杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

チャーリー・ウィルソンズ・ウォー

2008年05月21日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2008年5月17日公開 アメリカ

テキサス州選出の下院議員チャーリー(トム・ハンクス)は、酒と女が大好きな周囲からはお気楽政治家とみられている。でも一方では平和を愛する心を持ち、ソ連の攻撃に苦しむアフガニスタンを常に気にしていた。国防歳出小委員会がアフガニスタン支援に500万ドルしか用意していない事を知ると、委員会のメンバーである彼は、予算を倍にするよう指示する。そこに、テキサスで6番目の富豪で、反共産主義者のジョアン(ジュリア・ロバーツ)が目をつけ、アフガニスタンを救うよう彼に訴える。

日本での予告宣伝の仕方、本編を見るとちょっと違うんじゃない?と思わされます。確かに「へ~~、政治コメディなんだ」という興味関心を持たせて劇場へ足を運ばせる効果はあるけど、観終わって「騙された」と感じるか、それを踏まえてなおかつ「考えさせられた」と満足するかは観客次第かなぁ。

米ソ冷戦時代の実話だそうです。たった一人の破天荒な男によって世界情勢が大きく変わったという(実際には彼を支えた多くの力が存在しますが)のが事実なら、まさにアメリカンドリームですが、「詰め」の甘さが後日の混乱の引き金になったという示唆を含んだラストが一本筋の通った硬派作品に仕上げています。

人生を楽しむのがモットーのお気楽政治家チャーリー。彼の秘書(エイミー・アダムス他)は美人揃いで「チャーリーズエンジェル」と呼ばれています。(映画が先じゃなくて、彼女たちがモデルだったということです。)目だった功績はないけれど、幅広い人脈を築いている彼は意外に政治の中心に食い込んでいて、酒や美女といった表面上のお気楽さは、仕事では影を潜めます。世界情勢にも詳しく、正義感も人一倍なだけに、アフガンの現状を見せられて黙っていられなくなるんですね。

そんな彼に目を付けたのがセレブで反共産主義のジョアン。久々のスクリーン登場のジュリアですが、辛口に言うと、別に彼女じゃなくても・・(^^;

チャーリーに協力するのは、ギリシア系であるために昇進をはばまれ腐っていたCIA捜査官ガスト(フィリップ・シーモア・ホフマン)。彼らの巧みな活動でアメリカはパキスタン、イスラエルなどの協力を得ながらイスラム教のゲリラに資金と武器を与え、ソ連の侵攻を阻むことに成功するのです。資金を引き出すために色仕掛けや情に訴えるといった手段に出る様子がコミカルに描かれて、政治という重さを和らげているので肩が凝らないかな。トム・ハンクスは堅さと柔らかさを使い分けてチャーリーというキャラに魅力を加えています。流石、演技派~~!!

本当はソ連が去ったアフガンにこそ、きちんとした救済の手を差し伸べなければならなかったのに、その肝心な時に政府から資金を引き出すことが出来なかったことが、今の国際状況を生んでいると映画は暗に示しています。

結局チャーリー個人の想いを別に、アメリカはアフガン諸国を利用して大国ソ連に打撃を与えたかっただけ。目的が達せられたら他の事は意味がないとばかりに離れてしまう、それこそがアメリカの驕りだったということですね。けれど、秘密裏になされた武器や資金供与はアフガン諸国の人々には知られず、彼らの目にアメリカは援助の手を差し伸べてくれない国として映ってしまった。遠因はここに、というわけ。(^^; ある意味では自業自得なんだけど・・。

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