酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

ウイグルはどうなる

2009-07-09 06:14:40 | Weblog
 ラクイラサミットに参加する予定だった胡錦濤が急遽帰国した。それほどウイグルでの騒乱に危機感を抱いているということだ。

  《中国の胡錦濤国家主席が開幕直前の主要国首脳会議(ラクイラ・サミット)拡大会合への出席をキャンセルして帰国するという異例の対応をみせたのは、新疆ウイグル自治区の大規模暴動への対応を誤れば、政権に重大な影響を与えるという強い危機感を抱いたからにほかならない。中国政府は10月の建国60周年の節目に向けて国内の引き締めを強めており、中国当局は一層、デモなどの封じ込めに乗り出すものとみられる》=毎日jp=。


 思い出すのは、昨年の春節豪雪で帰省列車のダイヤが大きく乱れたときの温家宝の獅子奮迅の活躍だ。ハンドマイクを手に駅頭に立った温は「政府が必ず何とかします」と叫んでいた。中国では、いつでも、どこでもぼやが火事になり、巨大な炎と鳴って燃え盛る危険性をはらんでいるということだ。

 まして、ウイグルは中国のアキレス腱だ。この処理を誤れば共産党帝国の土台ががたがたになる。指導部はそう考えているに違いない。

 チベットと異なるのは、民族間の対立が激しく物理的衝突に発展していることだ。こうなると政治や軍の力だけでの収拾は難しい。表面上の平静は保てても、火種を抱え込んだままでは、マッチを擦るまでもなく燃え上がる。


 《世界ウイグル会議は8日、中国新疆ウイグル自治区ウルムチの暴動で「600人から800人の死者が出ている」との見方を示した。ウルムチから寄せられた電話や電子メールの情報によるという。

 独南部ミュンヘンの本部で記者会見したイサ事務局長は、治安部隊による市民への弾圧だけでなく、漢族によるウイグル族への「便乗的な攻撃」が行われていると主張した。その例として、ウルムチの大学医学部で女子学生4人が殺されたほか、トラクター工場への襲撃で約150人が殺害されたとの情報があると明らかにした》=毎日jp=。

 テレビに映し出された漢族の青年らの格好を見ると、どちらかといえば中流以下の階層の人たちだ。漢族の間でも貧富の格差は広がっている。大卒の「転勤族」は羽振りがよく、地元の連中は現業職に甘んじる。こんなケースが多いらしい。不満がウイグル族へと向かうのだろう。

 開拓兵団が入ってきた半世紀も前から両者の反目は続いている。経済発展によって隙間が縮まるどころか、亀裂はますます大きくなった。おそらく修復は不可能だ。

 西域は昔から中国の鬼門である。

 

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