goo blog サービス終了のお知らせ 

テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

お江戸の長屋は、裏も表も…?

2010-09-24 23:29:11 | ブックス
「さむさむッ! まふらァー!」
「ぐるがるっぐる!」(←訳:寒さむっ手袋!)

 今日は、初秋を越えていきなり晩秋??な気温の東京・多摩地方でした。
 こんにちは、サムガリータなネーさです。

「こんにちわゥ、テディちゃでス!」
「ぐるるっ!」(←訳:虎ですっ!)

 さてもブルルッ!な日には、
 ぬくぬく♪ほわほわ♪な場所へ御案内いたしましょう。
 それは何処?って……はい、こちらへ、どうぞ~!


 
                    ―― 善人長屋 ――


 
 著者は西條奈加さん、’10年6月に出版されました。
 題名の通り、人情暑い、
 いえ、人情に厚~いお江戸のほんわかストーリー♪
 と言いたいところなのですが……。

「わゥッ? ちがうゥのでスかッ?」
「ぐるるがるるぐる~…」(←訳:でもぉ表紙だって良さそうな人たちが~…)

 お江戸の深川、山本町にございますは、
 千七(せんしち)長屋。
 けれど、町の人々はそうは呼びません。
 善人ばっかりが住まっているから、
 あらぁ『善人長屋』だぁね。
 まったくよぅ、気持ちの良い善人揃いさね、
 と評判なのです。

 長屋の差配をしている質屋『千鳥屋』の娘さん――お縫(ぬい)ちゃんは、
 そんな評判が歯がゆいやら、苛立たしいやら。
 皆、何も知らないからそんなこと言うんだわ!
 もし本当のことを知ったら……!

「ほんとのことォ?」
「ぐるがるっ?」(←訳:それって一体?)

 あの、ですね、
 実は、ですね、
 善人長屋に暮らす方々、皆が皆、
 裏稼業をお持ちなんです。

 質屋『千鳥屋』さんは、
 まっとうな質屋業の裏で、
 こっそり故売屋も営んでおります。
 
 髪結さんは、情報屋さん。
 代書屋さんは、偽証文作りも引き受けます。
 その他の住人さんたちも、
 詐欺やら、美人局(つつもたせ)やら、
 つまりはダークサイドのバッドボーイズな訳で。

「ぎゃふッ! わるいィひとでスっ!」
「がるがるるー!」(←訳:悪党だー!)

 んまぁ、人聞きの悪い!
 悪党は悪党でも、節度も常識もある悪党さんなんですよ。
 なんですけど……
 困った事態が起きたようです。

 手違いで、
 長屋に新しく入居した店子(たなこ)さんが、ねえ、
 加助(かすけ)さんとおっしゃる方なんですけれど、ねえ、
 裏がない、
 後ろ暗いところのない、
 ホントの善人さんだったものですから、
 節度ある悪党さんたちは大弱り。
 放り出す?
 追い出す?
 いえ、あんまり無体なことはしたくなくて、
 善き人・加助さんを、どう扱ったらよいのやら……?

「……へんてこなァ、なやみィ、でスゥ……」
「…ぐるるがるがる~」(←訳:…悪党らしくない悩みだね~)

 悪党さんたちが悪事を働きまくるピカレスクロマン?
 でも、もしかしたら、
 ほんわかほのぼの人情時代小説の可能性も?

「どッちでスかッ??」
「ぐるがるっ??」(←訳:まさかSFっ??)

 いえいえ、たぶん、この御本は……
 お江戸を舞台にした時代モノでありながら、
 サスペンス、或いはコンゲームストーリーの趣きさえ感じさせる
 連作ミステリ!
 さあ、ミステリ好きさん、
 お江戸の『善人長屋』へ
 しばしのタイムトリップを!

「ふァいッ!
 おえどでェ、おつきみィ、してきまスッ!」
「ぐるるがるがるる!」(←訳:月見団子も食べてきます!)

 では、いってらっしゃいませ~!