Butzmetz LingerieZ Blog

Butzmetz社長による徒然音楽日記。

音楽ネタその39:Miles Davis

2007-02-12 23:23:12 | Weblog
今日気ままにドライブに行った最中、つけていたラジオから、季節柄もあるのだろうか、Milesの"My Funny Valentine"がかかっていた。いわゆる同題のアルバムのヴァージョンではなく、"In Tokyo"と呼ばれるライブのヴァージョンだった。

おお、久しぶりに聞いたな。やっぱ最高だ。これは日記に書かねばならんだろう。

その前にトリビア。ここでいう"My Funny Valentine"のヴァレンタインはヴァレンタインデーの聖ヴァレンタインとは何等関係がない。約70年ほど前のミュージカルの中のヴァレンタインという女の子の役どころだ。

話は戻ってMiles。この日記だけでは書ききれないと思うので、また数回に分けて書こうと思うが、せっかく耳にしたネタである"In Tokyo"ヴァージョンの"My Funny Valentine"に絡めて書き始めようか。

この曲は昔から多くのジャズメンに取り上げられている。例えばチェット・ベーカーや、ビル・エヴァンス&ジム・ホールのデュオなどの名演があるが、個人的にはこの"In Tokyo"における"My Funny Valentine"が一番大好きだ。

マイルスのソロで始まるのだが、これがすごく「泣いている」。そこからハービー・ハンコック、ロン・カーター、そしてトニー・ウィリアムスの3人が静かに絡んでくる瞬間がなんともいえずぞくぞくする。この頃の3人のリズム隊は正に脂が乗り切った状態で、単なるセッションに終わらず、楽曲を瞬間瞬間で演出できる非常に高度なコミュニケーション能力を有していたアンサンブルだったように感じる(特にトニーのドラムだ)。

トランペットという楽器は非常に難しい楽器で、ヴァイオリンなどと同じく、まともな音が出るまでに時間がかかる。

それはともかく、このマイルスという人は、その演奏技術もさることながら、自分を一番効果的に見せるための環境作りが抜群だと思う。

わがButzmetz LingerieZのメンバーは全員マイルスのファンだ。ただそれぞれ好きなポイントは微妙に異なるようだが。いずれにせよ、マイルスのアンサンブルは目標としているところなのである。
(Butzmetz社長)

再度宣伝!Butzmetz LingerieZのCDレビュー!(またドイツ!イタリアも!)

2007-02-12 13:36:59 | Weblog
私のバンド、Butzmetz LingerieZのセカンドアルバムとなる"Butzmetz 2-Somewhere Between"のレビューを、またまたしてもらいました。まずはドイツの"Babyblaue"レーベルです。

http://www.babyblaue-seiten.de/index.php?content=review&albumId=7871

その筋では有名人であるゲストプレイヤー「高野ヒロオ」氏に少しフォーカスされたレビューのようですが、総体的にそれほど悪い評価ではないように思います。

また今度はなんと、イタリアの"Rock Impressions"レーベルからもレビューいただいています。

http://rock-impressions.com/butzmetz1.htm

こちらは音質の悪さが惜しいが、ちゃんとしたレコーディングでのサウンドを聞いてみたいと思わせるバンドである、という趣旨が書かれているようです(言い訳:音質の悪さはしょうがない。なにせライブレコーディング、しかも半分は客席からMDプレイヤーで録音した音源をそのまま使ってます…)。

どうも、私達のバンドはアンダーグラウンド・プログレ・マーケットがあるヨーロッパで評価していただいているようです。なんとか近い将来にヨーロッパツアーを計画せねば。
(Butzmetz社長)

音楽ネタその38:Steve Reich

2007-02-10 18:04:11 | Weblog
今回も前回に引き続きクラシックのネタだ。ミニマルミュージックの祖、Steve Reichである。まだ存命中だ(失礼)。

ミニマルミュージックとは、2-4小節くらいの短いモチーフを繰り返すことで発展させていく作曲手法で構築された音楽である。こう書くと何か思い出さないか?そう、トランスやハウスなどに代表されるテクノサウンドだ。そう書いてしまうと、なんだか軽く聞こえるが、彼の音楽を聴くとクラシックには珍しく打楽器が多用されていたりして、さながらアフリカ音楽と西洋クラシック音楽が融合したかのような錯覚に陥る。しかも彼の場合、その繰り返しの単位となるメロディーが美しい。

スティーブ・ライヒはクラシック以外の音楽家にも影響を与えており、例えばパット・メセニーは彼からの影響を公言して憚らない。

本日の夜、私のバンドButzmetz LingerieZのリハーサルがあるのだが、次回ライブ用に、スティーブ・ライヒっぽい作品を書き下ろしたので、早速試してみる。次回ライブにて披露したいと思うので、乞うご期待。

話は戻るが、人間の聴覚は同じフレーズを繰り返し聞かされると段々マヒしてきて、恍惚状態になるそうだ。正にトランス。皆さんもクラシックでラリってみよう(爆)。
(Butzmetz社長)

音楽ネタその37:Arnold Schoenberg

2007-02-10 01:25:18 | Weblog
今宵のネタはなんとクラシックだ。まあクラシックといっても、現代音楽の先鞭をつけた異才、アルノルト・シェーンベルクだ。

今この日記を書いている際のBGMは、グレン・グールドによるシェーンベルク作品集だ。このグールドという人も変わったピアニストで、バッハとシェーンベルク以外演奏しないという人で、かつライブパフォーマンスを放棄しレコーディングのみに自らの表現形態を限定した人である。奇人の周りには奇人しか集まらないのかもしれない。

翻ってシェーンベルク。無調音楽や12音音楽といった現代音楽の基礎的な手法を生み出した人で、後にストラヴィンスキーやブーレーズなどに多大な影響を与えた人だ。この人は19世紀後半に生まれ1951年にアメリカで亡くなったようだが、生前彼の音楽はあまりに先進的すぎて理解されず、「悪魔の音楽」という酷評を受けたこともあるようだ。だが彼の音楽理論は現代の音楽家に引き継がれ、それこそマイルス・デイヴィスやフランク・ザッパ、あるいは先日日記で取り上げたキング・クリムゾンのリーダーであるロバート・フリップといった才人たちも彼の手法を用いたと思われる楽曲を多数書いている(うーん、マイルスの場合はマイルス自身というよりは彼が自分のバンドに使っていた他のミュージシャン、例えばウェイン・ショーターとかハービー・ハンコックとか、そちらの方がシェーンベルクを研究していたかもしれない)。

いずれにせよ、クラシックの作曲技法を勉強するならば、この人は避けて通れない。是非一度聞いてみて欲しい。リラックスして聞き流せない、極めて難解な楽曲ばかりだ。ダウナー・フィーリングのときに聞けば発狂すること請け合いである(爆)。
(Butzmetz社長)

音楽ネタその36:McCoy Tyner

2007-02-09 00:03:47 | Weblog
今宵のネタはMcCoy Tynerである。John Coltraneを支えたピアニストだ。どうやら、今度Blue Note Tokyoに来るらしいので、見に行くかな。

この人のピアノも私は大好きなのだが、なんといってもタッチが強力なのだ。イメージとしてはリリカルなピアノという感じかもしれないが、フリージャズのようなアプローチもできる人で、結構「ぶち切れ」系の演奏もできる。

ちと顔がくどいのが難点だが(爆)。
(Butzmetz社長)

音楽ネタその35:Trilok Gurtu

2007-02-03 23:55:01 | Weblog
しばらくギタリストが続いたので、別の楽器にいってみよう。インド系のパーカッショニスト、Trilok Gurtuだ。

あまり解説しない方がいいかもしれない。とにかく、一度映像なりで見た方がいいだろう。

すごいのだ。

とりあえず彼を有名にしたのは、ジョン・マクラフリンのトリオだろう。マクラフリンはそもそもマハビシュヌ・オーケストラなどにおいてインド音楽への造詣が深い人なのだが、このトリロクの演奏は完全にマクラフリンを食っている。

トリロクはタブラを含めていくつかの打楽器を自分の周りにおいているのだが、いわゆる普通のドラムセットとは全然違う。バスドラもないのだが、演奏を聴いているとバスドラと同じような低音を担当する打楽器の音も聞こえてくる。大体、叩いている格好も、立てひざついて足は全然使わないのだ。

また、ソロパートになると、声を打楽器にしてしまう。

「ヤタタタ!タータララタタ!…」のようにけたたましく叫びながら打楽器も休みなく叩いている。

まあ、一度機会があれば是非聞いてみて欲しい。この人、バケモノである(爆)。
(Butzmetz社長)

音楽ネタその34:Eddie Van Halen

2007-02-03 11:57:38 | Weblog
昨日打合せで外出し、帰り道に立ち寄った喫茶店の有線で、Van Halenの"Jump"が流れていた。

おお、懐かしい。

この曲は、ちょうど私が大学受験に悪戦苦闘していた頃に流行っていた曲だ。

今回は私の青春の思い出でもあるEddie Van Halenについて少し書いてみよう。

彼のギターを初めて聞いたのは、中学生の頃だ。彼らのデビューアルバムである。未だに彼らの最高傑作ではないかと思っている。とにかく衝撃的な作品だった。当時停滞気味にあったハードロックシーンを活性化させるに十分なインパクトがあったと思う。なんといっても、エディーのタッピングテクニック(当時は「ライトハンド奏法」なんていわれてましたな)はロック以外にもジャズやフュージョン方面のギタリストにも影響を与え、多くのフォロワーを生んだのは疑いのないところだろう。

しかも、テクニカルなギターを全面に打ち出しているにもかかわらず、楽曲がポップで明るい。ライブパフォーマンスも、さながら運動会みたいで(笑)、メンバーがステージ狭しと暴れまくりで、特にアメリカでは絶大な人気を誇ったのではないかと思う(これはアメリカ人の友人に聞けば一目瞭然で、皆口をそろえて彼らのことを褒めちぎる)。

私が彼の演奏で惹かれるのは、もちろんタッピングによる高速トリルなどもあるのだが、なんといっても彼はハーモニクス(フラジオレット)の使い方が絶妙なのだ。ハーモニクスとはギターの弦を押させたところからブリッジまでの距離の2分の1のポイントなどを軽く押さえることで得られる倍音のことで、実音に比べて金属的で伸びやかな音が得られるものだ。ジャコ・パストリアスもこのハーモニクスの名手で、弦楽器の特徴の一つでもある。

最近はあまり目立った活動も聞かれなくなった。どうやらバンドは事実上の解散状態にあるらしい。もう彼も50歳近いオジサンになっているはずだが、是非再び「大股広げジャンプ」をステージで見せて欲しいものだ。
(Butzmetz社長)

音楽ネタその33:Pat Metheny

2007-02-01 23:28:03 | Weblog
今宵のネタは21世紀を代表する偉大なジャズ・ギタリスト、いや、アーティストであるPat Methenyだ。

前回の日記でもとりあげたゲイリー・バートンに見出され、確か若干19歳くらいの若さでバークレー音楽院の講師となった、なんていうバイオを読んだことがある。あのアル・ディ・メオラはこの当時のメセニーにギターを学んだそうだ。こういう話を聞くと、最初から天才的なプレイヤーであったかのごとく思えるが、正直そういう感じではない。彼の演奏スタイルは完全な現場叩き上げスタイルだと思う。

なんでも、デビュー直後のパット・メセニー・グループは年間300日近いライブをこなしていたそうだ。これはシャレにならない量のライブで、広大なアメリカの大地における移動なども考えれば想像を絶する苦行の旅だったのではないだろうか。「好きこそものの上手なれ」という範囲をはるかに逸脱している。まあ、それだけのライブをこなせば、「そりゃうまくもならぁな」とも言えるが。実際、初期のメンバーは、キーボードのライル・メイズを除きほとんどバンドを辞めている。

私も初めて彼のギターを聴いたときは、「なんだかヘニャヘニャしたサウンドよのぉ」くらいにしか思わなかった。だが、レコードごとにどんどんテクニックが上がっていき、今では唯一無二のメセニーフレーズなるものが出来上がっている。ただ、あまり理路整然としたフレーズではなく、音楽理論ではあまり説明できないような「勢いのみ」みたいなフレーズも少なくない。それが却って彼のギターに凄みを加えているのではあるが。

私が彼を評価するのは、もちろんテクニックの素晴らしさもあるけれども、それ以上に楽曲の美しさだ。リズミックなアプローチなど、ところどころに非常に高度な音楽的仕掛けがちりばめられている彼の楽曲には、そういう要素をあまり感じさせないポップさがある。聞きやすいのだ。

ずいぶん褒めちぎってしまったが、正直名盤"Still Life (talking)"以降、それまで見られた「冴え」が影を潜めているように感じるのは私だけだろうか。だが、いずれにせよ、彼は21世紀を代表する音楽家であることは変わりないと思う。
(Butzmetz社長)

音楽ネタその32:Milt Jackson

2007-02-01 01:01:39 | Weblog
今宵のネタはMJQのメンバーでヴィブラホン(鉄琴)プレイヤーであるMilt Jacksonである。

書き出した以上は、やはりこの人の演奏は大好きなのだが、そもそも私はこのヴィブラホンという楽器の響きが大好きなのだ。まず"Bugs"ことミルトのプレイであるが、やはりベースはオーソドックスなビバップにあるので、非常にグルーヴィーでファンキーだ。特に遅めの曲で16分音符のような細かい譜割でアドリブを構築していくところがたまらない(いわゆる「倍テン」ね)。

だが、このヴィブラホンには他にも素晴らしいプレイヤーが目白押しで、例えばボビー・ハッチャーソン、マイク・マイニエリ、ゲイリー・バートンなどなど、全員それぞれコンテンポラリーの要素がふんだんに感じられて食指をそそる。

なんというか、この楽器の持つ響きがジャズという音楽に非常に合う。

似たような楽器でマリンバ(木琴)もあるのだが、やはり鍵の材質の違いからか、マリンバの響きは非常にパーカッシブだ。これはこれでなかなか捨てがたく、特にフランク・ザッパのバンドで素晴らしい使われ方をしている。

だが残念なことに、私はまだヴィブラホン奏者またはマリンバ奏者と一緒のアンサンブルに加わったことがないのだ。この日記読んだ方で、フットワークの軽いヴィブラホンプレイヤー・マリンバプレイヤーの方、是非。あるいはそういう人を知っている方がいれば是非ご紹介願いたい。

ちなみに、どちらの楽器もかなり高価だ(悲)。そもそもプレイヤー人口が少ないのはそういう背景もあるかもしれない。
(Butzmetz社長)