2024年8月23日公開 128分 G
11 月、流通業界最大のイベントのひとつ“ブラックフライデー”の前夜、
世界規模のショッピングサイトから配送された段ボール箱が爆発する事件が発生。やがてそれは日本中を恐怖に陥れる謎の連続爆破事件へと発展していく――。巨大物流倉庫のセンター長に着任したばかりの舟渡エレナ(満島ひかり)は、チームマネージャーの梨本孔(岡田将生)と共に、未曾有の事態の収拾にあたる。誰が、何のために爆弾を仕掛けたのか?残りの爆弾は幾つで、今どこにあるのか?決して止めることのできない現代社会の生命線 ―
世界に張り巡らされたこの血管を止めずに、いかにして、連続爆破を止めることができるのか?すべての謎が解き明かされるとき、この世界の隠された姿が浮かび上がる。(公式HPより)
世界規模のショッピングサイトから配送された段ボール箱が爆発する事件が発生。やがてそれは日本中を恐怖に陥れる謎の連続爆破事件へと発展していく――。巨大物流倉庫のセンター長に着任したばかりの舟渡エレナ(満島ひかり)は、チームマネージャーの梨本孔(岡田将生)と共に、未曾有の事態の収拾にあたる。誰が、何のために爆弾を仕掛けたのか?残りの爆弾は幾つで、今どこにあるのか?決して止めることのできない現代社会の生命線 ―
世界に張り巡らされたこの血管を止めずに、いかにして、連続爆破を止めることができるのか?すべての謎が解き明かされるとき、この世界の隠された姿が浮かび上がる。(公式HPより)
テレビドラマ「アンナチュラル」「MIU404」の監督・塚原あゆ子と脚本家・野木亜紀子が再タッグを組み、両シリーズと同じ世界線で起きた連続爆破事件の行方を描いたサスペンス映画だということは知らずに観ていて「あ!久部君(窪田正孝)だ~!」と思わず心の中でガッツポーズ😁 両ドラマの主要キャストが勢揃いで、ドラマを見ていた人には二重三重のお楽しみです。
また主題歌も「アンナチュラル」「MIU404」に続き米津玄師が担当しています。
DAILY FASTの巨大物流倉庫で働くのは、10名に満たない社員と1000人近い派遣社員。彼らはノルマとタイムスケジュールにより機械的に管理されています。
商品配送を受け持つ羊急便はその60%をDAILY FASTに依存しているため無理難題に文句を言えず、そのしわ寄せは業務委託する個人事業主にいきます。安い単価の配送を強いられ、しかも受け取ってもらえない場合は報酬をもらえないの。まさしく社会的搾取構造が事件の背景にありました。
爆破事件の捜査を担当する刑事は『アンナチュラル』の毛利(大倉孝二)と『MIU404』の刈谷(酒向芳)で、初動捜査を伊吹(綾野剛)と志摩(星野源)が担当します。
最初の事件の被害者の死体が運ばれたのは三澄ミコト(石原さとみ)、中堂系(井浦新)、東海林夕子(市川実日子)、坂本誠(飯尾和樹)、神蔵保夫(松重豊)らが働くUDIラボです。中堂の「クソ」発言に突っ込む坂本というネタもしっかり盛り込まれファン心をくすぐります。フォレスト葬儀社の木林(竜星涼)も登場しています。
解剖をしたミコトは被害者の死体が男性ではなく女性であることに気付きます。
5年前。
センター長だった山崎(中村)は過労で精神を病み、「ブラックフライデー」(最大の繁忙期)を前に ベルトコンベアに飛び降りて久部が研修医として働いている東央医大に運ばれました。意識を取り戻した山崎は、傍にいた九部に「馬鹿なことをした」と呟きました。
彼のロッカーに書かれていた「2.7m/s → 0 70kg」という数字は、ベルトコンベアーを止めるために導きだされたものでした。「2.7m/s」はベルトコンベアーの速度で、「70kg」はベルトコンベアーの制限重量を指し、「0」がコンベアーの停止を意味するのね。体重70kgの山崎がコンベアーに乗ることで作業を止めようとしたわけです。まさに追い詰められた者の最後の抵抗といったところでしょうか。
しかし彼が飛び降りたことで停止したのは僅かな間で、異変に気付いた上司の五十嵐(ディーン・フジオカ)により即座に再開されてしまいます。
山崎の父親が会社の責任追及を相談されていたのが弁護士の三澄夏代(薬師丸ひろ子)でした。現在も意識不明で入院している彼を、会社は単なる落下事件として処理していました。
事件の初動捜査で山崎が浮かび上がり、彼の部屋を捜索した伊吹と志摩 は、彼の恋人の筧まりかの存在に気付きます。(伊吹の勘ね😁 )
会社側の非を認めようとしない姿勢に怒った彼女は、配送代行システムを利用して爆弾を仕掛けるという復讐を思い立ちます。といってもイマイチわからなかったのですがこういうことらしい😓
ブラックフライデー前に購入したセール品(目玉商品)に爆弾を仕掛け配送代行商品として物流センターに持ち込んだ上でスタッフ(契約社員)として潜り込んでいた彼女が倉庫で爆弾入りの箱の配送代行商品ラベルを剥がして一般のセール品を装い購入者に配送される・・・センターの仕組みを熟知した上での計画です。😖
連続爆弾事件の犯人が筧と判明した時には既に彼女は自殺していました。最初の爆破事件の被害者が実は筧だったのです。ミコトが気付いたあの死体ですね。
山崎と同じように過酷な労働下で精神を病んだ過去があるエレナは、彼の意図(あの数字の意味)が物流センターの稼働を止めることにあったと気付きます。エレナは羊急便の関東局局長(阿部サダヲ)に話しを持ち掛け、ストライキを起こさせると同時にセンターの稼働を停止させシステムを停止させるという行動に出ます。その結果、委託ドライバーの単価が150円から170円にアップします。僅かな額ですがそれでもちり積もで少しだけですが彼らの苦労が報われます。エレナは退職し梨本がセンター長に就任しました。
「ラストマイル」は「荷物を顧客に届ける最後の区間」を意味する物流サービス用語だそう。そこを受け持つ配達ドライバーとして登場するのが佐野昭(火野正平)、亘(宇野祥平)親子です。息子は勤め先の会社が倒産して父の元で見習いをしていますが、最後の爆弾を届けたのが彼らで、二人の子どもを持つシングルマザーの松本( 安藤玉恵)宅に運ばれた荷物は、子どもたちが母への感謝の気持ちを込めて贈ったものでした。その荷物に爆弾が仕掛けられていたというのが何とも哀しい。急報を受け、咄嗟に洗濯機の中に荷物を投げ入れて爆発から守ったのがこの息子です。その洗濯機が彼の勤め先だった会社の製品というところに、淘汰される側の矜持を感じさせました。また、佐野父の荷物を待っている人たちにきちんと届けたいという使命感も強く表現されていました。
筧が利益追求に走るDAILY FASTに復讐したい気持ちはわかる気もします。不特定多数の一般人を標的にしたのは許せないけれど、彼女の行動は安さや便利さを求める私たち消費者が物流業界の歪みを生み出していることへの強烈なアンチテーゼなのかもとも思いました。
主要キャストではありませんが、ドラマ2作品で登場したキャラのその後が描かれているのもドラマファン心をくすぐります。
「アンナチュラル」7話登場の白井(望月歩)・・自殺した友人への苛めを明らかにさせて自殺を試みた高校生・・がバイク便のドライバーとして、久部の元へメディカル便を届けています。また、「MIU404」3話の勝俣奏太(前田旺志郎)・・上級生のドラッグ事件で廃部に追い込まれた陸上部員・・は4機捜のメンバーで陣馬(橋本じゅん)の相棒になっていました。どちらもちゃんと更生して前向きに生きてるのが好感持てます。
どちらかというと弱者である下請けに注目してしまい、主役二人、特に梨本の影が薄く感じられました。エレナが山崎のデータを消すシーンがあり、彼女が犯人?とミスリードされそうになりました。彼女が送り込まれた理由ももやもやが残りました。