酔眼独語 

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ウルムチ暴動

2009-07-07 05:45:03 | Weblog
 中国の西端、新疆ウイグル自治区のウルムチで大規模な暴動が起き、140人の死者が出た。ウイグル人を中心とする少数民族のデモが発火点らしい。


 《中国新疆ウイグル自治区の区都ウルムチで5日発生したウイグル族による暴動で、新華社通信は6日、一般市民ら140人が死亡、少なくとも828人が負傷したと伝えた。

 当局発表で死者約20人を出した昨年3月のチベット暴動を上回る、近年では最大規模の民族衝突となった。

 AP通信によると同自治区西部のカシュガルでも6日午後、ウイグル族ら300人以上がデモを行った。暴動が広がる懸念もある。

 ウルムチ中心部に6日夕、記者(牧野田)が入った。自動小銃やこん棒を持つ数百人の武装警察部隊が通りに並び、遠巻きに見守る住民を威圧していた。「そこで立ち止まるな」という怒号が響くたびに、住民がびくっと振り返った。

 暴動は、5日深夜までに鎮圧されたが、タクシーなど車両計261台が放火されたほか、商店203店や住宅14棟も襲撃を受けた》=読売ONLINE=。


 地図を開いてみれば分かることだが、ウイグルは極めて微妙な地域にある。キルギスやタジク、アフガンなどと接していて、非公認の人的交流もあるといわれる。

 人民中国の建国後、漢民族による地域支配が始まる。ここに送り込まれた解放軍は、「帰国に及ばず。その地で自活せよ」との命を受け、死に物狂いで砂漠、土漠と格闘して、街と農地を切り開いたのだ。

 当然、現地の少数民族は追い払われる。この繰り返しで半世紀がたち、いまや区の人口は2000万人を超える。

 前史はさておき、暴動の発端は少数民族の挑発にあると見るのが正解だろう。軍や武警は民族主義的な行動に神経を尖らせている。少し騒げば大弾圧に乗り出してくる。こうした読みから、ネットで決起を呼びかけたのではないか。

 砂漠と山を行き来する遊牧民の地だったウイグルは、文字通りの辺境で経済的にも恵まれていなかった。それが近年、資源ブームや一部工業都市の隆盛により、「区内格差」の拡大となって噴き出してきた。

 富める中国人と貧しい少数民族の構図があからさまになってきたのだ。

 ウイグルは中国の火薬庫である。ここが暴発すればチベットなどでどんな連鎖反応が起きるか分からない。中国政府が抑え込みに躍起になるのはこのためだ。

 ウイグル族は区の人口の半数、約1000万人を数える。これが流動化したら、とんでもない事態になることは間違いない。
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