私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

青物と小便の交換の話

2010-05-12 10:07:02 | Weblog
 「京都の婦女子の立小便」について少々薀蓄を傾けましたが、この京都の小便について、こんなことを書いている人もいます。あまり興味が湧かないだろうとは思いますが、まあ、「こんなこともあったのか」と、思われるお人もいらっしゃるのではないかと思い、古い本を引っ張り出して調べてみましたので見てください。

 その本は、「都繁盛記」です。 
   

 写真にあるように、何やら難しい漢字がびっしりと並んでいます。私の手に負える代物ではありません。そこで、これを持って、ご無沙汰している例の珍聞漢文氏を尋ねます。

 写真ではよく分からないかと思いますので、そこに並んでいます字を、少し書き写しておきます。

 「・・・・・爾時有賤夫擔尿桶一隻及小籃盛以時新菜蔬公然高叫過、其言急且略、所謂侏離鴃舌・・・・・・・」
 と、延々と並んでいます。

 漢文氏は相変わらずの物知りです。ここにあります「侏離鴃舌」という字なんかもあっさり解決してくれます。
 
 「これか、シュリゲキゼツと読んで、なにゅういよんかようわからんというこっちゃ」
 たちまちのうちに読み説いてくれました。


 この文の全部は必要がないので、面白そうなところだけを読んでもらい説明を受けました。
 
 それによるとこの部分の大体の内容は次のようになるらしいのです。

 「時々にです。都の周辺にいる百姓は尿桶2つと取れたばかりの野菜(青物)を篭にいっぱいにして、町中の歩いているのです。その掛け声は、傍で聞いていると、「一体、この人は何を言っているのか」と、さっぱり分からないような、ただ、大声を張り上げているだけのように聞こえるのです。でも、よく聞いてみると、どうも、百姓が擔いできた野菜と大根や茄子やその他の野菜と町家に溜めてある小便と交換するための掛け声のようです。
 その百姓の声を聞くと、家にいる夫なり妻なりが戸口に出てきて、自分の家に溜めている小便と野菜を交換するのだそうです。
 その交換にもちゃんと順序があります。まず、百姓は、その家に必要な野菜を聞きます。大根か茄子か菜っぱなどと。それが済むと、その家に入り持ってきた肥桶に尿を汲取り、その量の多少によってに、持ってきた要求のあった野菜を置いて帰ります。この時、しばしば問題が起きるのだそうです。それは、百姓の置いて帰る野菜の量の多少です。その多少で言い争いになり、
 「至相嗔相罵其甚者令傾桶還瀉」
 と成ることもあるのだそうです。
 「両者ともものすごく怒り罵り合い、終いには、百姓は汲取った小便を元の所へ流し込む」という説明を受けました。

 この町家の糞尿を、当時の百姓達は、肥料として使うために、彼らのの作った野菜と交換していたようです。