silly ski squadronスキー雑記

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専門医にかからないと病気の予後に格差が

2010年12月16日 23時55分18秒 | 糖尿・メタボリック・自転車
糖尿病は全身の疾患であり、高血糖を放置しますと細小血管障害や大血管障害のリスクが高まります。
それぞれが動脈硬化をおこすと細小血管障害では網膜症・腎症・神経障害などになり、大血管障害では狭心症・心筋梗塞・脳卒中などが高頻度に引き起こされます。
しかしながら血糖コントロール、及びよく合併する高脂血症や高血圧を上手にコントロールすることにより、それらは防ぐことが可能です。
特に近年、新しい糖尿病治療薬が出て、おそらくこれらにより将来は日本人の糖尿病合併症は大幅に減るのではないかと予想されています。
また降圧剤、高脂血症剤も副作用が少なく動脈硬化を防ぐものが次々と開発されています。
これら薬剤の使い分けは当然のことですが、ややテクニカルであり専門知識と経験が必要です。
現在の医療では各専門科ごとに非常に厳密な治療法が選択され、その標準的治療を受ける受けないで受診される方に予後の格差が生じてしまいます。
特に糖尿病・高脂血症・高血圧など血管系の疾患は治療を誤ると、それが全身を駆けめぐる動脈の問題であるので、のちに取り返しのつかない不可逆性の動脈硬化となります。

◎糖尿病の薬剤は、その方が肥満であるか、合併症はどうか、他の合併症はないか、インスリン分泌能は保たれているか、インスリン抵抗性はないか、罹病歴はどうかなどなど無数の要素から選択、または組み合わせて使われます。
肥満でインスリンのたくさん出ている方にインスリン分泌促進剤をファーストチョイスで使うのは理に適いません。メトホルミンやピオグリタゾンのメカニズムを理解すればそれがファーストチョイスになりうる可能性が高いであるとかそういうことです。
最近注目を浴びているDPP-4阻害剤やGLP-1作動薬も使い方次第では効果がないことがあります。
そのあたりのノウハウが重要になります。

◎血圧の薬の中でARB(アンギオテンシン2受容体拮抗剤)という有用な薬があります。大別してARBは6種類に分けられますが、それぞれ微妙に作用機序や効果が異なり、それらは大規模試験でエビデンス(科学的根拠)に基づいて選択されるべきです。
降圧が不十分な場合はDRI(直接レニン阻害剤)を使うのかCCB(カルシウム拮抗剤)を使うのかというのも重要な問題です。
ただただ適当に高血圧の薬を重ねれば良いというわけではりません。

◎高脂血症の薬剤は、どのタイプの高脂血症であるのか、合併症によってどれくらい下げるべきなのか、どのメカニズムの薬を使えばベストなのか等の要素から選択されます。
脂肪肝、特に非アルコール性脂肪肝炎(NASH)などを合併しているときは代表的なスタチンを使うのではなくてフェノフィブラートを使うとか細かい調整が必要になります。

たとえば心筋梗塞でPCI(冠動脈カテーテルインターベンション)を受けて改善した方でも、すでに動脈硬化が進んでいるので再発性が高く二次予防(二度目の心筋梗塞を起こさない)のために厳密なコントロールが必要となります。
それならば一次予防(心筋梗塞や脳卒中にならない)に力を入れて、まずは原因になる動脈硬化を起こさないことが肝要です。ひいては将来の医療費の抑制にも繋がります。
考えてみて下さい。一度心筋梗塞や脳卒中(心血管イベントといいます)を起こしたら運動の制限など人生の楽しみのひとつを(それが総てとは言いませんが)犠牲にしなくてはならない可能性が高くなります。
予防医学と口うるさく言われているのはそういうことです。
普段から適度な食事や運動を心がけ、必要とあれば目的通りの薬剤を服用して心血管イベントを抑制する。
人生はいつだってやり直すことが出来ますが、動脈硬化は取り返すことが困難なことが多いのも事実です。
ほんの少し気をつけてもらう。薬を飲むなら最低限のものを効果的に使い、糖尿病性合併症や心血管イベントを起こさないようにする。それが専門医の目的です。

糖尿病と分かった場合、一度は短期間の入院が望ましいですが、時間的に厳しい場合でも諦めないで下さい。
外来においても入院と同様のコントロールを得ることは可能ですし、実際働きながら学んでいただき、良好なコントロールを得ている方は大変多くいらっしゃいます。
経験的に長期の治療の中断こそが一番のリスクです。極端なことをいえば(望ましいことではありませんが)薬だけを服用して、放置したときに比べて一定期間HbA1cを1%低下させているだけでも動脈硬化の差は明らかです。
透析導入(残念ながら、いまだに透析されるかたの原因疾患の一位は糖尿病です)される方の多くは数年間治療を放置しておられ、その後血糖コントロールを改善しても腎不全になってしまいがちです。
進んだ糖尿病性腎症でも、ある程度は進行を食い止めたり改善させることも可能な時代になりつつあります。どの時点でも諦めるべきではありません。しかしそれはやはりストレスのかかることです。
食事制限は糖尿病食のそれよりも厳格になり、服用する薬も増えて時間的にもコスト的にも厳しくなりがちです。

日本糖尿病学会では、現在『DREAMS』というプランを実行中です。
Diagnosis and Care(早期診断早・期治療体制の構築)
Research to Cure(研究推進・人材育成)
Evidence for Optimum Care(エビデンス構築・普及)
Alliance for Diabetes(糖尿病国際連携)
Mentoring Program for Prevention(糖尿病予防)
Stop the DM(糖尿病抑制)
それぞれの頭文字を取って『DREAMS』です。ちょっと無理にDREAMSにした感じがありますね(笑)
(覚えやすいように大規模試験などでよく使われる手法です)
でも日本糖尿病学会(JDS)のオピニオンリーダーの方々が、糖尿病による不幸を取り除こうと真摯に考えて作り出したプランです。
最後のStop the DMは米国糖尿病協会(ADA)のSTOP! DIABETESキャンペーンと同じです。

■大切なポイント■
*いつでも諦めないで下さい。以前は不可能と思われていたことも時代とともに可能になっていることが多々あります。
*ウェブ上の情報だけ見て恐怖心を高めないで下さい。まずは専門医を訪れてみて下さい。もちろん基幹病院の糖尿病外来でも構いません。百聞は一見にしかずというのはいつだって真実です。ああなんだ、、、そんなに難しいことじゃないんだと思われる方がほとんどです。
*上記とよく似たことですがウェブ上の耳あたりの良い治療法や特殊な治療にぐらっと来ないで下さい。それは標準的治療を受ける機会を失うことになり貴重な期間を失います。
*とにかく気になることは話してみて下さい。思い違いは誰にでもあることです。こんなこと聞いていいのだろうか?なんて気にしないことです。
*一歩踏み出すこころがあれば、道は開けます。あなたに少しの勇気を!

上の写真は何でしょう?はい勿論自転車用ライトです。デンマークの会社のもので遊び心満載です。
もっとも本来は子供向けで防水機能もなさそうですが、いいですねえ~。デザインはシャークです。価格は2,100円。
現地では10オイロ程度の安物かも知れませんけど楽しければいいのです。


上のライトは藤井大丸で買いました。Gold Sprintさん主催の自転車系イベントです。向日町競輪のポスターが嬉しい。
これからも要注目!
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