「八雲もたつ いづも八重垣 つまごめに 八へがきつくる そのやへがきを」
と云う歌のこころを高尚は、彼の著書「歌のしるべ」で言います。
「八重雲のたちのぼることよ。此のいづるくものみこころとあひにあいて、やへがきつくるさまなるはこれもおのれみことのためにさするならん。あないみじ。その八重垣のさまよとのたまへるこころなり。をはよといふに同じ・・・」と。
“あひ”とは、「非常にかわいらしい、愛きょうたっぷり」と云うぐらいな言葉です。
「非常に意義深い雲が突然に湧きいいで、其の上に、こんな素敵な女(人)に出会えて、つまごめのために八重垣、八重に巡らせた垣を備えた大変立派な館を、つまごめ、妻を迎えるために造ろうと云うのです。何と素晴らしいことではございませんか。その八重垣のさまは」と、云う意味に成ると高尚は言うのです。
なほ、この中で、文の最後に「をはよというに同じ」とありますが、此の言葉の持つ意味がわかりません。「を」とは自分自身の雄大さを表した言葉ではないかなとも思うのですがよく分かりません。