ハインリッヒ・シュリーマン(1822~1890)は、
ドイツの考古学者であり、実業家でした。
9人兄弟の6番目に生まれ、家が貧しかったので14歳で学校を退学し、職業に就きます。
貧困から脱する為に、1841年にベネズエラに移住を志したものの、
船が難破してオランダ領の島に流れ着き、オランダの貿易会社に職を得ます。
1846年(24歳)会社を設立し、翌年ロシア国籍を取得。
1850年(28歳)にゴールドラッシュの恩恵によって、
アメリカでお金持ちになっていた兄が亡くなったという連絡で、
ロシアからアメリカに行き、金の売買で短期間で巨額の利益を得ました。
1852年(30歳)にアメリカでの事業を売却しロシアに戻り、ロシア人と結婚します。
ロシアでは藍染産業で利益をあげ、
1854年(32歳)に始まったクリミア戦争で、
鉛や硫黄をロシア政府に売る事で、巨万の富を得ました。
1856年(34歳)の頃にはビジネスの世界から引退しても、
問題ないほどの富を得ており、
子供の頃に夢中になった古代都市の発掘を志す様になります。
40代から考古学を勉強し、トロイの遺跡を発掘しました。
誰もが単なる神話だと思っていた遺跡を前人未踏で発見したのです。
それは世界をアッと言わせました。
「トロイの遺跡」
紀元前、1260年~1180年頃にトロイア戦争があったとギリシャ神話に記載されています。
現在のトルコにあったトロイア王国に対し、
ミケーネ国やスパルタ国などのギリシャ連合軍が行った戦争です。
トロイア軍は強固な城壁を持つ市街に籠城します。
戦争が膠着状態になった10年目に差し掛かった頃、
知将オデュッセウスは、巨大な木馬を造り、内部に兵隊を潜ませるという作戦を考えます。
トロイアはこの計略に見事に騙され、木馬を城内に引き入れました。
そしてトロイアは一夜にして陥落してしまったのです。
私は子供の頃、1956年公開のアメリカ映画「トロイのヘレン」を、
観た記憶があり、その映画は強い印象を子供の私に残しました。
それがあったからこそ、ハインリッヒ・シュリーマンという人が頭から離れなかったのです。
しかし、シュリーマンという人物は、
世界をアッと言わせる発掘を成し遂げ、名を残した反面、
〇 自伝の内容の一部は信ぴょう性が低く、虚偽である可能性がある。
〇 考古学の知識が未熟で杜撰な発掘を行った為に、
後の再発掘や再検証を難しくしてしまった。
〇 研究や考察の制度が低く、現在では修正されているものもある。
こういった賛否両論があります。
しかし、子供の頃に読んだ本が頭から離れず、これはきっと事実だと、
ずっと信じていたいう執念には頭が下がります。
40歳前には巨万の富を築きあげ、
後の人生を自分が信じた事だけに費やす事が出来るなんて羨ましい。
シュリーマンが、もし考古学などに夢中にならず、
お金儲けのビジネスだけをやっていたら、きっと凄かったのでしょうね。
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