去年読んだ「武蔵野夫人」の流れで
スタンダールの「赤と黒」を読みました。
たぶん、多くの人は若い頃に読んでいるのでしょうが
遊んでばかりいたオイラは、恥ずかしながら未読。。
文字が大きい、光文社古典新訳文庫版は読みやすい。
文字が小さいと途中で挫折しますが、
このシリーズは文字も大きく
訳もしなやかでけっこう好きです。
「赤と黒」は1830年代のフランス、
ナポレオン失脚後の王政復古の時代が舞台。
当時起きた神学生による殺人未遂事件など、
多くの事実もとにして書かれた名作です。
野望をもって立身出世をめざす
一介の材木屋の倅・ジュリヤン・ソレルは、
ナポレオン心酔者であることを隠しつつ聖職者をめざします。
自分の信条とは逆に、時代の流れに沿って
羽振りのいい聖職者をめざしていくところは
どこか、したたかな印象を受けました。
また、家庭教師として入ったレナール家の夫人と禁断の恋をしたり
パリの貴族ラ・モール侯爵家の令嬢との恋などを体験して
大人の階段を昇っていきます。
恋の駆け引きや心理描写などが秀逸です。
荒井由実の「まちぶせ」の歌にてでくるような
じらしたり、ほかの人を好きなそぶりをみせたりと。。
いまごろ知っても、役に立ちません。。
最後はレナール夫人の手紙によって
殺人未遂事件を起こして監獄に入り
悲惨な結末が待っていました。
立身出世と2つの恋。
ジュリヤン・ソレルは、出世のために小賢しくて計算高い部分と、
若者ならではの恋愛に一途なところがあり、
人間には、たぶんそんな両面があるんだろうと思いました。
この19世紀文学の流れで、バルザックも読み始めましたが
バルザックって、けっこう面白いです!はまりそうです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます