私は今朝、知り人に連れられて、正月用の山草「ウラジロ」を摘みに「羽無(ハナシ)の金毘羅さん」へ出かけました。高梁川に架かっている水内橋を渡り、美星町宇戸谷に出ます。そこを流れる美山川に沿った渓谷が「鬼ヶ嶽」なのです。かっては「神庭瀑」「鷲羽山」と共に岡山県の3大名勝地として名を馳せていたのですが、近ごろ、とんと、その名さへ聞かなくなってしまいました。交通的な不便さもあってのことでしょうが。
この地は江戸の昔。松山藩主板倉摂津守が封内第一の勝景なりとして、毎年この地に内外の貴賓を招いて観覧していたのです。今は、随分さびれてはいますが温泉場もあります。
明治に、この地を訪れた与謝野官寛・晶子夫妻の歌も残されています。
宇戸ゆけば 不思議の箱の 岩ありぬ
浦島が子も 知らぬ渓かな 鉄幹
しらしらと 岩乾きたる 宇戸の渓
鬼のやさしき 松風をきく 晶子
カメラを持っていかなかったため、写真をお見せできないのは残念です。
我が吉備の国には、こんな隠れたる名勝地もあります。