「こんにちわッ、テディちゃでス!
うむッ! おいついてェ~きましたでス!」
「がるる!ぐるがるるぐる!」(←訳:虎です!いや油断は禁物!)
こんにちは、ネーさです。
今年はもうダメかも……完全に脱落……する寸前で、どうにかこうにか
大河ドラマ『光る君へ』の波に乗ることが出来ました(ホッ)。
来週も視聴をガンバろう!と肝に銘じつつ、
さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― 間の悪いスフレ ――
著者は近藤史恵(こんどう・ふみえ)さん、
2023年9月に発行されました。
『Le soufflé malvenu』と仏語題名が付されています。
『タルト・タタンの夢』『ヴァン・ショーをあなたに』
『マカロンはマカロン』に続く
《ビストロ・パ・マル》シリーズの第4作ですよ。
「しぇふゥ~!」
「ぐるるるるがる!」(←訳:お久しぶりです!)
《パ・マル(pas mal)》とはフランス語で、
『悪くない』『まあまあだね』というような意味合いの、
日常的によく使われる言葉です。
この店名の通り、いえ、
店名とはまったく反対に、
下町の小さなフレンチ・レストラン《ビストロ・パ・マル》は
何度もリピしたくなる
すばらしく美味しいフランス料理をいただけるお店として、
繁盛して、い、た、んです、けど……
小さなレストランにも、
コロナ禍の波が押し寄せてきました。
「あうううゥ~…!」
「がるるぐる……」(←訳:つらいよね……)
規制の殆どが無くなった2024年現在から振り返れば、
”あの頃”の出来事は悪夢のようで、
もはや記憶も薄れかかっていますが、
飲食業界の方々の苦しみは
どれほど深かったことでしょうか。
《ビストロ・パ・マル》で
サービス係として働く語り手の”ぼく“――
高築智行(たかつき・ともゆき)さんも、
大変なことになってしまった、と青ざめました。
メディアでしきりに報道され、
感染者が増え始めるのと同時に、
お店に入る予約が減って、
結婚式の二次会や送別会などもキャンセル、
売り上げはこれまで見たことがないほど低くなり、
緊急事態宣言……
《ビストロ・パ・マル》も、
大打撃を受け、大赤字となってしまったんです。
「ふゥ~…」
「ぐる~…」
この危機に、オーナーさんは、
テイクアウトを!と企画します。
たとえテイクアウトをしても赤字になることは避けられない、
それでも、少しでも赤字を減らせるならば。
そこで、シェフの三船(みふね)さん、
スーシェフ(=2番手のシェフ)の志村さんは、
《パ・マル》の人気のメニューを盛り合わせた
テイクアウト料理を作ってゆきます。
『ミロントン』という、
牛肉のトマト風味煮込みがおすすめで、
『ポトフ』もいい出来で、
ただ、テイクアウトとはいっても、
フランス料理は原価がかかるので、
お値段は、あまり安くできなくて。
「あァ~なるほどォ~」
「がるるぐるがるるる~」(←訳:輸入品とか使うとね~)
その、一人分でもあまりお安くはないテイクアウト品を、
或る日、ひとりの少年が買いに来たので、
《パ・マル》スタッフ一同は驚きます。
どう見ても、中学生?
自分の夕食?
誰かへのプレゼント?
やや緊張した様子で、
若鶏の赤ワイン煮込みとパテ・ド・カンパーニュを
一人分ずつ買っていったのは……
何か、ワケあり?
「だめでスだめでスゥ!」
「ぐるがる~!」(←訳:詮索禁止~!)
料理を職業とするすべてのひとに、
敬意をこめて。
少年が抱くワケを想う
『未来のプラトー・ド・フロマージュ』、
ソムリエールの金子さんの観察眼が光る
表題作品『魔の悪いスフレ』他、
短編7作品から成る
《パ・マル》の滋味あふれる物語を、
ミステリ&美食好きな活字マニアの皆さま、
ぜひ、一読してみてくださいね~♪