酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

やっと解散だ

2009-07-22 05:22:06 | Weblog
 ようやく衆議院が解散された。前回選挙から丸4年、任期満了と日程的にはほぼ同じで、麻生が惨敗を覚悟で解散を断行する意味はほとんど見当たらない。

 1週間の予告期間があったのに、未だうまいネーミングがないのもこの解散の無理筋振りをうかがわせる。「政権選択解散」? 総選挙は常に政権選択を賭けて戦われる。敢えてそう名付けるのは、政権交代が現実味を帯びてきたということだろうが、郵政解散同様にワンイシュー選挙に陥る危険をはらむ。「自爆解散」「やけくそ解散」あたりが妥当だろう。爺さまになぞらえた「バカタロウ解散」は、いくらなんでも可愛そうだ。

 自民党のダメぶりを象徴したのが解散に先立って開かれた両院議員懇談会とその後の代議士会の緊張感のなさだ。議員懇は一部から苦言が出たものの、西川京子や大村秀章らによる「一致結束」の絶叫でチョン。「総理のご決断で公開が実現した」懇談会そのものが、下手なパフォーマンスの場だったということだ。

 《自民党は21日午前、麻生首相(自民党総裁)も出席して、党本部で両院議員懇談会を開いた。

 首相は冒頭、自らのこれまでの失言や、政策立案などで指摘された「ぶれ」について「国民に政治に対する不安、不信を与え、党の支持率低下につながった。深く反省している」と述べた。さらに、東京都議選など一連の地方選での敗北に関して「多大な迷惑をおかけし、力不足を申し訳なく思っている」と陳謝し、その上で、衆院選への決意を表明した。

 これに対し、9人の議員が発言した。高市早苗氏(奈良2区)が「首相は『自民党株式会社』の経営に手を抜いていた。どういう商品を売るのか、マニフェスト(政権公約)を早く示してほしい」と苦言を呈したが、激しい首相批判は出なかった。

 一方で党内の「麻生降ろし」の動きに対し、西川京子氏(福岡10区)らから「相手を利することで、ナンセンス」との批判が相次いだ。古賀選挙対策委員長は「今の民主党が平和を約束する政党と言えるか。自民党しか平和を約束出来る党はない」と訴えた。

 首相は最後に、目に涙をためて「開かれた形で、ここに一致結束はできあがった」と締めくくった。

 自民党は21日になって、両院議員懇談会を報道陣に公開することを決めた》=読売ONLINE=。

 なぜ麻生は泣いたのか。「よくも解散できたなあ」だろう。「俺が意地を張ったおかげで、このうちの多くが討ち死にする。申し訳ない」かもしれない。でも、出陣前に大将が泣くようでは負け戦と決まっている。2000年の加藤の乱を思い浮かべればいい。

 代議士会はもっと醜かった。あの中川秀直が、鼻の下を伸ばして麻生に握手を求めた。信念も矜持もあったものではない。

 もう1つ、昨日のシーンで印象に残ったのは引退する小泉純一郎の去り際だ。「何か一言」とマイクを向けられたが、薄ら笑いを浮かべて無言。車に乗り込む直前、最後に何かと改めて問われて「お世話になりました」と頭を下げた。

 仮面の宰相が仮面を外すとこんなものなのか。4半世紀以上勤め上げた国会を去るに当たって何も言葉がないとは理解できない。小泉は首相を演じ、楽しんでいただけなのだ。お楽しみは終わった、後は野となれ、ということだろう。息子ともども芸能界こそ落ち着くにふさわしい場だ。

 投票日まで40日は長い。いまの民主党圧勝ムードがこのまま続くとは限らない。自民党逆転の秘策は、特大スキャンダルの暴露しかない。そうした意味では、検察、警察の動向からも目を離せない。外圧頼みの一発があるかもしれない。

 歴史の転換点での歴史的選挙だというのに、骨太の展望より足の引っ張り合いに終始しそうなのが残念だ。もっとも、日本の政治レベルはそんなものか。
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