酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

金正日の高笑いが聞こえる

2008-06-27 05:46:10 | Weblog
 北朝鮮が6カ国協議の議長国である中国に、核計画を申告した。これを受けてブッシュ大統領は20年ぶりとなる北朝鮮へのテロ支援国家指定解除手続きに入った。福田首相は「核計画の申告は、拉致問題解決への一歩になる」と述べた。

 きのうの流れをざっとおさらいすると、こうなる。米朝協議によってお膳立てが出来上がり、日本がそれについていく。一連の協議や交渉は、すべてこの日のために行われていたということがよく分かる。

 「拉致問題をお忘れなく」は日米が話し合うときの時候の挨拶代わりのようなものだった。

 「北」核計画の凍結と解体は北東アジアと世界の安全保障にとって極めて重要な意味を持つ。今回の申告が解体へのプロセスに組み込まれているなら、大きな一歩と言えよう。だが、そこはまだ未知数だ。大騒ぎの末に挫折したKEDOを思い出せばいい。北はこれからも、一つ手続きを行うたびに、何らかの要求を出してくることは間違いない。そうしてずるずると援助を拡大していく。またいつものパターンにはまりそうだ。

 もっとも、テロ支援国家指定はアメリカが勝手にやっていることだ。根拠や条件があいまいで、先制攻撃の口実にもなっている物騒な代物だ。日本が対北政策の根幹をアメリカに委ねている以上、「どこまでも付いて行きます下駄の雪」である。踏みつけられながらも、追随するしかない。

 問題は「拉致問題は忘れない」と話したブッシュも「テロ支援国家指定を解除しないよう求め続けていく」とした福田も、本心では「核優先」を決め込んでいたのに拉致被害者の家族や日本国民に嘘をつき続けたことだ。


 政治は時に冷酷である。だが情を失った政治は必ず見放される。冷徹な論理と人間としての情愛のバランスを取りながら進んでいくのが政治家である。ブッシュも福田も三流以下の政治家だから、多くの望む方が間違いだったということだ。

 福田政権が一気に弱体化する可能性が出てきた。ナショナリズムが絡む反発だけに民主党相手とは訳が違う。以前のブログで述べたように、ブッシュはとっくに福田を見限っている。頼みの中国は地震と五輪で日本になど構っている余裕はない。そして福田は国内でも国際的にも孤立する。

 洞爺湖サミットに集う顔触れは半死半生ともいえる方々である。完全にレームダック化したブッシュ、支持率最低のブラウン、品のなさが際立つサルコジ、南北対立に何の手も打てないベルルスコーニ、プーチンの手のひらで踊るメドベージェフ、そして我らが福田さんである。

 8カ国首脳が「ああでもない、こうでもない」と言い合うのを、隣で眺めて高笑いするのが金正日将軍だ。次のゲームの構想が頭の中を駆け巡っていることだろう。

 そうした状況が予見されるだけに拉致被害者家族会などが反発を強めているのも無理はない。飯塚繁雄代表は「拉致問題解決に向けて大きな後退。家族を助け出せなくなる恐れが十分ある。なぜ政府は、テロ支援国家指定の解除は絶対に困るという強い態度を示せなかったのか」と話している。

 この点を政府はどう言い抜けるのか。中山恭子の説明ぐらいでは収まるまい。頭を下げるのが下手な福田では火に油を注ぎかねない。安倍と山崎拓のさや当ても激化しそうだ。暑い夏になるかもしれない。
コメント
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