酔眼独語 

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また検察が暴走?

2009-07-08 20:50:42 | Weblog
 午後3時前、携帯のニュース速報が鳴り「神戸地検がJR西社長を在宅起訴」と伝える。警察から書類送検されていたことは知っていたが、現在の社長だけを起訴する処分になるとはとは予想外の展開だ。


 《107人が死亡、562人が負傷した05年4月のJR宝塚線(福知山線)脱線事故で、神戸地検は8日、96年の現場カーブ付け替え時に自動列車停止装置(ATS)の設置を怠り、事故を発生させたとして、JR西日本の山崎正夫社長(66)を業務上過失致死傷の罪で在宅起訴した。山崎社長は付け替え当時の常務取締役鉄道本部長。地検は、同社の安全対策を統括する最高責任者としての義務を果たさなかった過失があると判断した。

 鉄道事故で鉄道会社経営幹部が刑事責任を問われるのは極めて異例。山崎社長は地検の任意聴取に「運転士が制限速度をはるかに超えて急カーブに進入するとは思わず、事故を予測できなかった」と同罪の立証に必要な予見可能性を否定しており、公判でも全面的に争うとみられる》=朝日com=。


 あれだけの事故である。JRの責任を問うのはある意味で当然だ。だが、なぜ山崎だけが、という疑問が残る。起訴状が言うように、山崎はJR西の安全対策室長や鉄道本部長を務めていた。安全運転に関する責任者と言っていい。だが、それは事故の7年も前の話だ。その間大事故がなかったことを考えると、危険性の予見という検察の主張は、無理筋とも見える。

 問うべきは、JR西の企業体質そのものであり、とりわけ「日勤」に代表される過酷な労務管理の実態だ。ATS整備の遅れなども、環境を整えずに運転士の力量でカバーしようという企業風土の現れと見るべきだろう。


 気になるのは、検察の異様とも思える「被害者配慮」である。会見した次席は、「後日、処分内容について(被害者などに)説明会を開きます」と述べた。小沢の献金問題でも、こんな丁寧なことはしていない。

 邪推するに、検察が国民におもねっているのだ。世論や被害者感情を敵に回してはいけない。こうした配慮がどこかにありそうだ。

 なぜか。これも邪推だが、裁判員制度をにらんでいるのではないか。「検察はいつも正義の味方、国民の味方です」。こう宣伝したいのだ。

 今回の処分について最高検は起訴に難色を示したと伝えられる。実際法廷に立つ現場と偉いサンの感覚の違いだろう。足利事件の再審決定や小沢事件で、検察の威信は大きく揺らいでいる。このままでは裁判員制度にマイナスになる。まるでどこかの政党のようだが、貧すれば鈍するという点で一致しているのがおかしい。

 特定の勢力に配慮したり、国民の機嫌取りをする検察では困る。宝塚線事故についてJR西の企業責任を問うなら、正攻法で当時の経営陣を挙げるべきだ。スケープゴートを一人つくって、その場をしのぐのは邪道である。
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