silly ski squadronスキー雑記

バカなスキー集団。スキーならなんでもやります京都方面本部。
突撃我ニ続ケ!!

SGLT2阻害薬が効く効かないと判断する前に

2015年06月28日 22時33分32秒 | スキー・自転車・糖尿・メタボリック
講演会や学会で、最近特に不満を感じているのは「まずは食事療法、運動療法が大切」と言いながら、実は具体的な指導を多くの専門医がしていないということです。
なので、普段の療養指導の差が大きく出るSGLT2阻害薬の結果が割れるのは仕方がない。
いえ、効果がなかったならそれはそれで仕方ないんです。
じゃあどんなバックグラウンドの方に効果がなかったのか?というのか大切です。ところが、その方の食事量や運動量の定量的な把握が出来ていないことが圧倒的に多い。
ダメじゃん。。。。。
こういう薬はみんなが知恵を出し合って、どう使えば安全か、効果的かということを専門医が示せないようでは困る。
メカニズムや第3相試験の結果から「たぶん、こうだろう」という印象で語ることは他への影響を考えると勧められない。エビデンスが見たいのですよ。あと数例使ってみた印象とかもですね。
具体的な数値を調べれば意外なことが分かったりするので是非、生データに当たって、まとめをお願いしたいところです。
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アクティビティ・トラッカーと運動療法(怖るべきAppleの野望)

2015年06月09日 01時44分33秒 | スキー・自転車・糖尿・メタボリック
糖尿病運動療法には「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン」には週に3-5回、20-60分ずつ、「糖尿病治療ガイド」には週に3日以上、歩行運動では1日2回15-30分ずつ(一日歩行量約1万歩)となっていますが余り具体的ではありません。
それなのに投薬前には“(食事療法・運動療法をしても)2~4ヵ月後血糖コントロールが目標に達しない場合薬物投与開始(優先順位指定なし)”と書いてあります。
さて管理栄養士による食事療法が徹底されていない現状は深刻な問題ですが、それは今日は置いときます。何故なら管理栄養士による食事指導というのは確立されているが問題は医師がその認識に欠けているだけなので、やろうと思えばやれる筈なんです。
ところが運動療法はそうではない。日本人エビデンスも少ない(ように思います)。
なので食事・運動を指導してその後に投薬を開始した、という学会でのお決まり文句は相当眉に唾を付けて聞かなくちゃあなりません。具体的に何をどう指導したか?ということを質問しても良いでしょう。
もちろん自分が出来ていなくとも、後学のために質問されるのは一向に構わないでしょう。

さてさて運動療法に戻ります。
いまや活動量計(アクティビティ・トラッカー)が花盛り。その中でもセイコー・エプソン、ADIDAS、mioなど各社が運動中の心拍数を測定できる腕時計型心拍数計を出しています。
残念ながらワタシはPolar、Wahoo、エプソンのチェスト・ストラップ式心拍数計しか使用したことがなく、現在使用中のApple watchと比較しようがありませんが、心拍数を測定できるのとそうでないものとの差は非常に大きいと思います。
日米のガイドラインの違いや、実際のやり方はお馴染みの糖尿病ネットワークさんを参照してください。

表題に戻ります。Appleの何が怖るべきなのか。
これは薄々気づいている方も多いと思います。
iOS8になった時、当初「ヘルスケア」アプリは大して気にしていませんでした。
ところがよくよくアプリ内の「ヘルスケアデータ」を見ると、信じられないような莫大な項目があります。
例えば「栄養」。なんでこんな多くの項目が必要なんでしょう。
例えば「検査結果」。呼吸器疾患、血糖、挙げ句の果てには倒れた回数などという項目もあります。
どういうことなんでしょう?
現状でこれを埋めるような方法はありません。
血糖も通院の時の血糖だけ入力するだけではないでしょう。

血糖で言えば、まずはSMGBが考えられます。IT系SMBGと言えばなんといってもアークレイ社のグルコカードG Black
まずはこれが近日中にWatchOSに参入ですね。

次の段階はCGMでしょう。メドトロニック社の牙城は崩れるのではないでしょうか。アボット社あたりが何か仕掛けてしそうな。
穴はやはりデクスコム社ですね。既にwatchOSに米国では対応していますし、電波法などの問題さえクリア出来れば日本国内でも手軽に使えそうです。

でも本当の野望は血糖だけではない筈。
恐らくあらゆるApple watchユーザーの身体データをヘルスケアに集中してプラットホーム化しようとするのでしょう(情報の一元化)。
2020年を目指して電子カルテとIDカードなどと言っている日本政府はヘルスケアの方向性から(着想を含めればおそらく)10年以上遅れている。

これは大胆な予想ですが、そう遠くない未来、非侵襲型の血糖モニターをApple watchに組み込む可能性が考えられます。こんなのどうですか?ナノテクの進歩は凄まじいですね。一概に“ない”とは言い切れないでしょう。
え?血糖のことばかりですって?
そりゃそうですよ。今や世界の糖尿病人口は3億8,670万人(2014年:IDF)、2035年には5億9,190万人の予想。
とてつもないマーケットです。
そうなった時、メドトロニックなどはどうなるのでしょう。もちろん長期的な対応策はぬかりないと思いますが。

Apple watchのインプレッションをWebで見ると、使い勝手がどうの、デザインがどうのとかいう話ばかりで、心拍数系を組み込んだ本質的な問題にはあまり触れていない(気付いていない?)ように思います。
心拍数などおそらく序の口。
注目すべきは心拍数計ではなく、ヘルスケアに託された目も眩むような壮大な計画ではないでしょうか。
既にResearchKitがその一部として動き始めています。
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SGLT2阻害薬における体重増減のヒ・ミ・ツ♪

2015年06月04日 01時41分02秒 | スキー・自転車・糖尿・メタボリック
なんてステキなマニー・パッキャオの身体。計量時の写真なのでドライアウトした状態ですね。
写真はCCTV Africaからお借りしました。
メイ・ウェザーに負けたって、みんなパッキャオ大好きです♪
まだ引退しないでほしいです。

さて最近SGLT2阻害薬を使って体重減少したとかしないとか、やたら喧(かまびす)しいです。
でもですね、問題はその中身なわけですよ。
体重減少があっても筋肉量が落ちて脂肪量が変わらなければやっぱりHbA1cは下がらないし、逆に体重が増えてもそれが筋肉量の増加であればインスリン抵抗性が取れてHbA1cは下がるんですよ。
なのでSGLT2阻害薬を使って体重とHbA1cだけを見ていると判断を誤ります。

体重が増えてしまって今月は悪いでしょう?と言って診察室に入ってこられる方がいらっしゃいます(ウチでは先に体重を測定し、その時に採血して結果が出た後に診察となります)。
でもHbA1cは下がっている。

ワタシ「◯◯さん、HbA1c下がってますよ。」
◯◯氏『えっ!?そうなんですか。そんな事はないでしょう』
ワタシ「んんん、あ、もしかして運動してました?筋トレとか」
◯◯氏『いや~、特別してないですけど』
ワタシ「まあいいですからInBodyやりましょうってば。筋肉量増えてるんじゃないかなー」

・・・・・・測定中・・・・・・

ワタシ「ほらね!体重増えてるけど筋肉が増えて脂肪はちょっと減ってる」
◯◯氏『マジすか!?』
ワタシ「だってそうしか考えられないじゃないすか。筋肉増える、インスリン取り込み増える、GLUT4活性化する、血糖下がる!」
◯◯氏『なんですか?ぐ?ぐるっと、フォー!!』
ワタシ「フォー!って古いすねえ。いやすいません興奮してしまいました。要するにインスリン抵抗性が減って効きやすくなると」
◯◯氏『レイザーラモン、同志社なんですよね』
ワタシ「てか去年、同大ラグビー部、関学と京産に負けて3位だし!」
◯◯氏『先生、何の話してるんです?HbA1cは?』
ワタシ「へ?あ、そうでした。だからそういうことですよ」
◯◯氏『そういうこと?』
ワタシ「つまり筋肉量が増えた結果体重が増えたら血糖コントロールが良くなると」
◯◯氏『ふ~ん』
ワタシ「ふーんって。いやなんか運動してたでしょ」
◯◯氏『あああ、そういえば先月栄養士さんがせめてテレビ見てるときに腹筋しとけば、と言わはったのでそれだけ毎日してましたわ』
ワタシ「それだ!」
◯◯氏『それすか!』
ワタシ「それ、続けてくださいね」
◯◯氏『まぁそれくらいなら続けられますね』

そんな会話でした。
逆もそうですよね。
体重が減ってても筋肉量が減って脂肪量が変わらないなら血糖コントロールは改善しにくいようです。
通勤していない自営業の方や(あ、ワタシもそうだ。でも運動してるし)、主婦であまり動かない方に多いパターンです。

体重だけでその薬が効くとか効かないとかという判断は難しいということです。
要するに内容でございますね。
もし体重減ってるのにSGLT2阻害薬が効いていないという方がいらっしゃれば、一度運動量の評価をしてみてはいかがでしょうか?
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