杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

あまろっく

2024年04月26日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2024年4月19日公開 119分 G

巨大な閘門“尼ロック”によって水害から守られている街・兵庫県尼崎市。
この街で生まれた近松優子(江口のりこ)は、「人生に起こることはなんでも楽しまな」が口グセの能天気な父(笑福亭鶴瓶)と、いつも優しい母(中村ゆり)のもとで育った。町工場を営むもご近所さんと話し込んでばかりで働いている気配すらない父のようにはなりたくない、と優子は幼少期から勉強でも何でも全力で励み、大学卒業後は東京の大手企業で働いていた。しかしある日、理不尽なリストラで失業し、39歳・独身にして優子は再び尼崎に戻ってくる。
することもなくニートのような毎日を過ごし、幼なじみ(駿河太郎)が開いている駅前のおでん屋台でほろ酔いの日々。そんなある日、父が突然、再婚すると言い出し、20歳の早希(中条あやみ)を連れてきた!役所で働く早希は、孤独な幼少期を過ごし、誰よりも“家族だんらん”を夢見ているという。
突然あらわれた自分よりずっと年下の“母”の登場に戸惑う優子は、父と早希との共同生活を受け入れることができず、三人の日々は噛み合わない。
さらに早希はいつまでも独身の優子をみかねて、見合い話まで持ってくる。
自分の人生のペースを乱された優子と、彼女と家族になりたい早希の想いはすれ違い続け、一家は衝突と騒動の連続だった。しかし、ある悲劇が近松家を襲い、優子はこれまでの人生を振り返り、家族の“本当の姿”に気づいていく。(公式HPより)


通称「尼ロック」と呼ばれる「尼崎閘門(こうもん)」によって水害から守られている兵庫県尼崎市を舞台に、年齢も価値観もバラバラな家族が、さまざまな現実に立ち向かうなかで次第にひとつになっていく姿を描いた人生喜劇です。
閘門は英語でLockGate(ロックゲート)なので尼崎にある閘門=尼ロックの愛称で呼ばれているそうですが、この映画を観るまでその存在を知りませんでした。船舶が通航できる巨大な閘門で、尼崎市の「0メートル地帯」に海水が流れ込むのを防いでいるのだそう。映画の中で、優子は自由でロックな生き方をしている父が実は「尼ロック」のように家族を守る存在だったと気付くという物語です。

バージンロードを歩くウェディングドレスを着た2人の花嫁の後ろ姿から物語は始まります。優子と早希だろうと察しをつけて衝突しながらも互いにハッピーエンドを迎えるんだろうと予想していたら意外な展開に驚かされました。

ちゃらんぽらんでお気楽そうな父親(松尾諭)の姿を見て育った優子は、あんな大人になってはいけないと、何事も一生懸命やってきたのですが、彼女の思いとは裏腹に、周囲から優秀だけど輪を乱す存在として煙たがられてきました。挙句、会社からリストラされてしまいます。実家に戻ってきた優子を父(笑福亭鶴瓶)は「人生に起こることはなんでも楽しまな」と歓迎します。

8年後。優子はまだニートです。(京大出で妥協を許さないプライドの高さが再就職できない理由かと😓 )横になって尻を搔きながらお菓子に手を伸ばしてテレビを観る彼女は子供の頃に嫌っていた父の姿にそっくりで笑ってしまいます。

そんなある日、父に突然再婚すると言われ「良いんじゃない」と答えた優子でしたが、連れて来たのは自分よりも年下の20歳の早希で驚きます。初め、連れ子と勘違いしたくらい。早希は家族団欒を夢見ており、3人で食卓を囲むことに拘りました。辛辣な優子に負けていない早希。2人のやり取りは標準語だったらきつく感じそうですが、兵庫弁の柔らかなイントネーションはユーモラスで険 がありませんね😁 

商店街を歩く竜太郎と早希に声をかけたのは近所の南雲のおばちゃんです。彼女から海外赴任から帰国した息子の嫁探しをしていると聞いた早希は、勝手に優子の写真を撮ってお見合い話を持ち掛けますが、優子は見合い写真を見ようともせず自分を追い出すのかと怒ります。おばちゃんの息子の方は優子の写真を見てまんざらでもない様子。(この写真がちょっと笑えるのですが😄

入籍からひと月が過ぎた頃、竜太郎がジョギング中に亡くなります。😭 
(え?師匠ここで退場ですか😶
父の死にショックを受けた優子は、子供の頃に父と行ったうどん屋をみかけて入りますが、思い出に浸るうち七味をかけすぎてしまいます。我に返り途方に暮れる彼女を見て、隣に座った男性が「僕、辛いの大好きなんです」と丼を取り替えてくれました。

見合い相手から会いたいとの連絡があり、渋々写真を見た優子は、相手がうどん屋で会った南雲(中林大樹)だと気付きます。
お茶に誘われ、南雲が実は辛いのが苦手だと話すと、それならと食べ方を教える優子。彼は優子と同じ大学で、ボート部で活躍する彼女の姿を見た直後、隠れて泣いている姿を見ていました。優子は数日前に亡くなっていた母が傍にいてくれた気がしたのだと理由を話しました。南雲との会話は楽しく優子も彼に好意を持つようになり、プロポーズを承諾します。

竜太郎が残した鉄工所を守り、母として優子のためにも働こうとする早希でしたが、その矢先、お腹に赤ちゃんがいることがわかります。
南雲の海外転勤に着いていくことを決めていた優子は、早希とお腹の子が暮らしていくためと考えて、家と鉄工所を売ることにしますが、それを聞いた早希は反対します。

鉄工所で働き始めた早希でしたが、倒れてきた鉄工から彼女を庇った職人の鉄蔵(佐川満男)が怪我をして入院します。腕利きの彼が働けないと仕事をこなすことができず倒産してしまいます。見舞いに行った優子は鉄蔵から阪神大震災の時、竜太郎が寝ずに瓦礫から人を助けに行っていたこと、「せっかく生き残ったんやから人生楽しまないと」と話していたことを聞かされます。父はただぐうたらしていたわけじゃないと初めて知るのね。

台風の夜。身重の早希を気遣い避難を諦めて窓の補強や玄関回りを片付けるなど家の守りをして自室のベッドで2人毛布にくるまっての会話の中で、生い立ちを語った早希に、優子は彼女が家族に拘る理由を知ります。
台風一過の朝、被害のない町の様子に改めて「尼ロック」の果たす役割の偉大さに気付いた優子は父を尼ロックに重ねて、父への感謝の気持ちを新たにするのでした。
(その昔、尼崎台風で町は甚大な被害を出していますが、「尼ロック」のおかげで無事だったのですね。)
早希とお腹にいる子を残して行けないと思うようになった優子は、南雲に一緒に行けないと告げます。

一年後。鉄工所を継いだ優子は営業に出ている早希の子(優子にとっては弟です)を預かって働いています。もちろん力仕事ではなく父のように達者な口で人を動かしているんですね。😁 優秀な彼女は経営者としても優れているようです。 「お~い、新人」と声をかけられて返事をしたのは何と南雲でした😀 あ、別れたんじゃなかったのね😁 

冒頭のウェディング姿の2人はもちろん優子と早希でした。南雲との結婚に際し、きっと優子が式を挙げられなかった早希のために提案したんだろうなぁ💛

優子の愚痴を聴く幼馴染のたいちゃんと結ばれるのかと思っていたけど違いました😅 また、優子が何かあると部屋でひたすら運針をしていたのは、高校の先生(高畑淳子)の無心に針を動かすことで自己をみつめ精神統一をはかるためだったことも明かされていました。これは実際に進学校の豊島岡女子学園中学校・高等学校 で行われているそうです。
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