杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

怪物の木こり

2024年04月28日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2023年12月1日公開 118分 PG12

「怪物の木こり」という絵本に出てくる怪物の仮面を被った犯人が斧で相手の頭を割り、脳を奪い去るという連続猟奇殺人事件が発生。犯人は次のターゲットに弁護士の二宮彰(亀梨和也)を定めた。しかし二宮の本性は、犯人をも上回るほどの冷血非情なサイコパスだった。犯人はなぜ脳を奪い、なぜ二宮を標的にしたのか。事件の捜査が進められるなかで、警視庁の天才プロファイラー・戸城(菜々緒)、二宮の婚約者の映美(吉岡里帆)、二宮の協力者で自身もまたサイコパスの外科医・杉谷(染谷将太)、そして過去の殺人事件の容疑者・剣持(中村獅童)ら、さまざまな人物の思惑が複雑に絡み合い、事態は次第に混迷していく。(映画.comより)


2019年第17回『このミステリーがすごい!』大賞受賞の『怪物の木こり』(倉井眉介/宝島社文庫を三池崇史監督のメガホンで実写映画化したサイコスリラーです

二宮は、マンション地下駐車場で 怪物のマスクを被った男に襲われ、頭部を手斧でかち割られそうになりながらも九死に一生を得ます。男を探し出し必ず殺してやると決意する二宮自身がサイコパスなんですね。
一方、殺害し脳を持ち去る「脳泥棒」の猟奇事件が連続して起こり、捜査一課とプロファイラーの戸城嵐子たちが捜査する中で、26年前に起きた「 東間事件」が関係していることが浮かび上がります。戸城と組む乾刑事(渋川清彦)は暴力行為で更迭された粘着妄執型のサイコパスとして描かれています。

26年前に静岡県で起きた児童連続誘拐殺人事件で、脳神経医だった東間 翠が誘拐した子どもたちに脳チップを埋め込む人体実験を行い、屋敷からは手術に耐えられなかった幼児15人の遺体が見つかり、翠は自殺していました。その目的は、サイコパスの子どもを生み出して児童養護施設に送り込み、観察することでした。東間夫妻の息子がサイコパスだったのが動機のようですが、どう繋がるのか理解できませんでした😆 

頭部を怪我した二宮は、手当をした医師から頭に脳チップが埋められていることを指摘されます。この時点で彼はその事実を知りませんでした。
それまでは殺人に罪悪感を持たず他人に共感することも出来なかった彼に変化が生じます。虐待されていた子どもを見て動揺したり、利害関係だけの婚約者に対して温かな感情が芽生え始めたり・・・サイコパス仲間のる脳神経外科医・杉谷九朗は、彼の脳のCT画像を見て脳チップが怪我により損傷したことが原因と指摘します。二宮は
東間の被害者だったのです。チップが機能しなくなったことで彼は共感能力を取り戻しつつありました。

一方、被害者全員が児童養護施設出身で性格や行動に問題があったこと、被害者の一人に脳チップが埋め込まれていた事実を突き止めた警察は、脳泥棒の狙いが脳チップで、被害者たちは「東間事件」で誘拐された子供たちだと考えます。

「脳泥棒」と「東間事件」が繋がっていると気付いた二宮に、拉致された映美の画像が貼付されたメールが送られてきます。
杉谷に助けを求めようとした二宮ですが、あることに気付いて『怪物の木こり』の絵本を取り出します。その中の一節に目を留めた彼は「脳泥棒」の正体に気づくのです。

ここからネタバレ



脳泥棒の正体は、東間事件で最初に誘拐された剣持武士でした。映画の冒頭で警察が踏み込んだ際、翠の前で『怪物の木こり』の絵本を読んでいた少年が彼なのね。剣持は妻を保険金目当てで殺害した元容疑者で、その事件を担当していたのが乾刑事です。乾は剱持の容疑が晴れた後もずっと監視していて、妻の父親に暴力を振るう現場を目撃した乾に殴られた拍子に脳チップが破損していたのです。倫理観が戻った剣持は、自分に尽くしてくれた妻さえも殺したことに罪悪感を抱くようになります。自分の存在を憎んだ彼の復讐の矛先は、同じ境遇にある他の東間事件の被害者に向けられたのでした。

東間の屋敷に呼び出された二宮は剣持と対決します。剣持が罪のない映美を殺さないと確信した二宮は逆に彼女を人質に取るのです。この時、映美は二宮が父親を殺害したことを知りショックを受けます。
格闘の末、剣持を倒した二宮は彼に「人間に戻って良かったと思うのか」と尋ねます。剣持は、 幸せの意味を知ったが同時に絶望を感じたと答えます。
事件当時、武士は同じように攫われていた彰を助けようとしていました。彼の最期の言葉も「あの時助けられなくてごめん」でした。

戸城が現場に駆け付けた時には二宮と映美の姿はなく、剣持は燃え盛る炎に包まれていました。
その翌日、二宮と面会した戸城は必ず罪を暴くと告げます。

脳チップの修復手術を予定していた二宮でしたが、剣持の言葉に気持ちに変化が生じます。例え罪悪感に苛まれたとしても幸せを恐れないと決意した彼は怪物に戻らない=手術はしないと杉谷に告げます。

杉谷は脳チップを埋め込まれていませんが、彼こそ真のサイコパスです。
彼の善悪の基準は楽しいか楽しくないかで、そのための殺人も平気です。二宮とは同じサイコパスの仲間として関心を持っていましたが、普通(の人間)に戻る彼には興味がないようです。二宮との会話(電話)の後、彼はまた猫を捕まえて・・・眼力の強い二宮や人相の悪い剣持より、一見温厚そうに見える杉谷が一番怖いかも😱 

映美を救い出し、人間に戻ろうとしていた二宮でしたが、真実を知った彼女は「絶対許さない」と二宮を刺します。二宮は映美の首を絞めて「正当防衛」の証拠を作ってから彼女に警察に行くよう命じると静かに息を引き取ります。

サイコパスだった二宮が人間性に目覚めた後に起こる悲劇はしかし、彼にとって救いになったのかもしれないな~~と感じました。

三池崇史らしいバイオレンス描写ですが、血が噴き出るシーンはどこか劇画的で現実感がなく怖さもあまり感じずに鑑賞できました。😁

『怪物の木こり』は童話で、木こりの姿をした怪物が人を襲って食べる話です。これって童話と言えるのか??😓 
村人を襲って食べても誰も彼の仕業と気づかないのですが、ある日親友を殺してしまった木こりは誰も話す人がいなくなり途方に暮れます。そこで彼は新しい村に移っては赤ん坊を自分と同じ異形に作り変えて仲間を増やしていきました。これで寂しくない。めでたしめでたし???
挿絵もおどろおどろしくてこれ、現実に売ってたら怖いぞ😵 
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