Butzmetz LingerieZ Blog

Butzmetz社長による徒然音楽日記。

音楽ネタその31:King Crimson

2007-01-31 00:50:31 | Weblog
今宵はプログレッシブ・ロックの雄、King Crimsonについて少し書いてみよう。

その前にプログレッシブ・ロックとは何ぞや、というと、どうやらいろいろな定義があるようだが、1960年代から70年代にかけてイギリスで生まれた音楽で、ロックという形態を残してはいるものの、ジャズやクラシックなどの要素を取り入れた音楽という感じだろうか。とにかく、楽曲が長く(爆)、変拍子を多用するなど、複雑な構成の楽曲が多い。代表的なバンドといえば、Pink Floyd, Yes, Camel, U.K.といった比較的ポピュラリティを確保しているバンドもあれば、ドイツやイタリア、果てはカナダなどにも独自のプログレ・シーンがあったりする。

私のバンドであるButzmetz LingerieZは、最近のレビューなどを紐解くと「ジャズ・ロック」あるいは「プログレ」としてカテゴライズされることが多いのだが、私は正直いってプログレの影響をそんなには受けていない。もちろん、一通りは聞いているつもりなのだが、例えば大物であるPink FloydとかYesなんて全然好きではない。そんな中でも比較的好きなのが、このKing Crimsonなのだ。

ただ、このバンドは「再結成前」と「再結成後」で語られることが多く、私が好きなのはどちらかといえば「再結成後」の方だ。

もちろん、再結成前においても結構好きな曲はあるのだが(「21世紀の精神異常者」、「太陽と戦慄Part2」、「レッド」くらいだけど)、やはり再結成後の方がはるかにおもしろいアプローチをしている。再結成前が音の洪水のような楽曲であるのに対し、再結成後のそれはむしろ空間をうまく利用し、ポリリズミックなアプローチがクールだ。

中心人物はもちろんロバート・フリップというギタリストだが、必ず座って演奏し、ライブでもスポットライトを絶対に当てさせないという変わり者だ。

最近はバンドとしての目立った活動は聞こえてこない。ただバンドが正式に解散したというわけでもなさそうなので、また何かの折に復活してくれることを期待している。
(Butzmetz社長)

音楽ネタその30:Ray Charles

2007-01-27 23:52:39 | Weblog
前回のジョンスコつながりで少し書いてみよう。盲目の巨匠、Ray Charlesだ。

と書き出してみたけど、あまりに偉大すぎて何も書けないな(爆)。とにかくファンキーでブルージー。楽曲も明るくて、思わず踊りたくなるような曲が多いのがうれしい。もちろん、じっくりと聞かせてくれる"Georgia on my mind"を始めとした名曲・名演は多いが、例えば彼の"Santa Clause is coming to Town"なんて、小粋で思わず"Yeah!"と叫びたくなる。

同じ盲目の天才であるStevie Wonderと比べると、Stevieの場合はDb major, B major, Eb minorとか、ピアノでいえば黒鍵を多用するキーが多い。これは彼が盲目であるため、黒鍵の「でっぱり」でピアノの鍵の並びを探っている、なんて話を聞いたことがある。だがレイ・チャールズの場合、そういうキーの制約があるようには思えない。もちろん、Stevieも天才なのだが、彼の場合はジュリアード音楽院でクラシックを含めた英才教育を受けており、それが彼の楽曲にソウルミュージック一辺倒ではない広がりを添えている。かたやRay Charlesの場合、ソウルミュージックの叩き上げという印象だが、Rayの方が真の天才という感じがする。

数年前に惜しくも亡くなったが、彼の音楽は不滅だ。
(Butzmetz社長)

音楽ネタその29:John Scofield

2007-01-27 12:58:10 | Weblog
今回のネタはジャズギターの奇才、John Scofieldだ。私の現在の演奏スタイルはかなりこの人からの影響が大きいと思う。

後期エレクトリック・マイルスを支えた人で、マイルスのバンドを脱退後はデニス・チェンバースなどを従えてファンクっぽいアプローチ、その後は荒削りな4ビートの世界に戻り、最近では故・レイ・チャールズへのトリビュートアルバムなどを発表している。

この人の最大の特徴はなんといってもアウトサイド・アプローチだ。例えばキーがC majorでDm7-G7-Cmaj7といったケーデンスにおいて普通にC major scaleを弾くのはインサイド・アプローチなのだが、彼の場合こうしたケーデンスにおいてB7のコードトーンをアルペジオで弾いたりする。これぞアウトサイド・アプローチで、かなり「はずれて」聞こえる。これは諸刃の刃で、ヘタクソがこれをやると単に「間違っている」ようにしか聞こえないのだが、ある程度のスピード感を持って通常のインサイド・アプローチに組み込むと音楽に緊張感が生まれる。

彼のアウトサイド・アプローチはクラシックにおける勉強材料としても採用されているくらいで、音楽的には非常にインスパイアされるものだ。

このように非常に理論的なアプローチをしている人なのだが、そんなに冷たい感じに聞こえないのは、彼のベースにブルースがあるからだ。レイ・チャールズへのトリビュートアルバムなどはそれが非常にいい形で出ており、彼の魅力の一つになっている。

パット・メセニーと同じく、現代を代表するジャズ・ギタリストだ。今後も彼には注目していきたい。
(Butzmetz社長)

音楽ネタその28:The Police

2007-01-24 23:36:06 | Weblog
今宵のネタは80年代初頭にイギリスでデビューを飾ったニューウェイブ・パンクの旗手、"The Police"だ。

以前、渡辺香津美氏のところで少し書いたが、音楽史上最高のギタートリオといえば、もちろん様々な意見はあると思うものの、Jimi HendrixのExperienceとかJim Hallのトリオなどがあげられると思う。まあ、ジェフ・ベックのBB&Aとか、渡辺香津美のトリオもいいのだが、ロックというエリアでいけば当時のポリスは本当にクールなトリオだった。

映像でしか見たことがないのだが、初来日公演はワールド・ツアーの一環で、メンバーを含めてスタッフ7名くらいの少人数で敢行されたものである。すごくかっこいいライブだったことを鮮明に記憶している。

このバンドの特徴は、(デビュー当時に限定されるのだが)音がスカスカなのだ。音楽的な空間が多い。普通、ギタートリオといえば、テクニックに満ち溢れた各楽器がその技をぶつけ合うという図式になりがちだが(例えばRushなど)、このバンドは全然違う。ギターのアンディ・サマーズもベースのスティングもあまり音数は多くない。むしろ、空間を埋めているのがドラムのスチュワート・コープランドで、初めてこのサウンドに触れたときは非常に斬新に感じたものだ(ちなみにスチュワート・コープランドも私が最も好きなドラマーの一人である)。で、スカスカだとカッコワルイのか、といえば全然そんなことはなく、逆に却って疾走感が出てクールだ。もちろん、スティングの歌も今と違ってロックしまくっており、これまたワイルド。

今でこそ、スティングを始めとして元ポリスのメンバーたちはジャズっぽいアプローチで自らの音楽を構築しているが、最初からこのアプローチだったらスティングはソロで成功しなかったと思う。やはり、このポリスにおけるパンキッシュなアプローチがあってこそ、スティングは一皮むけたのではなかろうか。

ただ私がポリスを評価しているのはデビューから3枚目くらいまでだ。後は段々サウンドが重厚になってきて、重苦しくなってくる。やっぱり3人てのはお手軽なんだけど、煮詰まるのも早いかも。解散は非常に惜しいが、ある程度やむを得ないのかもしれない。

話は変わるが、私はロックというエリアでいけば、発祥の地であるアメリカのロックよりもイギリスのロックの方が好きだ。アメリカのストレートな感じよりもどこかヒネリがあるように感じて、はるかに興味を惹かれる。皆さんは如何だろうか?
(Butzmetz社長)

音楽ネタその27:Count Basie

2007-01-23 01:48:37 | Weblog
今宵のネタはいきなりだが、偉大なビッグバンドのリーダー・ピアニストであるCount Basieである。

もうかれこれ15年くらい前のことだが、私はギター片手に営業をしていた。場末のキャバレーなどでギターを弾いていたことがある。そこでよく演奏しており、非常に思い出深いのがカウント・ベイシー・オーケストラの楽曲なのだ。

例えば少年の頃にロックに魅せられてギターを始めたような人がカウント・ベイシーの音楽を実際に演奏するなんてことは非常に少ないと思う。私の場合は必要に駆られて、といった要素があるのだが、この経験はすごく役に立った。

当時の私がよく出入りしていた営業バンドは、サックス3人、トランペット2人、(時々)トロンボーン1本、それにギター・ベース・ドラムというすごい「歯抜け」のビッグバンドスタイルだった。そもそもビッグバンドをフルメンバー揃えようと思うと、最低でも20人近く必要で、営業という要素を考えるとメンバーへのギャラもバカにならんし、そもそもスケジュールの調整が極めて難しい。要は維持するのが極めて困難なのだ。

それはともかく、上述のようなひどい環境の中で、私はピアノの譜面を見ながらギターを弾かされたおかげで、結構譜面に強くなることができた。大体、ギタリストなんて譜面もロクに読めない人が多いのだが、あの当時の経験は貴重だったと思う。

随分趣旨がずれたが、カウント・ベイシーの楽曲は、録音ベースで聞くと多少時代を感じるが、そのアイデアは結構緻密で、十分勉強できる。あの時代の経験が私のミュージック・ライフの一つの糧になっているのだ。

結構、小粋でゴージャスな作品が多いので、是非一度聞いてみて欲しい。
(Butzmetz社長)

宣伝!私達のCDが「CDジャーナル」のレビューに掲載されました!

2007-01-21 21:52:07 | Weblog
㈱音楽出版社が発行している月刊誌「CDジャーナル」2007年2月号の195ページにおいて、私達のCD"Butzmetz 2 - Somewhere Between"をレビューしてもらいました。同じくWebサイトの方にも掲載されています。是非ご覧下さい。というか、CD買ってやって下さい(笑)。

http://www.cdjournal.com/main/cd/disc.php?dno=4106120489

PS ウチらの音楽、J-POPではないはずなんだが…。

(Butzmetz社長)

音楽ネタその26:Aretha Franklin

2007-01-20 16:51:21 | Weblog
今回は歌手にいってみよう。"Queen of Soul", Aretha Franklinである。いろいろなジャンルの中で、男女を問わず、私が最も好きなヴォーカリストだ。

正直、女性としてみれば、体型もあまりに迫力がありすぎて(失礼!)そんなに魅力は感じないが、やっぱりヴォーカリストとしての最大の魅力はあのダイナミクスに満ち溢れた歌唱力と、ソウルミュージックには欠かせないド迫力のシャウトだ。

名盤も目白押しだが、やはりオススメは"Live at Fillmore East"当たりか。多くのヴォーカリストやアーティストから、ジャンルを越えて多大な尊敬を集めている。ホイットニー・ヒューストンなどは最も敬愛する歌手としてアレサの名前を公言してはばからないし、ローリング・ストーンズのキース・リチャーズとロン・ウッドをバックに従えて、Jumpin' Jack Flashをやっていたりするのだが、その時のStones Guitaristsの嬉しそうな表情といったらない。

元々高音域でのシャウトが魅力でもあるのだが、しっとりと歌い上げるバラードもセクシーで意外とキュートだ(これまた失礼)。黒人は一般的に数ある民族の中で声帯が太いらしく、カバーできる声域が広い。これに比べて一番声域が狭いのがCaucasian(白人)であるとのことだ。言われてみれば、黒人のシャウトと白人のシャウトは全然違い、黒人の声質の方が艶やかで、白人のそれは正に「金切り声」になりやすいように思う。そういう前提にあっても、アレサのシャウトは素晴らしい。

私は若い頃は「歌モノ」のバンドをいくつか組んだ経験があり、一定期間続けたことがある。歌モノのバンドはそれなりに楽しいのだが、バンドのカラー=歌手のキャラクターとなりがちなのがイヤで、よっぽど「こいつのバックでギターを弾いてみたい!」という歌手でない限り、継続的にバンドをやるのは控えている。

いつの日か、アレサのバックでギター弾けるものなら弾いてみたいもんだね。
(Butzmetz社長)

音楽ネタその25:Richard Tee

2007-01-18 00:05:16 | Weblog
しばらくギタリストが続いたので、ピアニストにいってみよう。私の好きなピアニストの一人、Richard Teeだ。

この人はニューヨークを代表するスタジオミュージシャンで、当代を代表するスタジオミュージシャンによるバンド、"Stuff"の中心人物の一人である。キーボードプレイヤーとして一番オイシイところを押さえている人で、グランドピアノ、ハモンドB-3、フェンダー・ローズ、この3つしか演奏しなかった。シンセなんざもってのほか(笑)。

最大の魅力は「強力なタッチ」だ。指もなんだかゴツくて、とてもピアニストの手とは思えない(失礼!)。弾いているフレーズ自体は結構単純なのだが、とにかくファンキーでグルーヴィだ。時折ドラムのスティーブ・ガッドと聞かせてくれるホンキートンクスタイルのピアノのコラボレーションが最高だ。でも、オルガンやローズピアノを弾く際の繊細なタッチも素晴らしい。Stuffだけではなく、数多くのミュージシャンのバックでも演奏しており、ビリー・ジョエルやポール・サイモンといった大物のサポートでもシブイ演奏を聞かせてくれる。私のオススメは"Live Stuff"と、Stuffの面々が全面的にバックアップしている、クインシー・ジョーンズの"Staff like that!"というアルバムだ。

残念ながら、15年ほど前に癌で死んでしまった。ああいうスタイルのピアニストは他になかなかいないし、彼以降にもそれらしきフォロワーも出ていないので、非常に惜しい。
(Butzmetz社長)

音楽ネタその24:George Benson

2007-01-16 23:44:01 | Weblog
今宵のネタは前回から「名人」つながりで、George Bensonだ。ウェス・モンゴメリ・フォロワーのジャズギタリストとしてキャリアを築き、歌を歌うようになってから"Breezin"という大ヒットアルバムで、一般の音楽ファンの間でブレイクしたと思う(もっとも、私のオススメは"Blue Benson"と"Weekend in L.A."というアルバムだが)。

こういうこと書いてしまうと異論がある人も多いだろうが、パコ・デ・ルシアと同じく、「世界で最もテクニックのあるギタリスト」の五指に数えられる人だ。もう、むちゃくちゃうまい。パコ・デ・ルシアに続き、「参りました。」と言うしかない一人だ。

フラットワウンド弦を張ったフルアコの生音で、あれだけ正確で華麗なフィンガリングとピッキングができる人は非常に少ない。ウェス・フォロワーだけあって、「オクターブ奏法」の名手でもあるのだが、彼の奏法は一工夫されており、原音+オクターブ上だけでなく完全5度の音も含まれているので、弾く分にはウェスのそれよりも遥かに難しい。まあ強いていえば、彼のフレーズはビバップから大きくはずれることはないので、テクニックを除けばあまり真新しさはなかったりするのだが。

調べてみたら、彼も還暦を越えている。ギターの腕前はともかく、「ちょっと化粧しすぎなんじゃねーの??」と感じれらるくらい、いつも顔がてかっている(爆)。あまり目立った活動は最近聞かれないが、コンテンポラリー・ポップスの場で活躍する彼よりも、気合の入ったビバップ・セッションにおける彼のギターを聞いてみたいものだ。
(Butzmetz社長)

音楽ネタその23:Paco de Lucia

2007-01-16 00:40:11 | Weblog
今宵のネタはフラメンコギターの天才、Paco de Luciaだ。そもそもフラメンコという音楽にはギターが不可欠であり、プレイヤーの裾野が広く名手が多いのだが、そんな中でも彼は別格だろう。

彼の名前が世に出たのは、やはりアル・ディ・メオラとジョン・マクラフリンと競演した"Friday Night in San Francisco"というアルバムだと思う。パコ以外の2人も超絶的なテクニックの持ち主だが、パコの存在感が圧巻である。パコはギターの弦をクラシックギターのように指で爪弾くのだが、ピックを使用している他の2人の音圧やスピードに全く引けを取らない。まして指で弾いているので、ダイナミクスのつけ方がピック弾きの場合よりも絶妙で、緩急・強弱の度合いが素晴らしい(アル・ディ・メオラもすごいのだが、彼はピックのアタックが強すぎて、パコに比べると一本調子に聞こえる。ジョン・マクラフリンは元々他の2人と対抗しようという気持ちがないのか、とにかく違うカラーを出そうとして却ってムキになっているように感じる)。作品自体は、一部の楽曲を除き「テクニック運動会」のような感じであまり聞きどころはなかったりするのだが(笑)。

もう世界全体を見渡すと、楽器を扱う「名手」という点では星の数ほどのプレイヤーがいるので、自分としてはあまりそういう方向に精進するつもりもないのだが、ギターを弾くテクニックという点で「参りました。勘弁して下さい、アニキ!」と思わせるうちの一人である。

調べてみたが、今年で還暦のようだ。最近あまり目立った活動が聞かれないようだが、また珠玉のギターを聴いてみたいものだ。
(Butzmetz社長)