2017年10月20日公開 フランス=アメリカ 132分
ワシントンD.C.で、スパーリング上院議員(ジョン・リスゴー)による聴聞会が開かれていた。召喚されているのは、敏腕ロビイストとして名高いエリザベス・スローン(ジェシカ・チャステイン)。大手ロビー会社、コール=クラヴィッツ&W在職中に手がけた仕事で不正を行っていたとされ、その真偽が問われている。聴聞会から遡ること、3ケ月と1週間前。エリザベスは、コール=クラヴィッツ&Wの花形ロビイストだった。勝つためには手段を選ばず、一切の妥協を許さない仕事ぶりはクライアントから高く評価され、政府やメディアからも一目置かれる存在だった。エリザベスは、銃擁護派団体からの仕事を依頼されていた。新たな銃規制法案に対し、女性の銃保持を認めるロビー活動で、廃案に持ち込んでくれというのだ。団体の代表者は議員たちにも強い影響力をもつ人物だが、エリザベスは彼の目の前でその仕事をきっぱりと断る。その結果、上司のデュポン(サム・ウォーターストン)から、「依頼を断るなら、君にいてもらう必要はない」と言い渡される。その夜、パーティに出席したエリザベスは、銃規制法案の成立に尽力する小さなロビー会社のCEO、シュミット(マーク・ストロング)から、自分と一緒に闘わないかと誘いを受ける。次の日、エリザベスは部下を引き連れ、シュミットの会社へ移籍。奇策ともいえる戦略によって、形勢を有利に変えていく。だが、巨大な権力をもつ銃擁護派団体や元同僚も負けてはいない。エリザベスの過去のスキャンダルが暴かれ、スタッフに命の危険が迫るなど、事態は予測できない方向へ進んでいく……。(公式HPより)
天才的な戦略を駆使して政治を影で動かすロビイストの知られざる実態に迫った社会派サスペンス。ロビイストといえば個人的には「サンキュー・スモーキング」という映画を思い出しますが、口八丁手八丁で世論を操る彼らの頭脳戦に舌を巻き、最後はスカッとする結末でしたが、今作はより強烈なインパクトがあります。
ヒロインのリズは真紅のルージュにブランド服とハイヒールに身を包む美女。天才的閃きと驚異の決断力を持ち、一切の妥協を許さない姿勢は、敵味方問わず畏怖される存在です。寝る時間も惜しい彼女は薬(精神刺激薬)を常用しプライベートを持たず、欲望はエスコートサービスで代用するというその強烈な個性に終始目が離せませんでした。
味方も信用せず、常に複数のプロットを想定し、時に非合法な手段も顧みない姿は凄みすら感じさせます。エスコートサービスに束の間の安らぎを求めるリズですが、その行為自体が諸刃の剣だなぁとみていると、案の定窮地に立たされる展開に ところが、証人に立った「彼」は偽証罪を承知で否定するんですね。彼はリズの奥底の孤独を理解し庇ったのかな
スタッフの一人であるエズメ(ググ・バサ=ロー)の触れられたくない「銃乱射事件の生き残り」という過去すら、リズは利用します。超えてはいけない一線に敢えて踏み込む行為は人として許されないけれど、ロビイストとしての戦略では「あり」なんですね
銃規制法案を巡るロビー活動の攻防には巧妙な罠も仕掛けられますが、赤裸々な自身のプライベートさえも彼女は逆手にとって利用します。一瞬先も読めないロビイストたちの闘いはスリリングで惹きつけられます。
盗聴のためのハイテク生物なんてものも登場し、決別した筈の元部下まで実はリズの持ち駒だったというのだから恐れ入ります
彼女のやり方は褒められたものではありませんが、自ら犠牲を払ってまでも法案を潰し目的を達したその結果は称賛すべきでしょう。そして全てを見通して行動したリズの聡明さと類まれな精神力にもね
日本にもリズのような強烈なロビイストがいたら政治も少しは変わるかしら