酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

「1000円煙草」論の胡散臭さ

2008-06-17 05:47:03 | Weblog
 超党派の国会議員でつくる「たばこ議連」が煙草税の大幅引き上げを主張、波紋を広げている。数兆円をひねり出して社会保障費に当てようという狙いらしい。

 議論が倒錯している、煙草は有害であり、税を引き上げても世論は納得する。税金が入ってくるうえ国民の健康増進にもつながる。と言えば聞こえはいい。だが、実体は消費税アップを先送りするためのごまかしだ。

 こんな見え透いた議論に朝日新聞や毎日新聞がエールを送っている。信じがたいことである。

 朝日は日本の煙草が野放しに近い状態になっていると憂い、諸外国に比べて値段が安すぎると憤慨する。『「千円たばこ」はこうした現状を大きく変えるきっかけになる。この水準まで価格が上がれば、8~9割が禁煙を考える…』と述べる。
 
 これはたばこ増税に便乗したたばこ退治の論である。税収を増やそうという議連の趣旨とは異なる。目的のためなら手段は問わないということなのだろうか。

 毎日は「社説」では意見がまとまらなかったためか署名入りの「視点」だ。

 「嗜好(しこう)品であるたばこの大幅な値上げには、愛煙家らから反論や批判もあることは承知の上で、あえて、たばこの値上げを支持したい」

 「1000円になれば、喫煙者は間違いなく減るとみられている。特に、若い人が買わなくなる意味が大きい。医療費や職場の環境対策などに使われる巨額な費用も節減できる。他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙問題の解消にもつながる」

 たばこの害を説き、値上げを訴える人に説明してほしいのは、なぜ煙草を禁止にしないのかということだ。食品添加物などでは発ガン物質は厳しく規制される。たばこがそれほどの害毒を撒き散らすなら、全面禁止を叫ぶのが筋であろう。

 嗜好品などと持ち上げるのは税金を召し上げる魂胆にほかならない。

 そもそも、煙草は民間会社が製造していた。戦費調達に苦しんでいた明治政府が強引に官営化し売り上げと税金の二重取りを編み出したのだ。

 やがて煙草は専売制が敷かれ、国営化する。時代の流れでいまはまたJTという「民間会社」に移ったが、煙草税をいじるときは政策の失敗か特別にカネが入用なときである。煙草は国策に踊らされてきたのだ。

 喫煙者をどう減らすかと、煙草税の引き揚げは全くかみ合わない。毒物を売って税金を得るなど「死の商人」のやることだ。税は税、禁煙運動は禁煙運動と整理して論議してほしい。
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