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感想:『刀語 第六話 双刀・鎚』

2009年12月09日 22時23分46秒 | 本と雑誌
刀語 第六話 双刀・鎚(ソウトウ・カナヅチ) (講談社BOX)刀語 第六話 双刀・鎚(ソウトウ・カナヅチ) (講談社BOX)
価格:¥ 1,155(税込)
発売日:2007-06-05


七花の初の敗北があったにも関わらず、展開としては「溜め」の印象が強い巻。むしろ七実の強さばかりを引き立てた感じだが、次巻で勝つと断言しているだけにどう納得させてくれるのか期待と不安がない交ぜになっている。
錆白兵の時は強い強いと言葉では語っていたが、実際の戦闘はおろか、誰それに勝利したという実績すら与えられていなかった。従って、あんな描写をとっても許された。
七実は4巻で既にその強さを描き、この6巻でも七花よりも圧倒的な才能を持っていることを読者に見せ付けている。この二人の対決は、結果は決まっていても、それを納得させられるかが、このシリーズ全体を通して重要な鍵となる。ここで納得できなければ、読み続けることは苦痛となるだろう。
後半折り返しの7巻がいかに大切か。この6巻はその前振りのようなものだった。(☆☆☆☆)




これまでに読んだ西尾維新の本の感想。(☆は評価/最大☆10個)

クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言遣い』(☆☆☆☆☆)
新本格魔法少女りすか』(☆☆☆☆☆☆)
新本格魔法少女 りすか2』(☆☆☆☆)
クビシメロマンチスト―人間失格・零崎人識』(☆)
クビツリハイスクール―戯言遣いの弟子』(☆☆☆☆☆)
サイコロジカル〈上〉兎吊木垓輔の戯言殺し』(☆☆☆)
サイコロジカル〈下〉曳かれ者の小唄』(☆☆☆)
ヒトクイマジカル―殺戮奇術の匂宮兄妹』(☆☆)
ネコソギラジカル(上) 十三階段』(☆☆)
ネコソギラジカル(中) 赤き征裁VS.橙なる種』(☆☆)
ネコソギラジカル(下)青色サヴァンと戯言遣い』(☆)
新本格魔法少女りすか3』(☆☆)
零崎双識の人間試験』(☆☆☆☆)
零崎軋識の人間ノック』(☆)
化物語(上)』(☆☆☆☆☆)
化物語(下)』(☆☆☆☆☆☆)
刀語 第一話 絶刀・鉋』(☆☆☆)
刀語 第二話 斬刀・鈍』(☆☆☆☆)
刀語 第三話 千刀・ツルギ』(☆☆)
刀語 第四話 薄刀・針』(☆☆☆☆☆)
刀語 第五話 賊刀・鎧』(☆☆☆)


感想:『ガンパレード・マーチ episode ONE』

2009年12月09日 22時14分03秒 | ガンパレード・マーチ
ガンパレード・マーチ episode ONE (電撃文庫)ガンパレード・マーチ episode ONE (電撃文庫)
価格:¥ 599(税込)
発売日:2003-05


時間が巻き戻り、5121小隊設立期を描いた作品。

主に速水の視点から描かれた「邂逅」はゲームのファースト・マーチを髣髴とさせる。素人集団が素人集団なりに自覚と覚悟と決意を行動に繋げていく様子はよく書けている。芝村の末姫の凛々しさも。

ようやく登場した教師たち。「教官の憂鬱」は本田と芳野を軸とした話。学兵という歪んだシステムによって苦悩する人々。それが垣間見える小編だ。

「憧れのPanzer Lady」は滝川の初恋のような話。展開は読めてしまうが、小隊メンバーを死なせない制約をもって描いているようなので、小隊外のキャラクターの死は描き続ける必要がある。戦時下の、まさに死と隣り合わせの青春。

「士魂号到着!」はついに士魂号と整備班が到着し小隊が誕生した時を描いている。パイロットたちと整備メンバーとの対立以上に、原による石津いじめが強烈な印象を与えている。設定として語られている話ではあるが、これまでの雰囲気を壊しかねないながらも描いた勇気を評価したい。

口絵に1組メンバーのプロフィールが書かれているが、生年月日に関して小説内で説明されていないのに掲載していて大丈夫なのかと心配する。舞台は1999年だが、若宮は「1993年4月1日配備」、芳野は「1998年6月1日生」。もちろん誤植ではない。ゲーム内ではどこまで説明されていたかはっきりとは覚えていないが、小説では全く触れていないはず。世界の謎を知る身では常識的な事柄だけど……。(☆☆☆☆☆)




これまでに読んだ榊涼介の本の感想。(☆は評価/最大☆10個)

ガンパレード・マーチ 5121小隊の日常』(☆☆☆☆☆)
ガンパレード・マーチ 5121小隊決戦前夜』(☆☆☆☆)
ガンパレード・マーチ 5121小隊 熊本城決戦』(☆☆☆☆☆)