最近のニュースで最も強いインパクトを受けたのが、デトロイト市の財政破綻です。
振り返れば、昨年9月に訪問して、その荒廃ぶりを目撃したばかりだったので、「ああ、やっぱり」という気持ちでした。
昨年の訪問記録
これまで米国の都市をいくつも訪問しましたが、昼間ですらタクシー移動でないと危険だと言われたのは、デトロイトが初めてです。
確かに、現地のニュース映像を見ても、白昼の発砲事件が珍しくないようです。
この映像を見て、デトロイトのダウンタウンに住みたいと思う人はいないでしょう。
現地のニュース映像
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これまで私の意識の中にあったデトロイトには、世界の自動車産業を牽引する街であるとともに、音楽の街というイメージもありました。
デトロイトの音楽といえば、モータウン・サウンドです。
モータウンとはデトロイト発祥のレコード・レーベルで、モーター・タウンの省略形。
マーヴィン・ゲイ、シュープリームス、スモーキー&ロビンソン、フォートップス、ジャクソンファイブ、スティービー・ワンダー、コモドアーズ、テンプテーションズなど、素晴らしいスターたちがモータウン・レーベルから巣立っていきました。
モータウン・サウンドは、1960年代初頭において、リズム&ブルース本来の泥臭さを抑制して、洗練されたファッションと垢抜けたサウンドを目指した点が画期的でした。
ベース弾きだった私としては、モータウンの生んだベースの名手ジェームス・ジェマーソンの名前を挙げないわけにはいきません。
彼の演奏曲の数々
ジェームス・ジェマーソンは、メロディ・ベースともいえる美しいベースラインが特徴。
元々、ジャズのウッド・ベース奏者だった彼は、フェンダーのプレシジョン・ベースの弦高を高く張り、ブリッジにスポンジを噛ませて人差し指1本で弾くことによって、余韻を抑えた独特の音色を創り出し、黄金期のモータウン・サウンドを支えました。
そんな時代の先端をゆくサウンドを産み出したデトロイトが荒廃する一方というニュースに、心を痛める音楽ファンは多いと思います。
(T_T)