杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

炎と血 Ⅱ(氷と炎の歌)

2022年12月01日 | 
ジョージ・R・R・マーティン (著),酒井昭伸 (訳),鳴庭真人 (訳)
早川書房

〈氷と炎の歌〉で描かれる世界の300年前、東方のヴァリリアからドラゴンを従えてウェスタロスを征服したエイゴン一世に始まるターガリエン家の治世を綴った年代記。後半部の第Ⅱ巻では、〈少壮王〉ヴィセーリス一世の時代から、ターガリエン王朝の二血統間で、〈鉄の玉座〉をめぐって争われた熾烈な抗争〈双竜の舞踏〉、そして、〈滅竜王〉エイゴン三世の治世を描く。本書を原作にした米ドラマ「House of the Dragon」が製作中。(内容紹介より)


目次
・竜王の裔たち 揺れる王位継承権
・竜の絆、いまは遠く
 1<黒>と<翠>
 2息子には息子を
 3緋竜と金竜
 4レイニラ大勝
 5レイニラ敗北
 6返り咲くも短命に終わった、エイゴン二世の悲惨な治世
・大乱の余波 <狼の刻>
・摂政時代
 1頭巾を被った<王の手>
 2戦争と平和と淑女品評会
 3アリン・オークンフィストの航海
・<ライスの春>と摂政制の終わり

巻末にはターガリエン王朝歴代王とターガリエン家系図が載っています。同じような名前が続々登場してきて頭が混乱してしまいます。

ジェヘリアーズ一世王亡き後の玉座はその子供たちではなく孫のヴィセーリスが継ぎました。王は、エイモン太子が不慮の死を遂げるとエイモンの娘のレイニスではなくエイモンの弟のベイロンを世継ぎに選びます。男子が優先されたのです。しかしベイロンもまた王の存命中に亡くなってしまい、再び王位継承問題が勃発します。ヴィセーリスはベイロンの長男ですが、レイニスの子息のレーナ―公子は王の嫡男の嫡男のため継承順位はヴィセーリスより上位でした。しかし大評議会はヴィセーリスを選びます。男系優位の考えが基本となっています。

ヴィセーリス王の弟のデイモンは気性が激しく奔放で女好き。そのため、王妃が産褥で死亡した後、男子がいない王は弟ではなくレイニラ王女を跡継ぎに選びます。ところが再婚したアリセント王妃との間に男子が生まれるとレイニラと王妃の間に反目が生まれます。アリセントはジェヘリアーズ一世の老後の世話を献身的にしていた女性でしたが、ヴィセーリスの後妻に収まり男子を産んだら自分の子を次の王座に据えたくなったわけですね。

ヴィセーリス王が亡くなると、鉄の玉座を巡る争いは二血統間で、血で血を洗う抗争が始まります。アリセント王妃派の翠装派は、王の死をレイニラ王女に隠してエイゴン王子の戴冠計画を練ります。彼はエイゴン征服王が用いた鉄と紅玉の王冠を用い竜舎で戴冠しました。その知らせに激怒したレイニラ王女は自分こそが王位継承者だと宣言し、翠装派の離反者により盗み出された故ヴィセーリス王、その前にはジェヘアリーズ王が用いていた王冠を戴きドラゴンストーン城で即位宣言します。双竜の舞踏の幕開けです。

女王の次男のルケアリーズ・ヴァラリオンが殺害されると、報復にジェヘアリーズ王子(エイゴン二世王の嫡男)が赤の王城で母であるヘレイナ王妃の面前で殺されます。暗殺者に無意味な選択をさせられ長男を殺された王妃は心を病みます。

黒装派(女王派)と翠装派の間に起こる壮絶な争いの中でドラゴンの果たした役割は大きく、それゆえ騎乗するターガリエン家の犠牲者も増えていきます。
双方の王子や王女が空中の戦いで命を落とす中、レイニラ女王は遂にキングズ・ランディングを占領します。エイゴン二世王は城を脱出して何処かへ消え、残された太后とヘレイナ王妃は囚われの身に。王妃の末っ子メイラー王子も無残な死を遂げます。
しかし、勝利も束の間、キングスランディングの民は次第に女王から離れていきます。そりゃ~重税につぐ重税で追い詰められたらねぇ😖 

王都を離れた場所では各諸侯が勢力図を日々塗り替えながら戦っていました。
戦いにおいてドラゴンは強大な武器ですが、双方の陣営にドラゴンがいるわけで、ドラゴン同士の戦いはどちらか、あるいは両方が死ぬことで決着がつき、それは騎乗者の死を意味しています。
ルケアリーズはエイモンド王子に敗れ、エイモンドもまたベイロンと相討ちで死亡。ジョフリーは母女王のドラゴンを御せずに落下してこれまた死亡と、王位継承者は次々と世を去っていきます。
更に王都では暴動が起こり竜舎にいた4頭も虐殺されてしまい、レイニラはわずかな手勢と城を脱出します。ドラゴンの力がいかに強くても狭い竜舎の中で鎖に繋がれ飛ぶこともままならないのでは勝ち目は無かったというわけです。

女王が末王子を連れてドラゴンストーン城に戻ると、密かに城を奪っていたエイゴン二世王が待ち構えていました。女王は彼のドラゴンに喰い殺されます。
しかしエイゴン二世王の勝利も束の間となりました。女王派の赦免を拒否したことで彼らの反発を買い、内部の裏切りもあって遂に毒殺されてしまいます。

生き残った女王の末子エイゴン三世王が即位しエイゴン二世王の娘ジェヘイラと結婚します。争いの後始末の中で、コアリーズ・ヴェラリオン(王女の祖父)の果たした役割は大きく、一時は王の手となった北のスターク公により斬首の危機に陥るも、その信望から復帰を遂げるとまだ10歳の王のために力を尽くします。
ラリス・ストロング公はマントを替えるように王君を替えてきましたが、遂に斬首されます。彼は「氷と炎の歌」に登場する宦官(またはリトルフィンガー)を連想させ、常に影の存在でありながら王家の変遷に影響を及ぼしてきた人物でした。
スターク公がエイゴン二世の謀反者たちに審判を下して北に去っていくと、次なる王の手にはタイランド・ラニスター公が任命されますが彼の人望は低く、熱病が流行った年に罹患して亡くなります。レイニラ女王に受けた拷問で醜くなった容貌を頭巾で隠していたことで逆に王都の民から呪術師と怖れ憎まれていたのは皮肉な巡り会わせですね。この熱病でアリセント前太后も亡くなっています。

新しく王の手になったのはピーク公で、ジェヘイラが塔から身を投げて亡くなると、性急に次の王妃を選ぼうとします。彼は自分の娘のミリエルを候補に挙げ、表向きは舞踏会で王が選ぶ形式を整えましたが、王の腹違いの双子の姉が連れて来たデネイラ・ヴェラリオンが選ばれます。まさに策士策に溺れたわけね。エイゴン三世はあまりにも修羅場を見て来たせいか、心のどこかが麻痺というか感情が欠落しているようにも感じられますが、ターガリエンの血を引く6歳の少女の美しさには心惹かれたようです。

双子の一人ベイラの夫のアリン・オークンフィスト公は艦隊を率いて平定に寄与し、エイゴン三世の弟のヴィセーリス王子を伴って帰ってきます。エイゴン三世王は弟を置いて逃げてきたことに激しい自責の念を抱えていたため、弟との再会で笑顔を見せるようになりました。(それまではゲイモンという王位簒奪者に担ぎ上げられていた少年だけに心を開いていました。)

ヴィセーリスが伴ってきた妻の親族が政治に介入するようになるとピーク公との権力争いが起こります。しかし妻の実家が没落し、謀でゲイモンが毒殺されるとピーク公は権力の座を追われます。この一件で王はますます心を閉ざすようになりました。

やがて、エイゴン三世が16歳になると、彼は3人の摂政と王の手を解任します。成年に達した彼はもう摂政を必要とせず、王の手は自ら選ぶと宣言しました。

この時点で王には子がなく、弟ヴィセーリスには2人の王子が誕生しています。でも巻末の家系図を見ると王の長子と第二子の後、ヴィセーリス、更に彼の長子が即位しているので、ターガリエン家の滅亡まではまだ先があるということで・・・本編も未完なのにこっちの続編が出るのはいつになるのか😔 

登場するドラゴンと騎竜者は以下の通りです。
初代竜王とその姉妹妃のドラゴンのバレリオンとヴァ―ガーは乗り手も複数です。また王家の人間だけでなく落とし子や身分の低い娘も騎乗しています。

・バレリオン(エイゴン一世、メイゴル一世、エイリア、ヴィセーリス一世)黒い恐怖
・ヴァ―ガー(ヴィセーニア、ベイロン、レーナ・ヴェラリオン、隻眼のエイモンド)
・メラクセス(レイニス)竜王の妹
・クイックシルバー(エイニス一世、エイニス一世の子息エイゴン)
・メレイズ(アリッサ、レイニス) 赤の女王
・ヴァーミサー(ジェヘアリーズ一世、金剛のヒュー)黄褐色の忿怒
・シルバーウィング(アリサン王妃)
・サンファイア(エイゴン二世)黄金の地竜
・ドリームファイア(レイナ、ヘレイナ)
・カラクセス(エイモン、デイモン)紅血の地竜
・モーニング(レイナ:デイモンの娘)
・ムーンダンサー(ベイラ)
・シープスティーラー(刺草)
・ストームクラウド(エイゴン三世)
・シアラックス(レイニラ)
・テッサリオン(デイロン)青の女王
・シースモーク(レーナ―&アダム・ヴェラリオン)
・ヴァ―マックス(ジョセアリーズ・ヴェラリオン)
・アラックス(ルケアリーズ・ヴェラリオン)
・タイラクセス(ジョフリー・ヴェラリオン)
・シュライコス・・エイゴン二世の子ジェヘリアーズが乗る筈だった
・モルグル・・ジェヘイラが乗る筈だった
・カニバル、グレイゴースト  野生
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