私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

 歌は情深く詞をかしく・・・

2013-04-13 16:51:21 | Weblog

高尚は、古今集の序にいう「ことわざしげきものなれば、・・・・」というくだりについて、次のように説明しています。要するに、自分がいくら心にあはれと思っていて、人は、それをあはれとは受け止めてくれない。だから、見るもの聞くものにつけて、それを人があはれと大変珍しげに思うように、情を深め詞を“うるはしくつくろひなして“読まなければならない。あさからぬ情を、詞おかしく表現するから、あはれと人々が思うのである。

 このように、歌は形にこだわるのではなく、其の主体たるものは人の情であり、その情をいかに表現するかその詞をどう歌に折り込むかが大切であると云っています。形ではないと云うのです。だから定家の「拉鬼体」を「いたく歌のさまたがへる」と云うのです。

 なお、拉鬼体というのは、「鬼を拉(ひさ)ぐ」意で、表現や情趣に荒々しさや強引さがあり、かえってそこが人の心を惹くような歌のさまであると定家は言っているのです。