酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

秋葉原通り魔事件

2008-06-09 05:15:08 | Weblog
 人の集まるところは危険だ。これはバグダッドの法則である。人が大勢いることが爆弾テロの条件となる。

 この法則が日本でも当たり前になっているとしたら恐ろしい。秋葉原の惨劇を伝えるTVを見ながら、まずそう思った。

 無差別に人を殺したいと思い込んでいる人がいる。少数ではあろうが、極めて特異な存在ではなくなった。3ヶ月前の荒川沖駅事件を想起すればいい。

 7年前の大阪池田小事件も、「大きなことをやりたかった」が動機の一つだった。

 秋葉原の事件は、通り魔事件としては過去30年間で最大の犠牲者を出したといわれる。これから犯人像や事件の背景などについて、さまざまな「解説」が出てくるだろう。だが、また隔靴掻痒の論を積み重ねることに終始するに違いない。

 事件を起こした25歳の派遣社員は「生活に疲れた」「誰でもいいから殺したかった」などと供述しているらしい。25歳で生活に疲れてしまう。どんな25年間を過ごしてきたのか。

 「生活に疲れた」ことと「誰でもいいから殺す」をつなぐ回路が見当たらない。大事件を起こして華々しい最期を遂げるということなのか。

 静岡からわざわざトラックで上京し、秋葉原のホコ天に突っ込む。犠牲者を確実に増やしたいという意図が見える。サバイバルナイフを手に猛ダッシュで刺しまくった。大人が7人も亡くなった。ナイフを腰だめにして体ごとぶつかっていったのではないか。振り回しただけではこんなに犠牲者は出ない。

 時事通信がこんなことを伝えている。

  《秋葉原の通り魔事件をめぐり、携帯電話のネット掲示板で、事件発生の約7時間前に「秋葉原で人を殺します」などと犯行予告とも取れる書き込みがあったことが8日、分かった。
 書き込みは、8日午前5時20分に「秋葉原で人を殺します」とのタイトルで記載。「車でつっこんで、車が使えなくなったらナイフを使います みんなさようなら」と書かれており、事件に酷似した内容だった。
 別のインターネット掲示板「2ちゃんねる」では、5月27日の書き込みで「秋葉原で大惨事」とのタイトルとともに、「6月5日以降絶対事件起こるだろうから先に立てとくね」との記述も見つかっている》

 容疑者の書き込みかどうかはいまのところ判然としない。だが、その可能性はある。白いジャッケットといういでたちに、決意が表れていたようにも見える。

 秋葉原にしろ荒川沖駅にしろ、社会から阻害された若者が引き起こした事件であることは間違いない。容疑者に同情する気はさらさらない。でも、この種の事件は増えこそすれ、減ることはあるまい。爆弾を抱えた青年層が世の中に満ちているからだ。

 政府も自治体も企業も、若者の雇用対策などといいながら派遣や請負を押し付けている。「ちゃんとした会社」に入れば入ったで、ノルマと残業で締め付けられて壊れる寸前だ。こういう層が例外ではなくなっている。

 しかも、これらの人たちはまとまって不満を言うすべを持たない。どこかでキレルか爆発してしまう。無差別殺人も硫化水素自殺も同根ではないか。爆発の形態が異なるだけのように見える。

 
コメント
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