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Brugge Style
霊長目、ヒト科、パパ
シンガポールのナイト・サファリは観光目玉のひとつらしい。
開園が19時で閉園が24時と言うところに深い味わいがある。
アルバム作成のための写真を整理していて思い出した。
ナイトサファリの閉園間際、出口の撮影スポットで、観光客が記念撮影をしていた時のことである。
写真を撮りたい人は列に並んで行儀よく順番を待っていて(列に並ぶということを幼稚園で教わらなかったのは○○人だけのようだった)、われわれ家族の番になり、夫と娘が歩み出た。
わたしの後ろで並んでいるのは日本人のお嬢さん方だということが分かった。日本語が聞こえてきたから。
「かっこいい!」
「あたし、あんな人がパパやったら反抗期なんかなかったわ」
「あんなパパやったらなんでも言うこと聞くなあ」
「あんなパパがよかったなあ」
「あたし、あんな人と結婚したいわ」
「あたしも~」
「ちょ、奥さんどんな顔なん?」
わたしは顔を見られまいと欽ちゃん走りで横移動した。
自分にあんな瞬発力があるとは思わなかった。うん。それに暗くてよかった。そして娘が日本語で話しだす前に英語で話しかけ、速やかに現場を立ち去った。
どんな種類の罵りが聞けるのか好奇心もあったけど、まだその後も機嫌良く旅行を、また余生を楽しみたかったので。
関西弁で「うわ、ナイトサファリ!」とかコメントされたりしたら、わたしはそのままカバ池に飛び込んだろう。
夫はシェルタリング・スカイ風というか、白麻の上下に子鹿色のスリッポンを履いていて、わたしに「植民地時代のお大尽みたいで嫌な感じやな」と言われていたので、ことの顛末を話した後は妙に機嫌がよかった。
他人の本音は聞かないほうが仕合わせである。
人間が本音と建前を使い分けるのは、ライオンのあごの発達とか、シマウマの縞とかいった、サヴァイバルの手段に違いない。
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