酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

21日に解散だって、アーソーかい

2009-07-14 05:53:03 | Weblog
 麻生首相と与党幹部が会談し、来週衆院を解散、8月30日投票とすることが決まった。去年9月24日に麻生内閣が発足したときから、麻生は「民主党に勝ってなんぼ」と言い続けて解散の時機を探ってきた。

 リーマンショックやら自身の発言のブレなどで、解散はその都度先送りされて10カ月、ここまでの足取りのなんと乱れたことか。ふらつく千鳥足に国民はほとほと愛想が尽きている。「解散宣言」は干天にジョウロみたいなものだが、「やっと」という気分にはなるだろう。

 でも果たして、このまま何事もなく1週間が過ぎるのだろうか。都議選の例を持ち出すまでもなく、このまま解散となれば自民党が歴史的敗北を喫するのはほぼ確定的だ。「解散宣言」をした後ではスキャンダル暴露戦術も使いにくい。

 麻生の決断=解散強行は自民党にとっては「集団自殺、自爆テロ、無理心中」とほとんど同義だ。「看板を代えろ」など麻生降しが再び強まる可能性もある。ここ一両日が勝負になるのではないか。

 それにしても、なぜ麻生は絶望的な解散に突っ込んで行くのか。プライドや意地だけでは説明がつかない。ひょっとすると、本人は国民的人気が高いと思い込んでいるのかもしれない。「ナマ麻生、見たことある人…」。都議選の応援でこうはしゃぎまわっている麻生を見ると、大いなる勘違い男だなあ、と思ってしまう。

 俺の評判が悪いのはマスコミのせいだ。ナマの麻生を見て、演説を聴けばみんな俺を支持する。そう思っているに違いない。裸の王様とはこのことだ。名前を叫んで、手を振ってくれるのはテレビに出ている「人気者」だからに過ぎない。話す内容といえば「政権交代で景気後退ではどうしようもない」などという、本当にどうしようもないことばかり。これで選挙に勝てるはずがない。

 やっとの思いで解散・総選挙を断行して、自民党は大敗。自分は総裁の座を追われ、後は四分五裂の焼け野原。1945年8月15日のような光景を麻生は見ることになる。そこから戦後日本は復活した。麻生がそこまで考え抜いているとしたら、恐れ入りました、である。

 で、この解散は何と名付けられるのだろう。「万歳突撃解散」「集団自殺解散」「やけくそ解散」…。臓器移植法改正案が成立した日の解散宣言だから「延命解散」「脳死解散」か。とほっ。
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柳高野球部のバス事故

2009-07-12 06:29:41 | Weblog
 高校野球の開会式に向かっていた柳ヶ浦高校野球部のバスが横転し、1人死亡42人が重軽傷を負った。

《11日午前8時半ごろ、大分県日出町の大分自動車道の日出ジャンクション(JCT)付近で、全国高校野球選手権の大分県大会開会式に向かっていた私立柳ケ浦高校(大分県宇佐市)の野球部員の控え選手など47人が乗った大型バスが横転し、2年生の吉川将聖(しょうせい)さん(16)が死亡、5人が骨折などの重傷、37人が軽傷を負った。県警は、自動車運転過失致傷の現行犯として、運転していた野球部副部長で同校教諭の不破大樹容疑者(26)=宇佐市江須賀=を逮捕した》=西日本新聞web=。

 この教諭は採用されたばかりで、大型免許も取り立てだという。何とも気の毒な事故だ。柳ヶ浦に限らず、名門と言われる学校のクラブは、遠征用に自前のバスをもっているケースが多い。運転するのはほとんどが監督やコーチである。

 何百㌔も走って、ゲームをして就かれも癒せないまま帰る。こんなことが繰り返されている。「事故を起こしたらどうするんだ」と某監督に指摘したことがある。「ほかに運転してくれる人がいますか。保護者に頼めば、別な問題が生じるし…。強くするには俺が頑張るしかない」。これが答えだった。

 2年ほど前には、埼玉で少年サッカーのバスの自動ドアが開き、子どもが転落死している。新潟県では強豪野球部のバスがエンジンから火を噴く事故もあった。

 部活バスは機材もぼろい場合が多い。知り合いの保護者などから中古(大古)車を安く譲ってもらったりするケースが多いせいだ。運転者の問題は深刻だ。大型免許を持つ保護者が当番で運転する例もあると言う。

 慣れない道、慣れない車で先を急げば事故の危険性は高まる。監督やコーチの場合は、遠征の結果を引きずってしまう恐れもある。

 日本中では何百、何千?という部活バスが走っているに違いない。多くは危険と隣りあわせだ。長距離の遠征を禁止するわけにもいかない。無理な日程を組まない~などと指導したところで気休めだろう。でも、このまま放置していて良いかとなれば、良くないと言うしかない。
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麻生クン、お疲れ様 

2009-07-11 06:27:49 | Weblog
 イタリア・ラクイラで開かれていたサミットが終わった。麻生首相の「使命」もこれにて終了ということになろう。明日の都議選後、麻生降ろしの強風が永田町界隈を吹き荒れるのは間違いない。

 それにしても、3年続けてサミットに臨む顔が違うなど日本ぐらいのものだ。これでは存在感など発揮しようもないし、他の7カ国から相手にもされない。だから、外務省もやる気がない。

 でも、麻生は一人元気だった。うるさいことを言う連中が居なくて、むしろほっとしたのかもしれない。不自然なほどの笑顔と饒舌は、「最後の晩餐」を自覚しているからなのか。

 いくら元気と外交通を装っても、しゃべりだすとたちまちぼろが出る。

 《この3日間、このイタリアのラクイラの地で、G8サミットの、また、その他の国々の参加を得て、関連の首脳会談に出席しました。その成果について申し上げます」

 第一に世界経済です。会議では私から日本経済の運営について、説明しました。すなわち、過去最大規模の景気対策を実施していること。同時に、中長期的な財政健全化への取り組みについてです。また、危機を克服した後の世界経済の持続的な成長の確保のために、世界的な経済収支の不均衡、いわゆるグローバル・インバランスの是正のために、米国の過剰消費の抑制、そして、黒字国、特に中国の内需主導型経済成長への転換などが必要であることなどを訴えました》=産経ニュース=

 官僚が用意した文章だろうが、これはひどい。何も言っていないに等しい。こんな一般論から始めてどうする。そもそも、アメリカが過剰消費に向かうなど、いつの話なのか。

 カナダとインドの首相を「大統領」と言い間違えたのはご愛嬌だが、地元イタリア紙の記者が日本語で質問したのに対して「あなた、日本語うまいねえ。どこで習ったの。日本の記者よりうまいぐらいだ」とは失礼に過ぎる。こんな言い方がジョークだと思っているのだろうか。

 サミット終了後の内外記者会見は、事前に質問ペーパーが出されていたのか。最初に質問したNHKの赤岩に答える際、麻生が視線を下に落としていたからだ。サミットの評価に関する、どうってことのない質問である。アドリブで答えても何の問題もない部分だ。

 以前、NHKの記者が森オットセイ首相に「答弁要領」をメモで教えていたことがあった。麗しき伝統はまだ続いているのだろうか。

 首相就任から10か月、よくもここまで持ったものだ。ひとえに優柔不断の力だろう。ご苦労様でした。都議選が終われば成仏できるでしょう。ゆっくりお休みください。お疲れさまでした。
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ウイグルはどうなる

2009-07-09 06:14:40 | Weblog
 ラクイラサミットに参加する予定だった胡錦濤が急遽帰国した。それほどウイグルでの騒乱に危機感を抱いているということだ。

  《中国の胡錦濤国家主席が開幕直前の主要国首脳会議(ラクイラ・サミット)拡大会合への出席をキャンセルして帰国するという異例の対応をみせたのは、新疆ウイグル自治区の大規模暴動への対応を誤れば、政権に重大な影響を与えるという強い危機感を抱いたからにほかならない。中国政府は10月の建国60周年の節目に向けて国内の引き締めを強めており、中国当局は一層、デモなどの封じ込めに乗り出すものとみられる》=毎日jp=。


 思い出すのは、昨年の春節豪雪で帰省列車のダイヤが大きく乱れたときの温家宝の獅子奮迅の活躍だ。ハンドマイクを手に駅頭に立った温は「政府が必ず何とかします」と叫んでいた。中国では、いつでも、どこでもぼやが火事になり、巨大な炎と鳴って燃え盛る危険性をはらんでいるということだ。

 まして、ウイグルは中国のアキレス腱だ。この処理を誤れば共産党帝国の土台ががたがたになる。指導部はそう考えているに違いない。

 チベットと異なるのは、民族間の対立が激しく物理的衝突に発展していることだ。こうなると政治や軍の力だけでの収拾は難しい。表面上の平静は保てても、火種を抱え込んだままでは、マッチを擦るまでもなく燃え上がる。


 《世界ウイグル会議は8日、中国新疆ウイグル自治区ウルムチの暴動で「600人から800人の死者が出ている」との見方を示した。ウルムチから寄せられた電話や電子メールの情報によるという。

 独南部ミュンヘンの本部で記者会見したイサ事務局長は、治安部隊による市民への弾圧だけでなく、漢族によるウイグル族への「便乗的な攻撃」が行われていると主張した。その例として、ウルムチの大学医学部で女子学生4人が殺されたほか、トラクター工場への襲撃で約150人が殺害されたとの情報があると明らかにした》=毎日jp=。

 テレビに映し出された漢族の青年らの格好を見ると、どちらかといえば中流以下の階層の人たちだ。漢族の間でも貧富の格差は広がっている。大卒の「転勤族」は羽振りがよく、地元の連中は現業職に甘んじる。こんなケースが多いらしい。不満がウイグル族へと向かうのだろう。

 開拓兵団が入ってきた半世紀も前から両者の反目は続いている。経済発展によって隙間が縮まるどころか、亀裂はますます大きくなった。おそらく修復は不可能だ。

 西域は昔から中国の鬼門である。

 

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また検察が暴走?

2009-07-08 20:50:42 | Weblog
 午後3時前、携帯のニュース速報が鳴り「神戸地検がJR西社長を在宅起訴」と伝える。警察から書類送検されていたことは知っていたが、現在の社長だけを起訴する処分になるとはとは予想外の展開だ。


 《107人が死亡、562人が負傷した05年4月のJR宝塚線(福知山線)脱線事故で、神戸地検は8日、96年の現場カーブ付け替え時に自動列車停止装置(ATS)の設置を怠り、事故を発生させたとして、JR西日本の山崎正夫社長(66)を業務上過失致死傷の罪で在宅起訴した。山崎社長は付け替え当時の常務取締役鉄道本部長。地検は、同社の安全対策を統括する最高責任者としての義務を果たさなかった過失があると判断した。

 鉄道事故で鉄道会社経営幹部が刑事責任を問われるのは極めて異例。山崎社長は地検の任意聴取に「運転士が制限速度をはるかに超えて急カーブに進入するとは思わず、事故を予測できなかった」と同罪の立証に必要な予見可能性を否定しており、公判でも全面的に争うとみられる》=朝日com=。


 あれだけの事故である。JRの責任を問うのはある意味で当然だ。だが、なぜ山崎だけが、という疑問が残る。起訴状が言うように、山崎はJR西の安全対策室長や鉄道本部長を務めていた。安全運転に関する責任者と言っていい。だが、それは事故の7年も前の話だ。その間大事故がなかったことを考えると、危険性の予見という検察の主張は、無理筋とも見える。

 問うべきは、JR西の企業体質そのものであり、とりわけ「日勤」に代表される過酷な労務管理の実態だ。ATS整備の遅れなども、環境を整えずに運転士の力量でカバーしようという企業風土の現れと見るべきだろう。


 気になるのは、検察の異様とも思える「被害者配慮」である。会見した次席は、「後日、処分内容について(被害者などに)説明会を開きます」と述べた。小沢の献金問題でも、こんな丁寧なことはしていない。

 邪推するに、検察が国民におもねっているのだ。世論や被害者感情を敵に回してはいけない。こうした配慮がどこかにありそうだ。

 なぜか。これも邪推だが、裁判員制度をにらんでいるのではないか。「検察はいつも正義の味方、国民の味方です」。こう宣伝したいのだ。

 今回の処分について最高検は起訴に難色を示したと伝えられる。実際法廷に立つ現場と偉いサンの感覚の違いだろう。足利事件の再審決定や小沢事件で、検察の威信は大きく揺らいでいる。このままでは裁判員制度にマイナスになる。まるでどこかの政党のようだが、貧すれば鈍するという点で一致しているのがおかしい。

 特定の勢力に配慮したり、国民の機嫌取りをする検察では困る。宝塚線事故についてJR西の企業責任を問うなら、正攻法で当時の経営陣を挙げるべきだ。スケープゴートを一人つくって、その場をしのぐのは邪道である。
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ウルムチ暴動

2009-07-07 05:45:03 | Weblog
 中国の西端、新疆ウイグル自治区のウルムチで大規模な暴動が起き、140人の死者が出た。ウイグル人を中心とする少数民族のデモが発火点らしい。


 《中国新疆ウイグル自治区の区都ウルムチで5日発生したウイグル族による暴動で、新華社通信は6日、一般市民ら140人が死亡、少なくとも828人が負傷したと伝えた。

 当局発表で死者約20人を出した昨年3月のチベット暴動を上回る、近年では最大規模の民族衝突となった。

 AP通信によると同自治区西部のカシュガルでも6日午後、ウイグル族ら300人以上がデモを行った。暴動が広がる懸念もある。

 ウルムチ中心部に6日夕、記者(牧野田)が入った。自動小銃やこん棒を持つ数百人の武装警察部隊が通りに並び、遠巻きに見守る住民を威圧していた。「そこで立ち止まるな」という怒号が響くたびに、住民がびくっと振り返った。

 暴動は、5日深夜までに鎮圧されたが、タクシーなど車両計261台が放火されたほか、商店203店や住宅14棟も襲撃を受けた》=読売ONLINE=。


 地図を開いてみれば分かることだが、ウイグルは極めて微妙な地域にある。キルギスやタジク、アフガンなどと接していて、非公認の人的交流もあるといわれる。

 人民中国の建国後、漢民族による地域支配が始まる。ここに送り込まれた解放軍は、「帰国に及ばず。その地で自活せよ」との命を受け、死に物狂いで砂漠、土漠と格闘して、街と農地を切り開いたのだ。

 当然、現地の少数民族は追い払われる。この繰り返しで半世紀がたち、いまや区の人口は2000万人を超える。

 前史はさておき、暴動の発端は少数民族の挑発にあると見るのが正解だろう。軍や武警は民族主義的な行動に神経を尖らせている。少し騒げば大弾圧に乗り出してくる。こうした読みから、ネットで決起を呼びかけたのではないか。

 砂漠と山を行き来する遊牧民の地だったウイグルは、文字通りの辺境で経済的にも恵まれていなかった。それが近年、資源ブームや一部工業都市の隆盛により、「区内格差」の拡大となって噴き出してきた。

 富める中国人と貧しい少数民族の構図があからさまになってきたのだ。

 ウイグルは中国の火薬庫である。ここが暴発すればチベットなどでどんな連鎖反応が起きるか分からない。中国政府が抑え込みに躍起になるのはこのためだ。

 ウイグル族は区の人口の半数、約1000万人を数える。これが流動化したら、とんでもない事態になることは間違いない。
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新城、ステージvも夢じゃない

2009-07-06 06:20:10 | Weblog
 ツール・ド・フランスに挑戦している新城幸也が、いきなり第2ステージで同タイムの5位に食い込んだ。あの今中大介でもステージ一ケタ順位はなく、全コースの完走も果たせなかった。新城君がどこまで走ってくれるか、楽しみだ。

 《世界最高峰の自転車ロードレース、ツール・ド・フランスは5日、モナコ-ブリニョール(187キロ)の第2ステージを行い、新城幸也(ブイグテレコム)が5番手でゴールした。順位が確定すれば日本選手として同レースのステージ最高順位となる。

 マーク・カベンディッシュ(英国)が第2ステージを制した。総合トップは北京五輪金メダリストのファビアン・カンセララ(スイス)が守った》=共同=。

 第1ステージのタイムトライアルでは、新城はトップに2分遅れの127位、別府はさらに約1分遅かった。初日とセカンドステージの落差が大きい。実力はこの中間ぐらいと見ればいいのか。

 山岳コース以外は日本人でも勝負できるかもしれない。200キロあっても、本気で競り合うのはその数分の1の距離だからだ。新城も別府もチームのエース格ではあるまい。完走が危ぶまれる部類だ。「話題の日本人だ。疲れないうちに勝負させてやろう」。チームがこんな戦略を立てても不思議はない。

 二人がゴールスプリントに顔を出せるのは、前半戦に限られる。精一杯駆けて、ステージ優勝をもぎ取ってほしい。
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格闘技と死亡事故

2009-07-05 14:47:08 | Weblog
 プロレスの三沢がリング上で壮絶な最期を遂げてから、格闘技の危険性に警鐘を鳴らし、事故防止への動きが高まっている。

 《プロレスラーの三沢光晴さん(46)が13日に広島市内での試合中に事故死したことを受けて、プロレス大手3団体が18日、自民党の文部科学部会・文教制度調査会合同会議に出席し、再発防止や健康管理について意見交換を行った》=毎日jp=

 《今年3月、ボクシングの日本ミニマム級王座決定戦で敗者が死亡し、勝者も引退に追い込まれた異例の事故を受け、日本ボクシングコミッション(JBC)などが、試合中の健康確認や検診体制の強化など、リング禍根絶に向けた対策に動き出した。ただ、今までも様々な対策を作りながら、死亡事故に歯止めはかかっていない。今回の動きが、決定打になるかは未知数だ》=朝日com=

 リングで命を落とす事故を防ぎたいと思うのは万人に共通だろう。「こんな危険な競技は禁止すべきだ」と考える人がいるかもしれない。

 人と人が素手で殴りあい、取っ組み合う格闘技は、最も古いスポーツの1つだ。これらの戦いで一体どのくらいの数の命が失われたのだろう。数百数千で済むかどうか。

 ボクシングではベアナックルが禁止され、グローブも次第に重くなりいまや最低でも8オンスが求められる。ラウンド数が減らされてきたのも、危険防止と健康管理のためだ。

 プロレスの死亡事故は大抵が受け身の取りそこないだ。経験不足な若いレスラーの場合が多いが、三沢のようなベテランのケースもある。格闘技が多様化し、過激さを競っていることと、事故の多発は無関係ではないだろう。

 プロレス関係者の間からは組織統一の話が出ているという。

 《現在、プロレス団体は全国に約40団体あるとされるが、業界を統括する組織がないため、プロレスラーと認められる基準がなく、選手の健康管理も各団体任せとなっている。会議後、全日社長で現役プロレスラーの武藤敬司さん(46)は「統一的な協会をつくるのが、プロレスの発展になると思う」と話した》毎日jp=

 ボクシングでは世界組織が増える一方だ。プロレスは「伝統プロレス」に加えUWFなどの総合格闘技系団体が入り乱れて、わけが分からない。組織統一は結構だが、興行の世界は一筋縄ではいかない。

 死亡事故を減少させる工夫は必要だが、行過ぎた規制には反対だ。究極の強さや速さ、美しさは「死」と隣り合わせにあるからではないか。F1やスキーのジャンプや滑降、ダイビングなどがその典型だ。

 個々が技量を磨くのが事故防止の最善策だ。そのレベルに達したかどうかを見極めるのは競技団体の役割だ。もちろん試合前の健康診断などは、脳波検査をはじめ徹底して行うべきだ。

 コースやリングに散った命は、「本望」と感じているのではないか。安直に規制を考えるべきではない。

 
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麻生とメディアの「迷走二人三脚」

2009-07-02 05:49:51 | Weblog
 麻生首相も自民党も大新聞も、一体どうなっているのだろう。迷走に続く迷走を繰り広げ、最後には開き直る。政界は妖怪の棲家だと思っていたら、いつの間にか本丸が溶解していた。一度や二度の選挙で体質改善などできそうもない。困ったことだ。

 「首相、来週にも党役員人事」「首相、党役員人事を断念」「首相、人事断行の意向」「首相、党人事を断念」 これは6月27日以降、今月2日付けまでの朝日新聞の見出しである。

 麻生のぶれを指摘する前に、この紙面の大揺れについてきちんと釈明すべきではないか。見出しの変遷に象徴される、報道内容の混乱は何に由来するのか。想像は付くが、これはメディア自身が解説しなければならない問題だ。他人に説明責任を求めるだけでは、信頼と権威? を失墜させるだけだろう。

 迷走の原因の最たるものは、麻生の優柔不断さと実行力の乏しさである。でも、こんなことは就任以来分かっていることだ。そんな麻生が言うことを真に受けてはいけない。子どもでも分かりそうなことが、なぜメディアで常識化されないのか。

 1日の会見で麻生は「(党役員人事について)私の口からただ一言も『やる』と聞いた人はいないと思う」と述べている。各紙に目を通したが、これに対する反論はない。こんなことを言われて、黙って引き下がる記者とは何なのか。

 もっとも、かの大先生も君臨されるようなメディアには、もっと深謀があるのかもしれない。麻生が観測気球的に漏らした一言を、針小棒大に党内にいい回り、反感を煽り立てて麻生の意図をくじく、などの作戦である。

 1日付けの毎日が1面で報じた「東国原 入閣で調整」などがその代表格だ。

 いろいろな動きを伝えるのはメディアの役割だ。確定的でない情報でも、動きとして伝えることに価値があるケースは多い。だが、今回の自民党人事をめぐる一連の報道は、推測と思惑だけでつくり上げた「妄想報道」というべきだ。

 「どす黒いまでの孤独」とは麻生の名せりふ? だが、メディアの迷走を見ているとそれが本当だとよく分かる。だれも麻生の直接取材をしていない。会見やぶら下がりで、埒もない質問を繰り返しているだけだ。

 かくして、麻生とメディアの迷走二人三脚は、退陣まで続くことになる。
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