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感想:『刀語』

2010年01月23日 18時37分38秒 | 本と雑誌
刀語 第十二話 炎刀・銃 (エントウ・ジュウ) (講談社BOX)刀語 第十二話 炎刀・銃 (エントウ・ジュウ) (講談社BOX)
価格:¥ 1,155(税込)
発売日:2007-12-04


毎月1冊ずつ刊行され1年で完結した『刀語』全12冊を読み終えた。

これが西尾維新の代表作かと問われると即座に「否」と言うだろう。『戯言』シリーズのアクの強さもなければ、『化物語』シリーズのキャラクター性にも欠ける。西尾維新らしい奇抜なケレン味は健在だが、ストーリー展開は王道だし、キャラクターに頼った作品とはなっていない。
演出上の仕掛けも、大規模なものは第4巻くらいで、ストレートに押し通している。チャンバラ的な剣戟の面白さも序盤こそ模索している感じだったが後半はほとんど見られなくなった。

以下、ネタばれ。
結末に関しては賛否はあるだろうが、話の展開上妥当なものだったと思う。『戯言』シリーズは話の流れに逆らった結末を持ってきたため正直がっかりした。それまで描かれてきた事柄のバランスをラストでひっくり返してしまったようなものだ。今回はそうした強引さはなく、流れに従った素直な結末と言えるだろう。派手さに欠け、カタルシスに乏しいものではあったが、つまらない小細工に走らなかった点は評価したい。

間もなくTVアニメもスタートするが、『化物語』のようなヒットは難しいだろう。質よりも量のような娯楽作品であり、ライブ感覚こそが魅力とも言える作品だからだ(TVアニメも1ヶ月1話1時間というスタイルではあるが、小説との違いを無視している感じでプラスに作用するか疑問である)。
西尾維新の代表作とは呼べないシリーズだが、このシリーズを経験したことは他のシリーズ(『戯言』以外完結していない)へいい影響が出るのではないかと期待している。シリーズを始めるのは容易でも締めるのは難しい。これを糧にキチンと締めていって欲しいものだ。




これまでに読んだ西尾維新の本の感想。(☆は評価/最大☆10個)

クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言遣い』(☆☆☆☆☆)
新本格魔法少女りすか』(☆☆☆☆☆☆)
新本格魔法少女 りすか2』(☆☆☆☆)
クビシメロマンチスト―人間失格・零崎人識』(☆)
クビツリハイスクール―戯言遣いの弟子』(☆☆☆☆☆)
サイコロジカル〈上〉兎吊木垓輔の戯言殺し』(☆☆☆)
サイコロジカル〈下〉曳かれ者の小唄』(☆☆☆)
ヒトクイマジカル―殺戮奇術の匂宮兄妹』(☆☆)
ネコソギラジカル(上) 十三階段』(☆☆)
ネコソギラジカル(中) 赤き征裁VS.橙なる種』(☆☆)
ネコソギラジカル(下)青色サヴァンと戯言遣い』(☆)
新本格魔法少女りすか3』(☆☆)
零崎双識の人間試験』(☆☆☆☆)
零崎軋識の人間ノック』(☆)
化物語(上)』(☆☆☆☆☆☆)
化物語(下)』(☆☆☆☆☆☆)
刀語 第一話 絶刀・鉋』(☆☆☆)
刀語 第二話 斬刀・鈍』(☆☆☆☆)
刀語 第三話 千刀・鎩』(☆☆)
刀語 第四話 薄刀・針』(☆☆☆☆☆)
刀語 第五話 賊刀・鎧』(☆☆☆)
刀語 第六話 双刀・鎚』(☆☆☆☆)
『刀語 第七話 悪刀・鐚』(☆☆☆☆☆)
『刀語 第八話 微刀・釵』(☆☆☆☆)
『刀語 第九話 王刀・鋸』(☆☆☆)
『刀語 第十話 誠刀・銓』(☆☆)
『刀語 第十一話 毒刀・鍍』(☆☆☆☆☆)
『刀語 第十二話 炎刀・銃』(☆☆☆☆)