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tired of london, tired of life




本屋で平置きにしてあったこの本を見つけたのは、去年2011年の11月に英国ビザ取得のためパスポートを預けたきり、この島から出られなくなったことがストレスになっていた頃だった。


今までのように買い物に日帰りでパリ、お客さんを連れて車で20分先のオランダの街(まあパスポートが手元になくてもベルギーからはこれらの国には出入りできるのだが)、夫の急な出張に付き合って明日からアブダビへというわけにはいかない...
という身の上がすべての自由を奪われた結果のような気がし、ある国の妃が「海外に行けないことに慣れるのに努力がいった」とおっしゃったあの文句を非常に身近に感じたほどだった。

夫は英国の中をマンチェスターやリバプール、バースやオックスフォードと出かけられるように気を配ってくれたが、元々旅行がしたくてイライラしているわけではなく、自分の自由が証明したいのにできなくてイライラしていていたのだから、なかなか国内旅行でウキウキという気分にはならなかったのだ。

ほんっと難しい人ですね...と夫に何度言われたことか。
(彼は難しい女が好きなのでいいのである)

この本は副題にOne thing a day to do in London とあるように、ロンドンで1月1日から12月31日の365日間、ダイアリー式に毎日何ができるか、つまりどんな小さな幸せを見つけられるかが素敵なイラストとともに紹介してある。

序文には「最も創造的で多彩な都市、芸術、文学、人類の歴史。ロンドンはわれわれの世界を形作る一端を担ってきた...(略)しかし、時々私たちは自分がどんなにラッキーかを忘れてしまいがちである。周りを見回したとき、私はほとんど無限の”すること”を発見できた...」


例えば明日、6月13日を見てみよう。
「ビリングスゲイトの魚市場で魚を買う」
...ビリングスゲイトの魚市場は16世紀から立ち...という簡単な説明と住所つきだ。

今週末16日、夫がこれは行ってみたい!と言ったのは「ウィブリー・ワブリーで一杯飲む」だ(写真左)。
ロンドン南西グリーンランドドックに浮かぶウィブリー・ワブリー号(船)はパブになっていて、ドックからの眺めを楽しみながら飲める、看板猫もいるよ、と...

わたしの誕生日のある月、11月はこんな風に始まる
1日「ロンドン一のお化け屋敷、バークレー50番へ」
2日「グリニッチで時計を合わせよう」


もちろんこの日に必ずこれをしなければならないという訳ではない。

「何かちょっといいこと」はどこでどんな境遇にあろうと自分が見つけるものなのだ、ということがあらためて分かる本なのである。
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