Butzmetz LingerieZ Blog

Butzmetz社長による徒然音楽日記。

音楽ネタその61:Steve Gadd

2007-03-31 02:06:44 | Weblog
今宵のネタは、ニューヨークを代表するスタジオミュージシャンであるSteve Gaddだ。異論はあるだろうが、好きなドラマーの一人だ。

基本的にはジャズからキャリアをスタートさせた人だが、正直この人の4ビートはあまりおもしろくない(失礼)。彼が頭角を現したのは、同じく東海岸の売れっ子スタジオミュージシャンのバンドである"Stuff"からではないだろうか。

"Stuff"における彼のアプローチは、基本的に8ビートや16ビートのアプローチであり、ライドシンバルとハイハットを絶妙に組み合わせたパターンや、タムとバスドラを組み合わせた6連符フレーズは彼の真骨頂だ。スタッフは何度かメンバーの変遷があるが、白人はガッドだけで、他のパートは黒人ミュージシャンで占められていたせいもあるだろう、ガッドの叩く8ビートは正確無比のようにみえてどこか「いなたい」ところがあり、そういう要素も多くのミュージシャンに信頼されてスタジオ・ライブミュージシャンとして起用された理由になっているように思う。

かつてどこかのインタビューで、村上ポンタ秀一氏が、「ガッドの登場により、当時の日本のドラマーの中でジャズとロックの垣根が取り払われた」なんていう回想を読んだことがある。スタッフが初めて日本で紹介されたのは70年代中期くらいのように思うが、それを境に4ビートドラマーは8ビートに取り組み、ロックドラマーは16ビートや4ビート的なアプローチを取り入れるようになった。

もう結構な年だと思うし、彼に続く次世代の優れたドラマーも数多くいるが、ガッドの功績は大きい。
(Butzmetz社長)

音楽ネタその60:憂歌団

2007-03-28 23:02:20 | Weblog
今宵のネタは大阪が生んだ最高のブルーズバンド、憂歌団だ。私が大阪生まれだからというわけでもないが、大阪には独特の音楽シーンが形成されており、憂歌団だけではなく、ブルースを極めようとしているミュージシャンは多い。だが中でも憂歌団は突出した存在だったように思う。

そもそも大阪の文化はブルースにフィットしやすいという土壌があるように思うが、ときにユーモラスでときに哀愁に満ちた木村充輝の歌、ときに本場の黒人よりも黒人らしいギターを弾く内田勘太郎など、個性的なミュージシャンを揃えていた。

本場アメリカにおけるブルースの状況はそれほど芳しくはないようだ。数年前にロバート・クレイという新進ブルースギタリストのインタビューを読んだことがあるが、彼はエリック・クラプトンからブルースを学んだそうだ。もちろん、クラプトンは素晴らしいギタリストだが、クレイという黒人がクラプトンという白人からブルースを学ぶということ自体ブルースは衰退しているとも感じられてならない。ヒップホップ全盛の現在、黒人にとってブルースは前時代の遺物なのかもしれない。むしろ、今の時代、良いブルースミュージシャンは黒人以外に多いように思う。

ちょっと話題がそれたが、憂歌団も独自の味のあるブルースを確立させた素晴らしいバンドだと思う。惜しくも解散したようだが、またライブを見てみたいものだ。
(Butzmetz社長)

音楽ネタその59:Earth, Wind & Fire

2007-03-27 00:50:26 | Weblog
今日、少し外出して帰り道に立ち寄った喫茶店でEW&Fの"September"がかかっていた。おお、あまりにベタだが懐かしい。少し書いてみよう。

言わずと知れた70年代後期に結成され、80年代に全盛期を極めた黒人グループである。正直、メンバーも全部で何人いたのかわからんくらい大人数のバンドだが、コア・メンバーはアラン、バーダイン、モーリスのホワイト3兄弟だろう。聞いたところによると彼らは確か医者の両親の元に生まれ、黒人としては裕福な家庭で育ったようだ(うろ覚えの又聞きなので、正確な情報をご存知の方は適宜補足を)。

とにかく楽曲もゴージャスで、衣装もド派手。ステージもレーザー光線を使ったりと、とにかくカネがかかっていそうなものだった。楽曲は正にディスコ全盛時代にぴったりとはまるものが多く、一時期はヒット曲を連発していたように思う。

事実上のリーダーであったモーリスが表立った音楽活動から離れ始めてからバンドの勢いも次第にしぼんでいくが、ウラ事情を素人ながらに推測すると、あれだけ大人数のバンドでもあったので、維持していくのが大変だったのではないだろうかと思う。それだけギャラだって嵩むわけだし、スケジュールの調整だって難しい。本当のところはわからないが、如何だろうか。
(Butzmetz社長)

音楽ネタその58:Allan Holdsworth

2007-03-25 20:30:39 | Weblog
今宵のネタは、孤高のギター職人Allan Holdsworthである。数年前に六本木ピットインが閉鎖するまで、ほぼ毎年ゴールデンウィークの頃に来日して数日間ライブを行っており、よく見に行ったものだ。渡辺香津美氏が客としてロッピに来ているのを見かけたこともある。



とにかく、ギターを扱う技巧という意味では唯一無二の存在である。手が異常にでかくて指も長いのだろう、通常では到底押さえられない手の形をもって、モロ・クローズドボイシングを展開する(1弦の2Fと4弦の10Fを左手だけで押さえている写真を見たことがある。そりゃないよー、だんな)。ソロも特徴的で、ピッキングを極力省略してレガートでスムーズなラインを生み出している。あまりに右手と左手のバランスがいいため、「ああ、ギターを弾くって簡単なことなのね??」という不思議な錯覚を覚えてしまう。パット・メセニーのギターとも通じるところがあるように思うが、彼のギターから紡ぎ出される音楽はあまりにも独創的かつ個性的なので、彼のボイシングやライン、あるいは音質をコピーしても意外に使えなかったりする。「ああ、アランのパクリね」とすぐにバレるからだ。とかいいながら、実はコードの考え方など、彼から学んだことは結構あったりする。あまりモロコピーと聞こえないように配慮はしているつもりだが。



1946年生まれとのことなので、この人も還暦を越えている。世代の関係からやむを得ないのかもしれないが、私の好きなミュージシャンは年寄りが多いですな(爆)。
(Butzmetz社長)

音楽ネタその57:Bill Laswell

2007-03-20 00:11:33 | Weblog
今宵の音楽ネタは、「奇才」といっていいだろう、ニューヨークの最先端を走り続けているベーシスト、Bill Laswellだ。ハービー・ハンコックの"Rock It"、韓国の打楽器集団「サムルノリ」のプロデュースなどが有名だと思う。

これまで参加したセッションの数はハンパではなく、ミュージシャンからの信頼も厚いようだ。テクニックについては、例えば天才ジャコ・パストリアスなどと比べれば、「別に普通かな?」という感じだが、そもそもベーシストがみんなジャコだったら異常だ(笑)。

私がこの人の音楽を聞いていて痛感するのが、一見相容れないと思われる異質の要素を巧みにフュージョンさせる能力だと思う。かといって、そこから生まれる音楽は決して難解なものではなく、ポップな要素もしっかりと持ち合わせているところがすごい。「ま、おもしろくて楽しけりゃ何だっていいんじゃないの?」的な軽さがいい。ハービーも彼のプロデュースにより、新たなキャリアを広げることができたといっても過言ではないだろう。

ベーシストという楽器奏者は、プレイヤー然としてテクニックを追求する職人肌の人と、楽曲全体のコーディネーター的な役割を追求する人に極端に分かれるように思う。ビル・ラズヴェルは明らかに後者のタイプだ。

どうやら4月末に新宿ピットインで、日本人の錚々たる「ノイズ系」アーティストたち(笑)とライブをするようだ。必見だと思う。
(Butzmetz社長)

HMV、日本市場から撤退?

2007-03-18 02:06:22 | Weblog
特に日本で苦戦しているようで、本国イギリスから日本における事業の売却を検討しているというニュースが飛び込んできた。

アメリカのTower Recordは本国でChapter 11(日本でいう会社更生手続とか民事再生手続のようなもの。要するに会社経営が立ち行かなくなり、スポンサーを探して経営を再建するという手続)の適用を申請しており、それに先立ち日本のタワーレコードは既に米国の資本からは離脱している。

少し前に調べてみたのだが、CDやDVDなどの音楽メディアが最も消費される国はアメリカで、それでも売上ベースで1兆5千億円くらいの規模だったように思う。日本はその半分くらいの規模のようだ。トヨタ単独の連結ベースでの営業利益が確か1兆円超だったと思うので、それと比べても産業としての音楽が如何に小さな規模であるかがわかる。要は、あんまりカネにならないし、より多くの人に富を分配できない産業であるともいえる。

まして日本は、例えば著作権においても「貸与権」などという、世界でも特殊な権利が認められているという事情もあり、加えて昨今のiPod旋風の影響もあり、CDやDVDなどのメディアは売れにくい状況にあるように思う。

日本の音楽産業のベクトルは今後どういう方向に向かうべきなのだろうか。

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070315AT2M1500215032007.html
(Butzmetz社長)

ホーメイ。

2007-03-18 01:10:15 | Weblog
皆さんはホーメイをご存知だろうか。以下のHPに簡単に紹介されているので、そちらも参照していただきたいが、ロシア連邦の一つであるトゥバ共和国に伝わる歌唱方法のようだ。モンゴルのホーミーに少し似ている。参考音源が載せられているので、是非聞いてみて欲しい。

http://kizy.at.infoseek.co.jp/sing.htm

今日は我がバンド、Butzmetz LingerieZのリハがあったのだが、それに先立ちmixiやGREEで「とにかく変わった楽器弾くやつ募集!」と投げてみたところ、ホーメイの使い手が名乗りを上げてくれた。今日初顔合わせと相成ったのだが、「これ、ほんとに人の声なの?」と思わせる、さながら超音波のようなサウンドであった。私の独断で、次回ライブのゲストに即効決定。

とにかく私は、自分のバンドにインパクトを持たせたいと思っている。我こそは、と思う変わった楽器奏者、そういう人をご存知の方(音楽家でなくても可。即興美術家、詩人なども歓迎)、是非お知らせいただきたい。
(Butzmetz社長)

音楽ネタその56:Bob Marley

2007-03-17 18:56:21 | Weblog
ちょっとジャズ系のミュージシャンが続いたので、今宵は違うジャンルにフォーカスしてみよう。レゲエの神様、Bob Marleyである。ただ、私は彼のファンというよりはレゲエという音楽に対するファンなのだ。

レゲエという音楽は裏拍を強調した、スカ・ビートなどと同じくいわゆる「2ビート」系の音楽の一つなのだが、スカのようにテンポが速くなく、更にビートに「うねり」があるので気持ちがいい。この「うねり」とは、例えばギターがスクエアビートを刻んでいながら、ベース・ドラムはハネたビートを刻むことによる微妙な「ズレ」から生まれるものだ。ちなみに、楽器全部があのテンポでハネたビートは、レゲエというよりはドドンパ(わが国が誇る宴会ビート)となるので要注意である(笑)。

若い頃、日比谷公園にJapan Reggae Splashというイベントに行ったことがあるのだが、レゲエ・マニアは正直アブない人が多い(爆)。ステージ上で繰り広げらるビートとは全然合わない拍子に身を任せて、目を「あっち方向」に泳がせながら踊っている人を多数見かけた。若いながらに、「ああなってはいけない」という防衛本能が働いたものだ(笑)。

翻ってボブ・マーリーの音楽。彼のバンドであるウェイラーズは上述した「うねり」が正に感じられるバンドなのだが、正直バンドがヘタなために生まれる「うねり」なのだ。でも非常に魅力的だし、ボブの書く詩には素朴ながらも強力なメッセージが込められていて心を打たれることが多い。

わがバンドでももう少しレゲエのアプローチを取り入れたいと思うことがあるが、ちょっと無理だな。
(Butzmetz社長)

音楽ネタその55:John McLaughlin

2007-03-14 23:56:16 | Weblog
今宵のネタは少し前のジェフ・ベックの際に予告しておいたJohn McLaughlinだ。マイルスが好きなので、俄然聞く機会が多くなった。多才なヒトだと思う。

勢いで「多才」と書いたが、ギターテクニックを冷静に分析すると、確かに速いパッセージなどを華麗に弾きこなすんだけど、「なんだかよくわからない」というのが素直な感想だったりする(笑)。

この人のギターを聞いていて思い出すのが、ラリー・コリエルのギターだ(蛇足ながら、あれだけ理路整然としたギターを弾く渡辺香津美氏は、コリエルを師と公言してはばからない)。二人とも結構共通点が多い。一般的には「ジャズをベースとしながらも、ロックや民族音楽などにも造詣の深い、スピリチュアルなギタリスト」なんて評価になるのだろうが、例えばジョージ・ベンソンの巧さのようなわかりやすい巧さではないのだ。右手にしても左手にしても、マクラフリンやコリエルの動きはベンソンのそれに比べると、全然器用に見えない。弾いているフレーズも、スケールやコードトーンのアルペジオのようなものではなく、なんか勢いで「バラバラバラッ!ビッ!」という叫び・ノイズに近いような感じをよく受ける(笑)。宗教的な造詣の深さも共通だ。マクラフリンはインド音楽に傾倒してヒンドゥー教徒になってしまったし、コリエル氏はバリバリの創価学会員である。

最近の私にとっての音楽におけるキーワードは「インパクト(ネガティブなものでも全くかまわない)」、「理論を超えたわけのわからなさ」、「混沌」、でも「これらを全て合体させても統一感やハーモニー、メロディーがどこかで保たれている」、こういったところだ。先の日記で書いたドン・チェリーの音楽同様、マクラフリンの演奏・楽曲は、比較的この方向性におけるヒントになるように思う。
(Butzmetz社長)

音楽ネタその54:Don Cherry

2007-03-13 23:37:17 | Weblog
今宵のネタはオーネット・コールマンの盟友、Don Cherryだ。トランペッターだが、トランペット(というよりコルネット?)のプレイヤーとしての印象よりはサウンド・コーディネーターとしての印象の方が私には強い。

一般にはフリー・ジャズの旗手として捉えられていると思うし、それは決して間違いではない。でも、音楽を聴くと、民族楽器を多用したり、随所にアフリカ音楽からの影響が感じられて、なんというか非常にプリミティブなのだ。

オーネット・コールマンとの活動を続けてから北欧に渡り、晩年はオランダやスウェーデンのミュージシャンと多くのセッションを残している。オーネットの音楽と共通していると感じるのが、スピリチュアルというか、音楽全体が非常に感覚的で、あまり理論的に構築されたものではない。

若い頃手探りで音楽理論を勉強した身には、今ではこういう「感覚的・でも決してメチャクチャではない」音楽が脅威に感じる。これからも追求していきたい感覚だ。
(Butzmetz社長)