ(焼売)の美味さ

2007-05-17 11:09:32 | 食べ物
 日本に普及している支那料理の一つがシウマイ(焼売)で、家庭でもこれを作る場合が多い。今は、パック入りのシウマイや冷凍食品もあるから、主婦は電子レンジで温めるだけの作業で済む。横浜の中華街には幾つもシウマイの名店があるし、駅や羽田空港などでも買うことが出来る。横浜地域特有の土産にもなるのだ。

 シウマイは、点心飲茶の一品として出されることも多いが、十分に蒸されたシウマイに芥子を付けて「茅台(まおたい)酒」を飲みながら食べるのも良し、あるいは熱燗の肴にするのも酒が進む。シウマイの中には、豚のひき肉、刻み海老、葱、玉葱、にんにくなどが入っていて、栄養豊富、完全食に近い。日本ではグリーンピースを飾りに載せる。

 <崎陽軒>で売られているシウマイは、15個詰めで550円。日本人の舌に合うように味付けされているから、10個位は軽く食べられる。

 普通なら1個40円見当で買えるシューマイだが、何とも豪華なシューマイがこの店で売られているそうだ。毎日新聞が伝えるところでは、


4個で5000円! シウマイの驚きの中身

 横浜土産として有名な崎陽軒の「シウマイ」。崎陽軒は19日、4個で5000円のシューマイの販売を始める。その名も「ゴージャスシウマイ」だ。

 この「シウマイ」は、古代中国の宮廷を舞台にしたチャン・ツィイーさん主演の映画「女帝 エンペラー」(6月2日公開)とのタイアップ企画。映画にちなんで、中国の宮廷で食べられていた食材をふんだんに使っている。横浜市西区の崎陽軒本店内のショップで1日5セット限定で予約販売するほか、同店内のレストラン「嘉宮」で食べられる。

 ゴージャスなシューマイは、不老長寿の妙薬『くろあわび』のシウマイ(くろあわび、和牛タン、山百合ポーク、バナナエビなど入り)▽幻のきのこ『キヌガサダケ』のシウマイ(キヌガサダケ、北海道猿払産ホタテ貝柱など入り)▽中国宮廷への献上品『ツバメの巣』のシウマイ(ツバメの巣、伊勢エビ、タラバガニなど入り)▽天日干しヨシキリザメの『フカヒレ』シウマイ(フカヒレ、ウバザメのコラーゲン、イベリコブタのペジョータなど入り)--の4種類。

 シューマイの値段としては1908年創業の同社の歴史で最高価格というが「材料費はかなり高額で、価格に十分見合っています」と同社。「シューマイは、一つ一つ点心職人が手作りしています。プロの蒸し加減で食べていただきたいので、是非レストランにお越し下さい」と話している。【乗峯滋人】
崎陽軒
http://www.kiyoken.com/
映画「女帝 エンペラー」公式サイト
http://jotei.gyao.jp/
 2007年5月16日
http://www.mainichi-msn.co.jp/tokusyu/everyone/news/20070516mog00m040008000c.html


 何とも贅沢な話で、シウマイ1個1250円! 多分話題つくりなのだろうが、1日5セットも売れるのだろうか。

 <崎陽軒>の「崎陽」は、長崎の支那風別称である。「瓊浦(けいほ)」と言う難しい別称もあるが、創業者久保久行氏はより分かりやすい「崎陽」を用いたのであろう。長崎は、鎖国時代を通じて支那人定住者が多く、明治になってからも支那料理と言えば長崎を思い浮かべるのが通例であった。<崎陽軒>HPにもあるように、創業は明治41年(1908)で、本格的にシウマイ製造と販売に取り組むのは、関東大震災を5年過ぎた昭和3年(1928)からと説明にある。

 横浜出身の作家獅子文六氏による随筆集「私の食べ歩き」(中公文庫)を読むと、日露戦争前後の横浜での食べ物風景を垣間見ることが出来る。当時、支那街(その頃は「南京街」と呼ばれていた)には沢山の支那料理屋があったらしいが、その臭気に辟易して日本人は殆ど近づかず、文六氏の父上は士族出身で支那料理を不潔といって嫌っていたようだ。

 だが、物好きが<永楽楼>や<聘珍楼>で芙蓉蟹(ふようはい)、紅露羹(こうろかん)、炒飯を食べるようになった。それは、カニタマ、スブタ、チャーハンになって現在も多くの日本人に親しまれている。同じ頃からシウマイや餃子も次第に広まって行ったらしい。それらは、南京そばなどと共に屋台で売られていたとの事。

 昭和3年(1928)に、<崎陽軒>の経営者野並茂吉氏が支那人呉遇孫氏の協力を得て、日本風のシウマイを開発、人気を呼んで大成功を収めた。また、シウマイ弁当は、戦後売り出されたものである。

 現在の横浜・中華街は大変立派になって、豪華な支那料理レストランが立ち並ぶ。<聘珍楼>も大きくなり、ここで飲茶料理を頼むと必ずシウマイが入っている。小さなシウマイ専門店もある。私が横浜に住んでいた頃は、時折お粥やラーメン、そしてシウマイ、餃子を食べに中華街へ行った。現在、「みなとみらい線」が開通、中華街駅も出来て、アクセスは格段に良くなった。

 <崎陽軒>は横浜駅東口傍にある。日本人経営者が始めたので、南京街には入らなかったのだ。それにしても、庶民の食べ物、シウマイが1個1250円とは、開発した野並茂吉氏も驚いているに違いない。
コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« サルコジ仏政権の発足 | トップ | BDA問題とブッシュ政権内... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2007-05-26 22:20:09
戦争を考えるために、小林よしのり著『戦争論』を読んでみてほしい。

ここが考えるスタートだと思う。
返信する

コメントを投稿

食べ物」カテゴリの最新記事